第94話 果物の試食は調理のあとで

 アムは穴掘りで宝を20個も掘り出したらしい。

 まずはその内容を確認することにする。

 穴掘りで見つかるものは、四種類に分かれる。


・ガラクタアイテム:ほとんど役に立たないゴミアイテム

・換金アイテム:売ればお金になる換金アイテム

・一般アイテム:一般的に使えるアイテム。宝箱銀相当がほとんど

・コレクターアイテム:集めることで様々な恩恵が授かる貴重品


 今回手に入れた20個のうち、ガラクタアイテムは4つ、換金アイテムは3つ、一般アイテムは5つ、コレクターアイテムは8つあった。

 ちなみに、全てがたった一つしかないユニークアイテムだ。


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ゴミアイテム

・よくある土偶【よく採掘されるので土産物屋にも売ってる土偶。割れていて価値はない】

・割れた皿【割れてしまったので見つかる前に地面に埋めた皿】

・招かない猫【閑古鳥が鳴いている店に置かれた招き猫】

・使用済み藁人形【効果がなかった藁人形】

換金アイテム

・十両箱【中には小判が十枚入っている】

・金彫りの熊【金でできた熊。咥えているのは鮭】

・猪の貯金箱【お金がいっぱい入ってる貯金箱。割って取り出そう】

一般アイテム

・宮廷魔術師の研究日誌Ⅲ【魔法の第一人者マーリンの研究日誌。土魔法ピットフォールを取得できる】

・海賊黒ひげの地図【黒ひげが残した地図。海のダンジョンで使用することで隠された宝箱を発見できる】

・嘘吐きの斧【女神の泉に投げ込まれた斧】

・手乗りサイズの倉【アイテムを保存できる倉庫】

・日本酒用の酒樽【日本酒を醸造するときに使われた酒樽。酒場に設置して酒を造れる】

コレクターアイテム

・ストーンヘンジミニチュア【環状列石のミニチュア。中世七不思議シリーズの一つ】

・付藻茄子【足利義満からの伝来とされる、なす型の茶器のレプリカ。茶器シリーズの一つ】

・古天明平蜘蛛【松永久秀とともに爆破された茶器のレプリカ。茶器シリーズの一つ】

・初花肩衝【楊貴妃の油入れだったとも言われる茶器のレプリカ。茶器シリーズの一つ】

・トラだよん【未来から訪れたと言われる虎型ロボットの模型。ロボットシリーズの一つ】

・鉄椀アタマ【腕と頭が鉄でできている百万馬力のロボットの模型。ロボットシリーズの一つ】

・ドラマータ【胸がぺったんこな美少女天才魔道士のフィギュア。伝説シリーズの一つ】

・古代竜の大腿骨【古代竜の大腿骨の化石。化石シリーズの一つ】

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 いろいろと見つかったな。

 換金アイテムは使うとお金に換わるのだが、お金には困っていないので部屋飾りとして置いておこう。

 次に一般アイテム。

 宮廷魔術師の研究日誌は魔導書、黒ひげの地図は宝の地図、日本酒用酒樽は酒樽と同じ効果がある。

 一番レアアイテムは手乗り倉庫だな。手乗り倉庫は便利だ。

 普通、通常、道具欄は8個しか道具が保存できず、道具枠拡張の巻物でその枠が増えていくのだが、手乗りサイズの倉を道具として所持しているとそれとは別に道具欄が16枠追加される。

 本来は持ち運び保管庫という賭場の景品に同じ効果の道具があるのだが、まさかユニークアイテムの方が先に手に入るとはな。

 手乗りサイズの倉の中に入っているものは直ぐに使用できないので、ポーションなどを入れておくには不便だが

 いきなり茶器シリーズが三つも揃っている。

 茶器シリーズは三つ揃うことで、回復薬の効果が10%アップする恩恵がパーティ全員に与えられる。

 稲葉天目と……もう一つはなんだっけ?

 とにかく、コレクターアイテムが8つも手に入ったのは嬉しい誤算だ。


 次にダンジョン周回で手に入れたアイテムを確認する。

 茶色宝箱は除くと、金色宝箱1個と銀色宝箱3個だ。

 一人だったから宝箱の昇格割合が下がったらしい。

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銀色宝箱

・万能薬

・ドッグフード

・技術書(調理)

金色宝箱

・黄金小麦の苗

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「調理技能じゃないか! おあつらえ向きに黄金小麦まで手に入るとはな」

「調理はそれほど便利な技能なのですか?」

「ああ。調理は料理を作る能力で、その能力で作った食べた物に応じて一時的にステータスがアップするんだ。ブーストアイテムほどの効果はないがな。そして、上位食材ほどその効果は高くなる。トウモロコシよりゴールデンコーン、桃よりピンクピーチ、小麦より黄金小麦って感じでな」


 調理能力がなくても、酒場や商店のレベルが上がったら畑の作物に応じて料理やお弁当が追加されて、お金はかかるが同じ恩恵を受けられる。

 尚、料理のレシピに道具は必要ない。


「……トーカ様、魔力が上がる料理はある?」

「ああ、今作れるものだと、桃とオレンジを組み合わせてフルーツ盛り合わせだな。桃をピンクピーチに変えて効果を上げて、魔力2.5%アップくらいの効果はあると思う」


 ちょうど棚の中にピンクピーチとオレンジがあるし、錬金工房の休憩室に調理場があったはずだ。

 ポチは俺が使うことはないって言っていたけれど、早速使わせてもらおう。

 ピンクピーチとオレンジを持って調理場に向かう。

 そして、能力――調理を使う。

 日本にいた頃はリンが、こっちに来てからはポチが料理をしていたので、こうして台所に立つのはリンが小さかった頃以来だが、調理能力のお陰で身体が勝手に動く。

 あっという間に果物が食べやすい感じに切れた。

 まぁ、果物を切るだけなので料理と呼んでいいかどうかわからないが、三人で食べてみる。


「うまっ!? いや、ピンクピーチは前に食べたときも美味いと感じたが、さらに美味しく感じるな」

「……オレンジも美味しい」

「はい。このような美味しい果物、食べたことがないです。母が病気の時に持ってきたビックリピーチよりもおいしいです」

「思い出の品と比べないで。それはアムの母さんに申し訳ない」


 記憶は美しくあるべきだよ。

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