第13話 お宝GETはボス退治のあとで
ダンジョンの奥に進むと石の扉があった。
手前の石の扉の向こうには通路が続いていて、その奥の石の扉が閉じている。
どうやら、その奥がボス部屋のようだ。
「村長さん。ここのボスはどんな魔物か知ってますか?」
「聞いた話だと、ジャイアントスネークっていう大きな蛇らしいぞ。毒はないらしい」
蛇か……苦手なんだよな。
ただ、不思議とこの世界に来てから、魔物に対する恐怖は減った気がする。
いや、痛いのは嫌なのは変わりないのだが、本来なら大型犬より大きな芋虫とか蝙蝠とか怖くて戦えなかったはずなのに平然と戦えている。。
ステータスのせいなのか、それとも召喚された影響なのか、自分がゲームのキャラになり切っているせいなのかはわからない。
とにかく、蛇と戦うことも大丈夫な気がする。
「じゃあ、行きましょうか」
「俺はここまで待ってていいか? ボス部屋の前は魔物も現れないし、俺が行くと足手まといだろ?」
「わかりました。じゃあ一人で行ってきます」
ついてくると言ったり残ると言ったり忙しい人だと思ったが、逆の立場だったら俺も残るだろうな。
俺は一人で通路に入った。
後ろの扉が音を立てて閉まる。
そして、完全に扉が閉まると、今度は奥の扉が開いた。
奥にいたのは全長五メートルはある緑色の大きな蛇だ。
毒はないって言っていたが、あんなのに噛みつかれたら毒以前の問題だろう。もっとも、それは地球での話で、ステータスのあるこの世界では――ってやっぱり怖い。
俺は蒼木の槍を持って部屋の中に入る。
目の前にそびえる巨大な大蛇が、ダンジョンが放つ光を鱗で反射させている。
心臓が激しく鼓動し、槍を手にする手にも汗が滲んでくる。
大蛇は動かず、俺を見ている。
その目にはまるで知性が宿っているように見え、俺は目を逸らすことができなかった。
僅かな睨み合いは、蛇の尻尾から聞こえるシャーという音により終わりを迎える。
動いたのは蛇ではなく俺だった。
まるで徒競走でピストルの音に反応して飛び出す選手のように、俺は前に駆けだした。
まずは一撃、先に入れる!
俺はそれだけを意識し、槍を突いた。
大蛇は顔を横にずらして直撃を回避するが、俺は構わず槍を前に出し、胴体の鱗を貫いた。
よし、これで――と思ったらその胴体を大きく振るわせる。
汗のせいで手が滑り、槍を離してしまい俺はその反動で大きく投げ飛ばされる。
だが、逆に助かった。
あのまま槍を握っていたら俺の胴体は地面にたたきつけられていただろう。
一度蒼木の槍をしまう。
大蛇の胴体突き刺さっていた槍が消た。
聖剣は振れていなくても出し入れ自由だ。
ただし、手に持っていない武器を収納すると魔力を消費するので、何度もできる方法ではない。
大蛇の胴体に空いた穴から赤い血がドバドバと流れ出る。
このまま弱ってくれたらいいのだが、そんなに甘くはないだろうな。
と、今度は突然蛇が動いた。
その巨体とは裏腹にしなやかに地面を這うように進み、俺に向かって口を開けて跳びかかってきた。
俺は本能的に横に飛んで躱すが、大蛇の尻尾が鞭のように振るわれ、俺に斬られたような痛みを与える。
それでも耐えていられるのは、アドレナリンによる興奮状態のお陰かもしれない。
俺は蒼木の槍を一度消した。
そして、集中して、大蛇が襲い掛かって来るのを待つ。
再度大蛇が襲い掛かってきた。
先ほどと同じように横に飛んで躱す。
そして、俺は両手を上に上げ、武器を取り出した。
蒼石の斧を。
これまでの武器と違い、遥かに重みのあるその武器を、俺は重力に従うように振り下ろした。
大蛇の尻尾が俺に襲い掛かるが、尻尾のダメージはとても痛いのは痛いが致命傷にならないことを知っている。
俺は耐えてそのまま石斧を振り下ろす。
大蛇の首が斬り落とされた。
だが、それでも大蛇は動いてる。
これで死なないとか言われたらもはやホラーだろうと思ったが、大蛇はやがて動かなくなった。
ダメージだけでいえば体力は三割も消費していないのだが、疲労困憊だ。
アドレナリンが切れて痛みにのたうち回る前に、自動回復と瞑想で体力を回復させよう。
そう思ったとき、突然、部屋に宝箱が五つ現れた。
金色の宝箱と銀色の宝箱と茶色の宝箱三つだ。
ゲームと同じだ。
それぞれゲーム内に登場する宝箱であり、金色の宝箱は規定ターン数以内にボスを倒すと一度だけ手に入る宝箱、銀色の宝箱はボスを倒すと初回だけ手に入る宝箱、茶色の宝箱は何度でも手に入る宝箱(再度入手するためには一度ダンジョンから出る必要がある)である。
金色>銀色>茶色の順番で価値があるのだが、運がいい場合だとボス撃破の宝箱でも銀色や金色、さらには虹色の宝箱なんてものが手に入ることもある。
今回は通常通り、全部茶色の宝箱だったが。
金色の宝箱を確認する。
出てきたのは本だった。
道具欄に移動させる。
【魔導書(ファイアボール)】
魔法を覚えることができる書物だ。
魔力値が高いので魔法を使えるようになるのは嬉しい。
でも、お金に換えることができるかもしれないので、ここで売るのはやめよう。
次に銀色の宝箱を開ける。
出てきたのは綺麗な短剣だった。
【銀の短剣】
これは俺には使えないので売りだな。
茶色の宝箱も開けていく。
【500イリス】【砂金】【ポーション×3】
茶色い宝箱は基本、お金か換金アイテムか消耗品か素材なんだよな。
でも、それが今はありがたい。
道具欄がいっぱいになったので、砂金の入っている袋と糸束と銀の短剣は取り出して鞄の中に入れる。
そして、大蛇の死体は道具欄に収納した。
これで終わった。
【ダンジョンから脱出しますか?】
ゲームと同じようにクリアしたら一瞬でダンジョンから出られるのか。
うん、脱出……はダメだな。
村長を回収しないと。
俺はボス部屋を出て村長と合流。
とりあえず、手に入れた砂金を見せた。
「おぉ! それ、砂金か! それに銀の短剣も。そんなものがダンジョンにあったのか!」
「ええ。いくらになりますかね?」
「知らん! 砂金どころか金貨すら見たことないからな。銀の短剣もわからん」
……まぁ、そうだよね。
村長はあくまで村長であって、商人じゃないんだから。
ゲームだと、砂金の買い取り価格は1000ドラゴだったが、どうだろう?
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