第4話【真っ昼間の頭の中も】
〝行為〟とは感じるもの。〝行為〟自体は一回体験してしまうとあとはいつも同じこと。触って揉んでぺちゃぺちゃぺちゃのべちゃべちゃ。べちゃべちゃ具合がほどよい頃合いで差し込まれてゆっさゆっさゆっさ。そうして果ててふたりでべちゃー。
ことばにするとこうでしかないし、これを毎夜繰り返していてそれで多幸感に満たされるのは感じるから。
それをケィちゃんに伝えようと思ったらやっぱりどうしても〝ことば〟しかない。必然わたしも〝ことば〟で思い描く癖がついてしまった。
なにひとつ身につけていない姿のわたしを見ている殿下。そんな殿下を前にじぶんで股を開く女、それがわたし! そしてなぜかそれがあんまり〝嫌〟じゃない。むしろコーフンしてくるわたしっ。
わたしの股間に近づけられるランプ。もうお部屋の暗さはわたしの身体の仕組みを曖昧にはしてくれない。明るい光で照らされるわたしの性器。露わに。
見てる、見てる、見られてる。どう? わたしにコーフンしてるでしょ。なんてったって目の前にわたしの〝生の性器〟があるんだから。すごく生々しいでしょ?
もちろんお相手は尊いお方。こんなはしたないことは口に出しては決していけない。けど心の内で思うだけなら自由よね。
しばらく、しばらく〝見られている〟という恥ずかしさと嬉しさと興奮の中に耽溺する。当然つぎは〝さわってみたくなる〟ものよね。
わたしの〝ぜったいに隠しておかなきゃな肌〟に接触を感じたら、〝最初で最後のチャンス到来〟。ここが夫婦の今後の性生活を決める! そう思って婚約の日から思い定めていた計画を実行する。
『殿下、とても恥ずかしいです。そんなわたしにご褒美をいただけないでしょうか?』
当然殿下はわたしにお尋ねになった。
『どんなご褒美がご希望ですか?』と。
『その……、殿下がいま見られている処を、舐めてはいただけないでしょうか——』
なるべく恥じらい深く、なるべく遠慮がちにする静かなネガイのように聞こえるように。内心の本心は『お願い、お願いだから舐めて』なんだけど、ぜったいにそれは口にしてはダメなことばだと思ってた。だって〝懇願〟なんてしたら最後、対等な性交渉じゃなくなっちゃう。
〝行為〟を体験して解ったのは、巷間伝えられる〝通説〟ってやっぱ正しいんだ、ってこと。行為の最中は嬉しくて悦びなんだけど〝ヤられてる感〟が否定できない。感覚的に男がヤる方、女がヤられる方と、どうしてもそうなる。最後の最後でゆっさゆっさ揺すられるのがわたしで、揺すってくるのは男である殿下だから。一定のリズムで揺すり続けないと〝発射できない〟身体のしくみだからそれはもうどうしようもないことなのだけれど。だから女は行為の最後はどうしても〝受動〟になってしまう。
そんななかで女と男の立場を入れ替えさせる〝行為〟があるとすれば女が
やっぱりいちばんの〝行為〟は『わたしの性器を舐めなさい』と言って舐めさせること。
もちろんこっちがお願いしなくても股間に頭をうずめられて勝手に舐めてくる場合もあるかも。その時は計画はおじゃん。
女の方の〝性的命令〟に殿方を服従させるというシチュがわたしの脳を〝万能的幸福感〟という興奮領域へと誘ってくれる。
だけどものには〝流れ〟というものがある。
わたしの方から積極的に股をがばっと開いて『ここを舐めてね』、じゃ印象が悪すぎる。わたしとしては〝せっくす〟という一線を越えた後でも〝恥じらいを持った女性〟と思われたい。
だからこの異世界に電気の明かりが無かったことが良い方向へ向かった。わけの分からないもの、おまけに独特の臭いもするものを積極的に舐めようとはしないよね。こういうのなんて言ったっけ? 闇鍋だ。これで〝コーフンして〟はまず無理というもの。目の前に〝生の女性器〟がある、という視覚的コーフンがどうしても必要。片手にランプを持って見なければならない分、突然〝もう限界だ!〟どさっ、と上に乗ってこられて
この間こそわたしが〝あのセリフ〟を言うチャ〜ンスっ!
もちろんそれは『いま見られている処を、舐めてはいただけないでしょうか』!
どうせわたしの方も殿方の性器、〝生の男性器〟を舐めなきゃなんだから最初にわたしの方を舐めてもらうのもれっきとした前戯。
一方的に舐めさせられるとなんかこう〝屈辱感〟を感じる。男女の性交渉に〝調教〟なんてワードが出てきたりするし。嗜虐される趣味、〝M〟ってので感じるコもいるらしいっていうけどわたしは嫌かな。
ただでさえ〝その姿勢〟は男が立って女がひざまずいて舐める形になるし、そのときは男の人に両手で頭つかまれて押さえられて動けないように固定されちゃう。まるで逃げられないように捕まえられてるって感じ。殿下にも行為の最中に頭つかまれたし。男の本能なの、これ?
だけどべつに納得しているお相手だから〝凄く嫌〟ってわけでもない。それに生の男性器を〝堂々と手でさわれる〟から。固そうに勃ってるけど〝どれくらい固いか〟ちょっと指で挟んで圧をかけてみないと〝固さの具合〟が分からない。二次元にそういう感触は求めようがない。
男性器、そんなに長かったら化け物だけど、リコーダー吹くみたく指でつまんで、で、リコーダーみたくだから先の方にちょっと唇を触れて、ね。もちろん音なんて出ないけど。あれ、固いんだけど弾性を持った固さが不思議だったな——
もちろん〝男性だけに〟、とか醒めちゃうようなつまらないことは言わない。あくまでこれは実話な生々しい話しなんだから。本来なら恥ずかしい初夜の体験なんて相手が誰であれ妄想は妄想として秘めておくものだけど——、
妄想していた最中なのに果てる前に賢者タイムが来てしまった。こんな話しを〝しなきゃ〟なんて血迷ったような道へわたしを進ませたのは初対面でのケィちゃんのわたしへの態度だった。
それを〝早いうちに変えておかないと〟直感した。で、これは調教しておく必要があるって確信してしまったから。
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