秘密権力
遊び道具と鏡の姫
血で血をながせし咎人のセカイ
追われる子羊と
求められる色は何色か
自由劇の王
再び舞台に立ちて月を観る
わたしは生きている。わたしには意識がある。そして、
「クソジジイ! クソババア! さっさと死んで生命の循環をスムーズにしやがれ!」
わたしは大声を上げた。秘密権力の本部、その円卓で偉そうにしているCECOの完成体連中に中指を立てた。わたしなりの挨拶はとてもエレガントだろう。
ここまで来るのに約二時間だ、気の短いわたしが苛立つのは必然。ブレインは知らん。
そう、わたしとブレインはアルカナムの上層部に呼び出され、「秘密権力本部へ向かえ」と言われ会社を飛び出し……現在はCECOの老人が敬老会のような集まりをしているところに――老害共の心臓を止まらせようと扉を蹴破りジャジャジャジャーンというわけだ。
ベートーヴェンが何か閃きそうな第一楽章? それとも他の何か?
なんでもいいがとても破廉恥だ。そうなのだけれど、ブレインがこちらを見ているので恥ずかしくなってしまう。あなた発情したの? わたしをそんな目で見ないでくれる。
「おいおい、アホなジジイもボケたババアも頑張って生きておるのになんてことを言う」
そう言った
「では、今度は頑張って死ぬ方にシフトチェンジしてみては?」
と返せば、完成体の御老人たちから大笑いを獲得できた。わたしの冗談もついに完成体並みになったと言える。しかしわたしが唯一苦手とするクソババアは笑いもせず、
「生命の循環をスムーズにしたところで良いことはないのよ。無駄に増える常人の人的リソースにより少数の特異人は肩身が狭い。ヒトであるにもかかわらず動物のような低い知能と機械のような無感情になりつつある、加えて現在の、特に若い世代のほとんどは常人も特異人も合わせて、
うん、理解できたよおばあちゃん。つまりおばあちゃんは頭が狂っていて、口がわたしより悪くて、クソババアを超えたクソババアなんだね。ありがとうおばあちゃん勉強になったよ。
そんなことを言ったら、わたしは十字路の真ん中に埋められてしまいそうなので言えない。
婆さんの言ったことは頭も口も悪くないのか疑問だ……ということは言葉の墓に埋めておくとして、いったいどんな用件でわたしを呼び出したのだろう。
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