裏社会のお昼休み
いつの間にか頭の痛みが消えていたわたしは、テーブルの上に置かれた空の弁当や積み上げられた高カロリーのお菓子を見つめていた。
「毎日毎日こんなに食べたていたら、普通の人間は病人扱いされるらしいわよ」とわたし。
「そんな扱いを受けないのがわたしたち
「『病気にならない』という点ではスペシャル。常人と変わらない点だと才能を発揮するためや体を維持するためにも食べることは重要。特にイェーガーの
と返事をしてくれるクイーンとマスコットは、ブレインに買ってこさせたお菓子の袋を開ける――次々に開ける。
乙女たちによるお菓子パーティー……そんな可愛らしいもではない。男の視線を気にせずバクバクと食べるのだから、一般人の視点では――乙女たちの暴飲暴食パーティーとでも言われそうな光景だ。そこで、荒廃セカイのような食いっぷりを見るわたしといえば、
「ほんと、病気にならないわたしたちって寿命が縮んでそう」
とつぶやきながらチョコレートに手を伸ばす。
特異人は体質的に病気――性感染症、悪性腫瘍などなど――とは無縁だ。遺伝性や先天性であったり障害であったりする場合は別として? そんな嬉しいようで嬉しくない特典が付いてくる。
前述のとおりだが、生理的欲求は満たさなければならない条件だ。<摂取、睡眠、排泄>、それらが人間としてちゃんと機能していれば……と、ここまで説明しておいて失礼になってしまうが、真実を話すと――現在までで特異人が病気になった事例はないのだ。
今までの統計から言うと、遺伝性の病や先天性の病もなければ体の機能の狂いもない。ゆえに特異能力以外の異常は見られないようだ。
病気にならない体と特異能力。それらの代償かは知らないが特異人のカラダは燃費が悪い。わたしの場合、特異能力を使わなければその分カロリー消費を抑えられるけど、それでも普通ではない消費量なのだ。
ここでわたしの燃費について例えると、三○キロ走行で一キロ一リットルの燃料を消費し、1日に一六○○メートルしか進めない、そんな感じで景気良好の車種がわたしだ。まあ、燃費も特異人の食料もお金で解決できるわけだけど、それならお金の掛からない生活がしたいものだ。
「食おうとして痩せるか……どうして可視化なんて持って生まれてきたんだか」
わたしはどうしようもないことを愚痴る。アルコールを摂取していないけど所かまわずにぶちまけたい事が人間にはあるものだ……いや、わたしだけかもしれない。
昔から痩せ型のわたしは、『おっぱいやおしりを成長させるために、栄養のバランスを考えて食べる』なんて少女的な考えよりも、生きるために食べるという考えが先にきていた。そんな『生きる』という考えが功を奏したのか、今のわたしはクイーンのような派手さはないけど、乙女としてある程度の成長は手にできたのだと思う。
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