第6話 乱戦 視点副騎士団

「閣下!そろそろ、お下知を」

聖神騎士団を主力とした5度目の突撃は中央部に取り付き激戦の様相を見せていた。

相手の弓箭兵に疲れが見え矢の雨が衰えてきたからだ。

また総大将自らが前線に近づき兵を鼓舞している効果もあるだろう。


「良し、突撃をかける!」

号令一下我々北方騎士団は前進を始めた。膠着していた戦況が変わり、敵陣を押し込み始める。


我々北方騎士団6000が丁度、予備兵力の様になり魔王軍を打ち破る。

昨日、騎士団長閣下と急遽練った作戦。

もし、魔王軍が早々に退却していたならば、臆病風に吹かれたと非難される恐れがあったが、残念ながら魔王軍は持ちこたえている。


我々北方騎士団は異界より来たりし初代勇者と仲間であった至高神の聖女が結ばれて産まれた子に与えられた領土を本拠にしており、騎士の中には初代勇者の血筋である者も多い。

かくいう私も遡れば勇者の血を引いている。


我々北方騎士団が勇者に成り代わり魔王を討つ。

大変な名誉であり、また人間世界に安寧をもたらす行為だ。

あの丘の上の幼き魔王には死んで貰わねばならない。


「押し込め!この陣を破れば我らの勝ちぞ!」

閣下が味方を鼓舞する。


「かかるんだよ!」

だが敵陣を突破出来ると思った瞬間。

絶妙なタイミングでケンタウロス騎兵が丘を駆け下りてきた。

丘を降った騎兵の打撃力が味方兵を蹴散らす。

敵の長弓の矢が味方を射抜く。


乱戦になった。

丘の上の魔王軍の本陣は最早100ほど。

今本陣を突ければ魔王を討てる!

最早互いに予備兵力はない。


いや違った。

「サブロス!掻き回すんだよ!」

少女の声が戦場に響き、ゴーレムが再度突撃を見せる。

魔王と我らの力比べは正念場を迎えていた。


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