2帰宅目 美味しい物には抗えない

「来ましたー帰りまーす」


俺は部室に入った瞬間回れ右して部室から出ようとする。


「ちょちょちょっと待て!」


すぐさま部長が反応して俺を帰らせまいと引っ張る。


「帰らせてください!」


俺がそんなことを言うが部長は何も言わず俺を引っ張っているが....そろそろ疲れてきたのか部長の引っ張る力が落ちてきていた。


(今日こそは帰らせてもらいま....)


俺がそう思って、さらに1歩踏み出そうとした時、千水先輩の声が聞こえてきた。


「キッカくん、クッキー作ってきたんですけど入りますー?」


その声に僕はすぐさま体の力を抜いき、部長にそのまま引っ張られて部室に入るのだった。


(千水先輩のクッキー楽しみだなぁ...)


少しして、僕は部室の皆と千水先輩が作ってきたクッキーを食べていた。


「やっぱり美味しいですね!千水先輩のクッキー!」


「うん...とても美味しい....」


「お店出したら、大繁盛するじゃないか?」


「それめっちゃ分かるー」


皆色んな感想を言いながら、もぐもぐ食べていた。そして...


「やはりこうなったか....」


と部長が言う、理由は簡単でクッキーが残り1枚になっからだ。


「俺は結構食べた気がするし他の人食べていですよ」


俺はそう言って他の人に譲ることにした。


「私もクッキー結構食べたから....他の人食べていいよ...」


先華先輩もそう言って、すっかり自分の席になっている場所まで移動して座ると、俺に手招きした。多分ゲームだろう、俺はゲーム機をバックから取り出して先華先輩の所に行くのだった。


しばらくして...


「今回も負けたぁ...」


「また引き分けか!」


そんな声が同時に聞こえる、片方は俺が先華先輩にゲームでボコボコにやられた声、もう片方は好先輩と部長がジャンケンをしてまた引き分けになった声だ。俺は解決案を思いついたので部長と好先輩に言ってみた。


「部長、好先輩、千水先輩にそのクッキーあげたらどうですか?確かひとつも食べてませんよ?」


俺がそう言うと2人は確かに...という顔をして、2人は「どうぞ」と言って千水先輩に残ったクッキーを渡した。


「え?2人とも食べ良いのに...」


千水先輩はそんな事をいいながら、ちょっとづつクッキーを食べて行く。


「そういや、部長」


「なんだ?キッカ」


「食べ終わったので帰りますね」


そうして僕は再び部室から出ようと、既にてにとっていたバッグを殻って部室の扉を目指して早歩きする。


「だから、帰るな!」


そう言って部長はまた俺を掴もうとしたが、サラッと避け、あと一歩の所で後ろから一言放たれた言葉に俺の足は止まる。


「キッカくんは次何作ってきて欲しい?」


俺は少し考え一言、言おうとする前に...


「キッカくーん、逃がさないよぉー?」


好先輩に捕まって結局帰れないのだった....


「よーし帰るぞー」


しばらくして、部長のそんな声が聞こえてくる。


「はぁ...結局帰れなかった....」


俺が落ち込んでる声でそう言うと隣から千水先輩が声が掛かけてきた。


「そういえば、キッカくん次なんのお菓子が食べたいですか?」


その質問に俺は考えていた答えを言う。


「なら、和菓子食べてみたいですね」


その返答に千水先輩は「わかりましたー」と言って部室を出たので俺も続いて部室を出る。部長は少し苦戦しつつも鍵をかけてみんなで靴箱に向かうのだった。

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