第6話一時の癒しその一
一階の廊下窓から突き落とされてから数時間、何回目かわからないチャイムが鳴り響いていた。
春特有の涼しい微風が吹き、土と血の香りがし出したと同時に意識という名の海の底から目覚め始める。
ゆっくり目を開き、顔を起こすと、突然地面に赤く、黒い液体がポタポタと落ちていた。
「……治って……ないか」
液体の正体、己の血液であった。
アイスピックに突き刺され、大量に出血しており、赤と黒がまじった色とかしており、ドロドロと音を立てて地面を染めていった。
しばらくし、目から黒い塵が現れると、ズキズキしていた痛みが少し和らぐのを感じ、血管と神経が復活し、半開きだった目を開けてみるが、まだ眼球本来の姿は治っていなかった。
ポケットの中に入っていた携帯を取り出し、現時刻を知ろうとする。
スマホを取り出すが、携帯の液晶が少し亀裂が入っていた。
原因は一目瞭然、先ほどの木上院の攻撃の際打ちどころが悪かったらしい。
まぁ多分、廊下の窓から落とされた際、そこでパキッと言ったのだろう。
「まぁ変えなくていいか……さてと……あれ?」
電源を入れてみたが、画面が明るくならず、ずっと暗転していた。
さては電源が切れているな……と思い、今度は力を少し入れて、電源ボタンを長押しをしてみるが、一向に画面が変わらない事を認識した途端、自分でも分かる。
顔がみるみる青くなっていくのを感じ、勢いよく飛び上がると、辺りを行ったり来たりしていた。
なんとか、つかないか裏技やその裏の裏技がないか携帯を調べまくり、一回解体してやろうか……と思ったが、思い出の品にそんな事ができる訳なく、徐々に嫌な予感がしていく。
その事を考えていて、気が付かなかったが、いつの間にか足から崩れ落ちていた。
それにしても、どうやって壊れた原因を思い浮かべてみる。
すると、思い出す。
それは、意識が遠のく際、何かが割れる音が聞こえていたので、その時運悪く基盤も逝ってしまったまだと。
もしやと思っていたが。
「……こりゃ変えかえ……は無理だな」
もう昔から使っていた携帯で、今出ている機種より性能は劣るが、時間をみる事しか使わない。
機種変はしようとは思うが、この携帯を手放せなくなっていた。
この携帯には少し思い出があり、この携帯を無くすのは、嫌だな……と思いながら立ち上がると、ポケットに入っていた眼帯をする。
「さて、どうやって時間を……」
辺りを見渡し、時計がないか見渡してみるが、この場所だと見つからず、空を見上げてみる。
「あ……もう学校終わってる」
空が朱色に染まっており、どこからかカラスの鳴き声が響きまくっていた。
その状況から、夕方に差し掛かろうとしている事がわかった。
もう授業はおゆっている頃だろうか……まぁいつもの事だし、勉強できなくても、死ぬ俺には必要がない事だ。
「……もうこんな時間か……ッ」
まただ、またこの胸のざわめき、時々この現象が起きる。
胸の辺りが痛み出す。一度検査を受けてみた事がないが、心臓が悪いって訳じゃない。
とても表現が難しいんだけど、胸あたりが重くなっていくにつれて痛みが増していく……そんな感じだ。
「いつもと同じで、しばらく我慢すれば。。。収まるはず」
大抵はしばらく我慢すれば治まるので、放ったらかしにしている。
「フゥ……ッ!」
しかし今回は痛みが増しており、中々痛みが引かなくなっていた。
仕方なく痛みを収める為、俺はポケットからカッターナイフを取り出すと、自分の手首に軽く押し当てる。
そして、引く……ただそれだけで、痛みが消える……けど毎回この瞬間緊張が走る。
「はぁ……はぁ……」
大丈夫……ただ引くだけだ……そう自分に言い聞かせ、そして目を瞑ったと同時に思いっきり切りつける。
「……ッ!」
鋭い痛みが来る事はなく、先程から自分を主張しいた痛みらしき物が胸から取れ、代わりに何かポワポワとした何かが全身を包んでいく。
「この一瞬……なんて言うか……落ち着く」
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