第5話朝の洗礼
「おい化け物何立ってんだよ」
化け物……昔につけられた僕のあだ名であり、いつも学校に来ると呼ばれる。
正直慣れを通り越して、何も感じなくなっていた。
感じなくなってから、痛みから始め、味覚や触覚すらまともに機能しなくなってしまった。
先ほど俺の事を化け物と呼んだ奴は、小学校の寺の時のグループの一人にして、小学校から、いわゆるカースト一位の人だ。
カースト一位の男が俺を呼ぶとこっちに一気に近づいて来ると、勢いよく俺の腹にストレートキックを喰らわす。
「ッ」
そのまま蹴られた勢いで、廊下の壁に当たる
壁に思っ切り当たっても何も感じず、地面に座り込む。
丁度胃に直撃したのか、朝に食べた物が逆流する違和感を覚え、手で口元を押さえ込む。
「化け物はバケモンらしく地面に這いずってろよ」
そう言い、俺の頭を踏みつけ、擦っている。
いつもの事だが、流石に辛くなってくるな。
「ごめん……木上院」
そう言うと、押し付けられてた頭が軽くなり、と、同時に今度は左頬に何かが当たった事を感じ、殴られたのだと認識すると、首を掴まれる。
力が入っているのか、徐々に息がしにくくなり、視界も黒く、先の見えない景色へと変わっていく寸前に圧迫していた首が一気に解放されると同時に後頭部がもたれかかっていた壁に思いっきり叩きつけられる。
「俺をその名で呼ぶんじゃねぇよ化け物が」
木上院って呼ぶとなぜか、いつもこんな風にボコられている。
何故こんなにも殴られたり、怒っているのか正直わからない。
感情が欠落してるせいなのか、人という物がわからなくなっていた。
ゲラゲラとこの洗礼を傍観しているクラスの人達。
その洗礼を遠くから見てみぬフリをしている学校の教師。
こんなの見て、この子達は何が面白いんだろうか、人が殴られている無様な姿を見て、己の自己満足やストレスを発散しているのか。
時々こんな事を思う。
誰か、この現状を救ってって、けど願ってもこの現状が打破される事はないって思うようになっていた。
「お前は這いつくばってればいいんだよ」
「お前のような奴は生きてる価値すらねぇんだよ」
木上院は壁にもたれかかった俺に何度も蹴り付けていた。
まるで、己のストレスを俺にぶつけていると思った。
「後、お前は俺のストレス発散の為の道具なんだよ」
「気安く俺の名前呼ぶんじゃねぇよ」
しばらく蹴り付けていると、扉の後ろから一人の女子が現れる。
「ねぇ〜カン〜あんまりそいつに触れないでよ〜不幸移るわよ〜」
ちなみにカンとは、木上院のあだ名だ。
本名木上院 勘太郎 略してカン。
そして、彼の名を呼んだ女性はカンの彼女の
見た目は色黒に髪型はギャルヘヤーでうちの学校ーー
「そうだなァあんまり触れる洗礼はダメだよなァ」
そう言い出すと、ゆっくりと立ち上がるとブレザーの懐から、先端が尖った鋭利な物を取り出す。
その時、俺は鋭い鋭利な物の先端を見た瞬間、呼吸する速さが変わり、体は硬直したのか、一歩も動けなくなり、身体中から汗が出ていた。
「ギャハハ!やっぱお前のその恐怖した顔を見るのが最高だよォ!!」
血の気が消えていくのを感じ、よくわからない物が込み上がっていた。
硬直した俺の頭を木上院は片手で掴み、鋭利な物ーー基、アイスピックを上にあげ、俺の片目目掛けて思いっきり、振り翳し、眼球を貫通すると同時に、大量の血飛沫をあげる。
それはまるで、色鮮やかな鮮血の赤が傷口が噴水の如く吹き荒れる中おれの絶叫は周囲の傍観者達の笑い声でかき消されて言った。
いつもこうだ。
何で、学校に来ると、こうなるんだろう。
この洗礼は俺と言う怪物を木上院が痛めて、見せ物し、自分のカーストを維持の為の物。
いわば俺は上位を維持する為とストレス発散の為の道具、ストレス発散の人間サンドバック。
突き刺さったアイスピックを木上院が取る。
殴られた時の痛みはこないのだが、毎回刺され、高台から落とされたりと激痛は何故か慣れない。
引き抜かれる時の激痛が走り、咄嗟に潰された目を押さえ込む。
こんな状況でも考えてしまう。
何故こんな仕打ちをされるのか、それは人間が集団で一緒にいると落ちつく習性がある。
何故落ちつくのか、それは人間本来の機能だ。
人は群れて集団になる事で安全と安心を得れる。
ハブられず仲良く出来る安心と仲間はずれにされない安全、人というのはまさに群れる事で生きれる生き物だからだ。
そこの中で仲良くし、団結していく。
しかし、その中に小さい異物があると、人は排除したがる。
いわゆるイジメだ。
少しでも異物がいると楽しめなくなったりするんだ、人間ってのはそれぞれの価値観を持って生きている。
その価値観を共通する者、学校だとクラスだ。
そして団結しきった者達はそれが当たり前、普通だと思う。
そんな中に異物が紛れていると仲間はずれや陰口、悪口、そして暴力や脅しをして、追い出そうとする。
まさに今の状況だね。
「おーいお前ら、そろそろ席につけ」
教室から担任の声が聞こえ、木上院達がはーいと返事をする。
「っとその前にお前ら、そのゴミ片付けておけよ」
一瞬俺を見てから、そう言う。
担任が俺を見る目は冷え切っていた。
担任すら、俺をゴミ扱いにしていた。
木上院達が返事をすると、木上院が俺の首を掴むと、廊下の窓を開け、振りかぶって俺を放り投げる。
投げられたと同時に、意識が飛びかけ、地面に落ちた時、意識が切り離された。
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