第9話 会話はスキップする派?しっかり読む派?

「なあ、優斗ゲームってするか?」

大きな扉を開きかけて小鉄さんが向き直る。


「ゲーム持ってるけど友達と遊ぶときにするくらいで、あんまりしない。」

「そうか」

あー、という感じで小鉄さんが頭をかいている。

「ゲームでストーリーと関係無い会話シーンがあるじゃないか」

「うん」

「優斗はしっかり読むか?」

「スキップできるか考えたことなかった」

「そーかー、そうだよなー」

「小鉄さんは?」

小鉄さんがうれしそうに顎に手を当てる。

「俺か?俺はとりあえず読んでみて、いいかなっと思ったらスキップかな」

「ストーリーがわからなくなったりしないの?」

「スキップしてもストーリーに関わりそうなことは大体後でまた会話に出たりするからな」

「そうなんだ」


「ということでいいか」

小鉄さんが再度扉に手をかける

「いいわよ」「雄叫びだったとしても聞くのも面倒なんじゃが」


扉を開き小鉄さんが入り、おばあちゃんとおじいちゃんと手をつないで僕も入っていく。


くすんでしまっているけど豪華な鎧を着た髪が長い大柄な男の人が大きな剣を地面に刺し両手で柄を持った状態で立っていた。


「あー、話が長いパターンか」

「そのようだな」

とても面倒臭そうに小鉄さんがいい、おじいちゃんが応える。


「人とはなんとも忙しないな。我が居城が出来上がるまでまてn」

ゴンっと、とても大きく硬いもの同士がぶつかりあったような音が聞こえたと思ったら、さっきまで目の前にいた小鉄さんが男の人のお腹を殴っていた。

「しっかり終わらせんか」

「やっぱり、鈍っているわね。鍛えなおしかしら」

いつの間にか左手を繋いでいたおじいちゃんがいなくなり、右手を振り下ろしているおばあちゃんの向こうに、近くで見るとその大きさが更に大きく感じる男の人が立っていた。


ガチャーンと大きな音とともに男の人が前のめりに倒れた。

男の人の向こう側に左手を挙げたおじいちゃんが立っていた。


「「「余計なことを」」」

「グチグチいうから優斗の面倒を代わってやったんだから、しっかりみろよ」

「一発で終わらせきらんからじゃ。桃もじゃ、優斗を連れてくる必要なかろう」

「おじいさんが加減を間違えそうな気がしたからよ」

「なんじゃと」


「ねぇ、男の人は大丈夫?ケガしてない?」


「こいつはこのダンジョンのボスじゃ」

「え、ボス?」

「ああ、もうすぐ外への魔法陣が出てくるはずだ」

その言葉通り、入り口と反対側が輝き始めて模様が浮き出てきた。


男の人が何を話そうとしていたか気になり、初めての時は会話は聞いた方がいいかなと思ったけど、早くお家に帰れるならスキップもありだと思いました。

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