第8話 サクサク行こうぜ。サクサク

大きな扉の前でキャンプが始まりました。

焚火の上にある網の上で串に刺さったお肉とか野菜が焼かれています。

まだテントは用意されていないみたいですが、今日は外に出るのは無理みたいです。


「優斗は食べれないものあるか」

「無いよ、たぶん」


さっき初めて見る野菜があった気がする。いつも食べてる野菜とかもお買い物についていった時にみるくらいだから、元々を見ていたにだけで食べたことがあたかもしれないから"たぶん"と答えた。


ただ、明らかに見たことが無い色の物が串には刺さっている。


「食べれるの?」

すごく気になったから指さして聞いてみた。


「ええ、食べれるわよ。中々出回るものじゃないから知らないかもね」

「しっかり食べれば元気が出るぞ。強くもなれるからな」


「ほら」と小鉄さんが1つ渡してくれる。

「小鉄さんが食べるんじゃないの?」


「ああ、食べるさ。気になるんだろ?食べてみろ」

「ありがとう」


「優斗が大きくなってまた食べたくなったら自分で取りに行ってもいいし。言ってくれたら取ってきてやる」


「お外に出た後も会ってくれるの?」

「ああ、会えるさ」


「忙しいのに助けに来てくれて、いっぱい迷惑かけちゃったのに」

穴に落ちてからのことを思い出して涙が止まらなくなった。


「いっぱい、いっぱい掲示板に書き込みしたけど誰も信じてくれなかった、心配してくれた人もいたけど、助けに来てくれなかった」

・・・

「けど、小鉄さんは来てくれた。」

・・・・・

「おばあty、桃さんも来てくれた、何も知らないの善治さんも来てくれた」

・・・・・・・

「なにもお返しできてないよ?」

・・・

・・・

「それでも会ってくれるの?」

涙が止まらない、3人の顔が見れなくて俯いてしまった。


手が見えて、ふっと持ち上げられ、おじいちゃんに抱っこされた。


「子どもが余計な心配なぞ、せんでいい。今のうちにいっぱい甘えとけ」


優しい顔で頭を撫でられる。


「本当のお祖父ちゃんやお祖母ちゃんと思って甘えていいんじゃぞ」

「えへへ、ありがとう」


「おじいちゃんやおばあちゃんと夏休みに会いに行った?」


「ううん、お母さんのおじいちゃんとおばあちゃんがいたけど、おじいちゃんは僕が小学生になる前に亡くなったの、おばあちゃんは会えないんだって」


・・・

「おばあちゃんね、お花みたいだったの、優しくてね、一緒にいてくれると安心するの、一緒にお昼寝してくれたの」

「おじいちゃんはね笑ったところあまりなかったの、けどね、たくさんお出かけしてくれた。遠いところにもいっぱい連れて行ってくれたんだよ」

思い出して涙が出てきた。それと一緒にたくさんの思い出も出てきた。


「そうか、優斗はお祖父ちゃんとお祖母ちゃんのことが凄く好きなんだな」

「うん」


「お外に出たらお父さんに連絡先教えておくから。今度、家においで。おやつ食べて一緒にお昼寝しましょう」

「ああ、家にも来い。いろんなところ連れて行ってやる」


「楽しみ!!」


「それじゃあ。サクサク行こうぜ。サクサク」

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