第6話 残像だ
「クチュッ。さむい・・・」
なんだか寒くてくしゃみで目が覚める。
「悪い、気付かなかった」
暖かくなったわけではないが寒さを感じなくなった。
ボーっとしたまま周りを見る。
おじいちゃんとおばあちゃんの周りで光の粒が舞っているみたいで綺麗だった。
もう少し頭がはっきりしてきたようで、さらに周りの様子が見えてくる。
「ガラス?」
ダンジョンの中だと思うけど壁一面がお父さんとお母さんにどこかに連れて行ってもらった時にみたガラス細工みたいだった。
「いいや、氷だな」
「氷?だから寒かったの?」
「まだ寒いか?」
「ううん、寒くないよ。ありがとう」
寒さを感じなくなった理由はわからないけど、小鉄さんにお礼を言っていた。
「いや、先に気付くべきだった。耐性でいいかわからなったから無効にしたんだが」
「すまんの、小鉄も桃含めてパッシブ無効だからの気付かんかった」
「ありがとう」
なんだかうれしくて、すごくうれしくて、またありがとうって言っちゃった。
心地いいな、気持ちいいな。暖かくなったわけじゃないけどポカポカしてきて、また眠くなる。
「また寝たみたいだ」
照れくさそうに言う小鉄の両脇で胸を押さえながら悶えるじじばば2人。
「ま、孫は宝だわぁ」
「あぁ、自分の孫ではないが、やっぱり孫には勝てん」
「そのまま持って帰ろうかしら」
「シャレにならんからやめてくれ」
「なら、どうしたらいいんじゃ」
「自分の孫を可愛がればいいじゃねぇか」
「なかなか会えんのじゃ。高校生は難しい年ごろこっちからも連絡し難いし」
「そうよねぇ、息子は帰省しても孫はついてこないし」
「ああーもう!!それでも人様の子はダメだ」
「「それでも!!」」
「そんなに可愛い子なら、こんな寒い中に長時間いさせんな!ただでさえ体力減ってんだ。風邪ひいたらどうする」
「おお、そうじゃ」「そ、そうね」
両脇からじじばばがいなくなる。
すぐそばで手当たり次第にモンスターを潰され、煩すぎて真面に探知系に集中できなかったが、2人がいなくなったのを見計らって階段を探し始める。
「とりあえず、この階にはモンスターはおらん」
「やりすぎだって。進路上だけで十分だろ」
「階段を見つけてきたわよ」
「階段まで見つけてきたのか」
「あなたがテレテレしているからでしょ」
「ばんばか、ばんばか、周りでされて集中できるか」
「やっぱり怠けとるな。鍛えなおすか」
「やめてくれ、始まりの塔に上ったほうがまだマシだ」
「それより確りと優斗ちゃんの面倒を見てね」
「わかってるよ」
寒い思いをさせたことが申し訳ないのか雑な蹴りを2人あびせる。
「残像だ!!」
どや顔で言い放つじじいとこの環境より寒いと感じる小鉄であった。
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