第34話 開戦
「おにぃさぁん」スピー
「おにぃさまぁ」スゥ
「二人とも朝だぞ。
離してくれないと俺が起きれないぞ。」
朝、俺が起きると両脇に二人が抱きついてる。
これはいつものことだ。
一応、ベッドは三つある。
しかし、使われてるのは俺のベッドだけだ。
理由は簡単だ。
妹たちが一人で眠れないからだ。
なら、一緒に寝るしかないよなぁ!!
なに?カレンは一人で眠れるだろって?
なに言ってるんだ!!
バニラだけ俺と一緒に寝たら、
カレンが寂しがるだろうが!!
俺はそこまで鈍感ではないぞ!!!
「ふっ、俺は完璧なお兄ちゃんだな」
誰も聞いてない中でも自画自賛し始める俺。
「…アリア」
しかし、
この場には俺のもう一人の
許嫁兼妹であるアリアがいない現状がある。
「うぉーーごめんなーーーーー!!
アリアーーーーーーーーーー!!!
最低な兄である俺を許してくれ!!」
アリア!アリアーーーーーーーー!!!
アリアに会いたい思いが募っていく。
カレンがいることによりアリアが恋しくなる。
「うぅ…アリア…」
「おにぃさまぁ?」
「カレン、すまない。起こしたか?」
俺がアリアシックになったせいで
カレンのことを起こしてしまったらしい。
妹の睡眠を妨害するなんて反省しなければ…
「ちゅー」
「カレン!?」
俺のほっぺにキスをしてくるアリア。
「おにぃさま、私がいますよ~」
「カレン…」ギュー
愛しいカレンと抱き合う。
そうだな。
お兄ちゃんしっかりしないとな。
そう思いながら、朝起きるのだった。
「レジきゅん、毎朝何してるの?」
「お前は勝手に部屋に入るな!」
*毎日のルーティンです。
…
……
………
「敵軍が進軍の準備をしているだと…?」
「はい、そのような情報が入っています。
どうやら、王子が戻ってきたようです。」
「アドルフか…」
マーガレットが俺に報告をする。
カレンが軍に入った時点で
なんとなく分かっていたが
俺の死ぬ戦いが近づいてきたようだ。
「どうするの?レジきゅん」
「とりあえず、
人を配置と情報部隊は小まめに報告だな。」
「妥当ですね。」
フレイとマーガレットと作戦会議をするが
ざっくりとした作戦しか思いつかない。
「お兄様…」
ポツリと自分の兄の名前を呟くバニラ。
その顔は複雑そうだ。
「バニラ、大丈夫か?」
「大丈夫です。
私はレジストお兄さんと
一緒に戦うって決めたんです。
例え、アドルフお兄様が敵でも…」
「バニラ、ありがとう。」
そう言うバニラの目は力強い。
「私も戦います!お兄様」フンス
「カレンもありがとうな」
気合いを入れているカレンを微笑ましく思う。
ありがとう、二人とも…
ドオォン
「きゃあ!!」ダキ
「なんだ!?」
突然の爆発音に俺たちは驚く。
バニラなど俺に抱きつくほどだ。
ゾク
背筋凍る感覚がする。
第六感が俺の心にヤバイと告げている。
なんだ…これは
ガチャ
「レジスト隊長!敵軍が攻めてきました!!」
そう言いながら部下が飛び込んできた。
嘘だろ…
早すぎる!
原作だと攻めてくるのは一年後のはず、
多少、運命が変わったとしても
そこまでずれるはずは…
「敵の規模は?」
とりあえず、敵の規模を聞く。
話はそれからだ。
「一人です!
アドルフ王子のみです!!」
「なんだと…」
「お兄様が!」
あいつ、いくらなんでも無茶苦茶だろ!
一国の王子が何してやがる!!
「どうするんだ。レジスト・ヴィレッジ」
非常事態だから、
流石のマーガレットも真面目なようだ。
こんなに早くやつが来るのは予定外だ。
正直な話、あいつに勝てるような策はない。
「お兄様!一旦引きましょう。
なんだか私、嫌な予感がします!!」ガシ
「私もそう思います!
お兄様は今までのお兄様ではありません!
お兄さんが死んでしまいます!!!」
二人とも本能で感じ取ったのだろう。
あいつには勝てないと…
なぜ分かるかって?
俺もそう思っているからだ。
「マーガレット、
他の奴らには待機するように言ってくれ。
あいつのところには俺一人で行く。」
マーガレットに誰も来ないように指示をする。
勝てないかもしれない。
それでも俺は行かないといけない。
早く来たならそれでいい。
決着がはやくなるだけだ。
「レジスト・ヴィレッジそれでいいのか…」
心配そうに俺を見てくるマーガレット。
…っ。
こういう時だけなんで真面目なんだよ。
本当にいいやつだな…お前は
「お兄様!?
一人で死ぬつもりなのですか!
そんなの私が許しません!!」
「えっ!そうなんですかお兄さん!!
お兄さんがいなくなると私は…私は…」
二人の妹は各々泣き叫ぶ。
ごめんな…
妹を泣かす駄目なお兄ちゃんで…
「じゃあ、レジきゅん行こっか。」
準備万端で俺を見てくるフレイ。
フレイ、お前ってやつは…
こんなときは真面目に…
ん?
「フレイ、今なんて?」
「アイツを倒しに行くんでしょ。
さっさと倒して、
お姉さんといいことでもしない?」
いつも通りふざけたことを言っている。
だが、
「お前も付いてくる気か?」
「当たり前よ。」
俺に付いてくるのは本気らしい。
「いくらお前でも死ぬかもしれないんだぞ…」
「だって、約束したじゃない。
私も一緒に足掻くって」
「…」
確かに俺は言った。
フレイに一緒に足掻こうと言った。
だが、それは共闘する意味ではなかった。
「俺は…お前に死んでほしくない…
だから、来なくていい!!」
「嫌よ。」
「どうして!!」
「レジスト君、
死んで欲しくないって思ってるのは
君だけじゃないってことよ。」
どういうことだ。
「貴様の最後ぐらい見届けてやる。
……ご主人様を一人にはしません。」
「お兄さん、
私もお兄さんと一緒に行きます!
これで最後になろうとも
最後まてお兄さんと一緒にいたいです!」
「お兄様、約束しましたよね。
私はお兄様と
一緒に戦うためにここに来ました。
お兄様が行くと言うなら、
私も一緒に戦います!!」
三人は俺と一緒に来る意志を見せる。
俺なんかのために…どうして…
「ね、言った通りでしょ。
だから、一緒に行きましょう。
あいつを倒すために」
「…っ。ありがとう、みんな」ツー
俺はみんなにばれないように涙を流す。
死ぬのが怖いからじゃない。
みんなに思われて幸せだからだ。
…
…
…
ザッ
「来たか…赤い悪魔。」
「悪い、待たせたな。」
俺たちは前に出会った場所で相対する。
「お詫びに教えてやる。
俺の名前は
レジスト・ヴィレッジって言うんだ。」
「レジスト…か。
君が死ぬ前に知れてよかったよ。」
アドルフの方は余裕そうだ。
前に会ったときまるで別人のようだ。
「私は見ているだけじゃ嫌なんですが。」
「お兄さんとの約束です。
カレンちゃん、我慢してください。
マーガレットさんも本当は来たかったのに
基地で待機しているんですから。」
「そうね。
あの王子にとって
私たちは眼中にないみたいだけど、
いざとなったら助けに行きましょう。」
俺たちから離れたところで
3人は戦いを見守ってくれてる。
マーガレットは何かあったときのために
基地の方に残ってもらった。
「覚悟はいいか?レジスト・ヴィレッジ」
「お前こそな。アドルフ・レイモンド」
ガキン
二人の剣がぶつかり合う。
こうして、戦いの火蓋が幕を開けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んでいただきありがとうございます。
ここまで読んでくださった
皆さんには大変感謝しております。
この物語もついに終盤になりました。
最後まで自分の持ち味を
全開で駆け抜けていきたいと思います!!
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