第16話 本編開始
王国軍のとある人物の私室の中。
その中には二人の男女がいる。
一人の女性が目つきの悪い赤い青年
の前で倒れ伏して苦しそうにしている。
そんな姿を見ても
青年の表情からはなんの感情も浮かばない。
しばらく、時間がたつと
「や…め……」
女性が震える声で話しかけたが
そんな彼女のことを無視して
青年は机の上にあるものを手にする。
「お前が悪いんだからな…」
青年が女性に対して放つ声は
辺りが冷えるほど冷たい声色だ。
「あ…ああ…」
女性は呂律が回らないようだ。
身体も震えており痛々しい。
そんな彼女に青年は持っているものを
ブン
躊躇なく振り下ろすのだった。
ーーーーーーーーー
「レジスト・ヴィレッジ!!
ここでは親の権力は使えない。
貴様の好き勝手は許さないぞ!!」
俺より7歳ぐらい上の青髪の女の人が
俺に啖呵を切ってくる。
名前はなんだっけ?
マクライナだっけ?
それとも、ヤマトナイだったかな?
まあ、正直どうでもいいが
短い青い髪をして、スタイルもいいが、
冷たい目つき遊びは許されない厳しい態度
そのせいで近寄りがタイプタイプの人間だ。
めんどくさいから従っとくか
「了解しました。」
「なんだその目つきは!
このマーガレット・オブライエン
を舐めているのか?」
「そんなことはございません。」
彼女はどうやら
俺の対応が気に入らないらしい。
俺が見下しているとでも思っているのだろう。
目つきは元々だよ。糞が。
俺は15歳となり、
ゲーム通りにメイダー王国軍の一人として
前線にある基地に配属された。
そして、このマーなんとかさんの率いる
前衛部隊の一員となったのはいいのだが
この人に俺はすこぶる嫌われている。
彼女にとって俺は
権力や魔力を使ってやりたい放題している
クソ野郎らしい。
正直な話、うちの家系は貴族としても
中間ぐらいで両親もあんなんだから
別にそこまで
やりたい放題しているわけではない。
それに俺に関しても
毎回呼ばれた茶会や夜会などには
必ず出席するようにもしていたし、
そこでも、
特に問題は起こしてはいない。
「貴様には上官に対する態度を教えてやる!
訓練が終わり次第、私の私室にくるように。
わかったな!!レジスト・ヴィレッジ」
「了解致しました。」
俺にそれだけ言い残すと
その場を去っていくマーなんとかさん。
つまり、俺は噂とイメージだけで
周りから忌避されているのである。
「はぁ…」
俺は他に誰もいない水飲み場で腰を下ろす。
正直、今の俺の立場はすごくめんどくさい。
同僚から畏怖で避けられて、
上司から嫌われている。
「全く、俺が何をしたっていうんだよ」
思わず口をこぼしてしまう
「レジきゅんは普通にしていても怖いからね。
目つきだけで人を殺せそうだもん。」
はぁ?
突然、失礼な発言が
聞こえてきてキレそうになる。
目つきで人殺しとか
んなことあるわけねえだろう!!
「えー!?レジきゅんならできるよ~
私みたいに普通な人にはできないけど。」
「ねぇよ!
てか、
自分のことを普通というやつは普通じゃない。
あとナチュラルに人の心を読むな。
そんなことを言いながら
変わらないやり取りをする。
そう、お気づきだろうが。
フレイは俺に着いてきて
王国軍の基地に世話になっている。
理由を聞いても
俺がいるから!としか言わない。
そんな理由で軍にいるやつがいてたまるか
と思うが実際に目の前にいるからしゃーない。
「ハァン!やっぱり、
これがなきゃ1日が始まらない…ハァハァ」
「発情するな!
てか、こんなとこにいていいのか?」
一応、フレイは王国軍の指南役として
軍に所属しているのでサボってないか気になる
「…ハァハァ。今は移動中だからね。
レジきゅんがぼっちで寂しくしてるから
心配で来ちゃった♪」
「寂しくねえし、ぼっちって言うな!
俺は敵かもしれないやつを信用するより
一人のが楽なだけだ!!」
ふざけたことを言う
この軍には未来でカレンを
裏切るやつがいるかもしれないから
簡単に気を許すわけにはいかないのだ。
「ふーん。」
「でも…その…
会いに来てくれて嬉しいぜ。
ありがとな。」
一応、感謝を伝える。
ここで信用できるのはフレイだけだ。
彼女がいることで俺も多少気が抜ける。
「や、やだ///レジきゅんデレ期!?
どうする?おっぱい揉む?」
「やっぱ、黙ってろお前。」
「ァァン!?…いいね。その蔑み…コウフンシュル!!」
びくびくしている変態を放置して
俺は訓練場に向かう。
チラチラ チラチラ
訓練場に入ると俺が気になるのか
周りから視線を感じる。
鬱陶しいなぁ
ジッ
サッ
俺が視線の方を見ると
とたんに別方向を見始める。
俺は魔法を使って自主トレを行う。
今回は細めの火の光線を打つ練習だ。
他の物質に変化させる魔法は
あまり見せない方がいいので使わない。
見せるメリットはないからだ。
ボシュ
的として置いた丸太を貫通する光線。
なかなかいい調子だ。
これなら鎧も撃ち抜けるだろう。
「なんだ…あいつ。
あの太い丸太を簡単に撃ち抜きやがった。
しかも、あの威力で」
「本気出したら、
ここが壊れるんじゃないか?」
「いや、あいつヤバいって噂だし。
俺たち皆殺しにされるんじゃないか?」
バーサーカーか俺は!
それに見た目の大きさと威力は比例しない俗
駄目だ…何をやっても悪評が立ちそうだ
「レジスト・ヴィレッジ!!また貴様か」
あーめんどいのがきたよ。
「どうしましたか?上官様」
「マーガレットと呼べ。ここでは平等だ。」
マーガレットは名前で呼べと命令してくる。
上官であるが平等というのは
一応、軍の規則にある。
背中を合わせて戦うのだから、
上と下もないということなのだろう。
「かしこまりした。マーガレット様」
「マーガレットで呼べと言っているのに…
生意気な!!
その性根叩き直してやる。剣を取れ!!」
なにが気に入らないのか分からないが
怒りながら俺に木刀を向けてくる。
模擬戦を行うということだろう。
流石にイラついてきたぞ。
「いいですよ。試合形式ですね。」
木刀を構える。
俺は家族以外には甘くない。
完膚なきまでに叩きのめす。
彼女から間合いを取るために離れる。
俺はフレイから習った構えをとる。
「ふん、やはり我流か。
なっとらんな。
私が今度から基本を教えてやる。」
「それは、ご親切にありがとうございます。
ですが、大切な師匠から習った型ですので
ご指導はご遠慮致します。」
当たり前だが俺は断る。
だって、俺の剣は10年かけてフレイから教えてもらった大切なものだ。
それを簡単には変えたくはない。
「…っ!貴様ぁ」ダッ
マーガレットは切りかかってくる。
頭に血がのぼっているようだ。
修行が足りていない。
ガンッ
俺は彼女の木刀に俺の木刀を合わせる。
思ったよりも彼女は力が強い。
グググッ
彼女は力で押しきろうとしているのだろう。
このまま、力で押し返してもいい。
だけど、そんな労力は使いたくない。
フッ
「なっ!?」
俺が力を抜いたことに驚いたのか
彼女は少し前屈みになる。
今だな
ゲシ
俺は彼女の足をかける。
簡単に引っかかってくれる。ちょろい
「きゃっ!」バタン
耐えられずに彼女は無様に転び、
情けない姿を周囲に晒す。
ブン
そんな、彼女の目の前に木刀を振り上げる。
バシン!!!
「あふん!?」
俺は彼女の尻に怪我をしない程度に
木刀を叩きつけた。
彼女は間抜けな声をあげる。
さらに俺は追撃を加える。
バシン!!!
「あうっ」
バシン!!!
「くぅ!!」
バシン!!!!!!
「あぁん!!」バタン
あまりの痛みに彼女は地に伏せる。
「終わりですね。」
「くうっ…」
マーガレットは悔しいのか
顔を上げすに震えている。
涙を堪えているのであろう。
彼女から挑んできたのだ。
こうなるのも覚悟の上だったはずだ。
「お手合わせ
いただきありがとうございました。」
「ま、待て…」
俺は何か言う彼女を
無視してその場を後にした。
この事が原因で
上官に逆らうヤバいやつと噂されるのであった
あーめんどい。
ーーーーーーーーーーーーーーー
おまけ
おにぃたま(レジスト六歳)
「おにぃたま…スヤスヤ」
「カレンはかわいいな。
寝言で俺のことを言ってくれるなんて
お兄ちゃん嬉しいぞ。」
昼寝の時間、俺は寝ているカレンに
いつもように膝枕をしながら頭を撫でていた。
「レ~ジきゅん!」ガバ
「何するんだよ。カレンが起きるだろ」
後ろから抱きついてくる
「私にも構ってよ。レジきゅん~」
「いい大人がなんで
子供みたいなこと言ってるんだよ」
「大人も甘えたいときはあるのよ。」
俺はあきれた目で彼女を見る。
「そんな目で見るなら…ギュー」
「おい、それ以上力をいれるなよ。
胸が…」
言いかけてやめる。
「レジきゅん?胸が何?」
おそらく、ニヤニヤしているだろう
「黙るんだ~それなら…」
クリクリ
「ァン!?胸はやめろ。」
「レジきゅんびんかーん♪
かわいいから…チュパキスしちゃう…チュ」
「く、首もやめて…フゥ
カレンに気づかれる…クウウ」
「あっ、もしかして勃「してねぇよ!」」
俺の膝で眠っている
カレンを起こすわけにはいかない。
「…んん?おにぃたま?」
「か、カレン?」
寝言のようだ。かわいい
カレンの寝言を聞き、俺も落ち着いてくる。
やはり、妹は大天使のようだ。
俺をこの
絶対に俺は屈しないぞ。
「おにぃたまって何?
あ~レジきゅんの○「いい加減にしろ」」
この後、めちゃくちゃ正座させた。
ーーーーーーーーー
本編がついに開始致しました。
少しシリアスっぽくもなりますが
今まで通り投稿していくので
よろしくお願いいたします。
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