第15話 はじまりのはじまり
「お兄様!行かないで」
「ごめんな、カレン…
絶対帰ってくるから待っててくれ」
泣きながら抱き着いてくるカレン
俺は14歳になった。
ゲームのシナリオ通り
隣国との関係が悪くなり、戦争が起きた。
そのため、魔法使いや兵士が招集される事態になった。
その結果、
俺は来年から戦争に参加する兵士となり、
家族の下から離れて前線に
配置されることとなった。
「やっぱり、パパが行くよ!」
「いや、いいよ。
だって、父上はもう魔法使えないだろ。
そんな状態じゃ帰れるか分からないだろ。」
父は罪悪感があるのだろう。
魔力欠乏症になってしまった父に届いた徴兵令を無理矢理俺が引き受ける形になったから。
「でも、レジストが…」
「いいんだ。家族のためだし」
国のためにもなんて俺は絶対に言わない。
俺が大切なのは家族だけだ。
俺は守りたいもののために
「お兄様…駄目です。行っちゃ…」
「大丈夫だ。お兄ちゃんは強いからな」
「いや,いや!!!」
いやいやと首を振るカレン。
もう当分わがままなんて言ってなかったのにな
「カレンを守るために俺は行くんだ。」
「私を守るため?」
「そうだ。カレンを守るかっこいいお兄ちゃんにさせてくれよ。」
カレンの頭を撫でながら言う。
できれば、カレンには笑っていてほしい
「カレン。
見送りのときは笑顔で頼む。
お兄ちゃん心配になっちまうから。」
「嫌です!絶対に認めません。
お兄さまが死んじゃう
お兄さまがいなくなっちゃう」
ダッ
「カレン!?」
カレンがどこかに走り出してしまった。
「カレン…
やはり、パパが…」
「大丈夫だ。父上。
俺が説得してくるから待っててくれ。」
父上を説得してカレンが
駆け出した方向に向かう。
上手くいかなかったか
アリアのときは上手く言ったから
少し調子に乗っていたのかもしれない。
カレンはまだ9歳だ。
気持ちの整理もつかないのだろう。
「あー!レジきゅんが泣かせた~」
カレンを探していると
煽るような口調で後ろから声をかけられる。
「フレイか…失せろ。」
「レジきゅん、つめた~い
でも、そんな態度も…こうふんしゅる!!」
「今はお前に構っている暇はない」
9年前から見た目も
中身も何一つ変わらない
俺の杞憂だったのか。
○んだりはしなかったようだ。
少し安心した。
しかし、疑問に思うことがある。
俺が声変わりをして身長も伸びて大人と変わらなくなったと言うのにここに残っている。
一度、聞いたことがあるが、
「私はショタコンじゃないって言ったでしょ。
クソガキを屈服させるのがしゅき!!」
と本気なのかよく分からないことを言われた。
なんだかんだ
面倒見がいいやつだから残ったと思いたい。
「つれないな~。
あの子のこと なんてほっといて
私とイイことをしようよ~」
「黙れ!!
俺がカレンをほっておくわけないだろ」
こんなときまでふざけるんじゃねえ
「あの子のこと考えない君が行っても
なにも解決しないよ。」
「そんなことはない!
俺がいちばんカレンのことを知っている!!
だから、絶対に説得してみせる。」
ベチン!!!!!!!!
「…っ!?」
突然のことで反応できなかった。
俺はフレイに平手打ちをされたのか
「なにするんだ!てめぇ。ふざけるな!!」
「ふざけてるのは君だよ。
あの娘の気持ちを理解してるとでも言うの?
そう思っているならとても傲慢ね。」
「そんなこと…」
冷たい雰囲気を醸し出すフレイ。
こんな彼女を今までみたことがない
「あなたは彼女のことを考えていないわ。」
彼女の言葉が俺を突き刺す。
そんなはずはない
俺はカレンと過ごしてきて
ずっとあの娘のことを見てきた。
だから、俺がカレンのことで
分からないことなんてあるはずがない!!
「君は私に最初に言ったよね。
妹のために強くなりたいって」
「ああ、そうだよ…」
守るものは増えたがその一点は変わっていない
カレンを守るために強くなったんだ。
「あなたは変わらないのね。
今、あの子を守りたいんだね」
昔を懐かしむように微笑むフレイ。
先ほどの冷たい雰囲気はない。
「じゃあ、あの子はどうなのかな?」
「カレンは?」
フレイの質問の意図がつかめない。
「君は自分を犠牲にしてでも守りたいって
思っているみたいけど
彼女はそれでイイと思っているのかな?」
「そ、それは」
確かにアリアにも帰ってくると言ったが
いざとなったら自分の命も捨てるつもりだ。
だが、守りたいもののためならしょうがない。
「あの子は嫌なんじゃないかな?」
「いや?」
「そう、君だけが傷つくことが」
俺が傷つくのが嫌?
カレンがそう思っている?
「守られているだけじゃ嫌だ。
そう思っているんじゃないか?」
「カレンが…そんなことを」
どうして…
「理由は私には分からないわ。
だって、あの子と関わりないもの。」
「なら、なんで分かるんだよ!
俺にだって分からないのに!!」
俺には分からない。
「じゃなかったら、
5才の女の子が修行をしたいと思う?
それに彼女は最初、君になんて言ったの?」
「…」
お兄さまの隣に立ちたい
そうか…
カレンは守られているだけじゃ嫌だったのか
「ありがとう。フレイ
俺、ちょっと今から言ってくるわ。」
行かなくては
「ハァァン…イイ顔になったね。レジきゅん
やっぱり、私といいことしようよ…ハァハァ」
さっきまで真面目だったのは何処へ
発情し始める
「お断りだ」
そんな彼女に笑顔で舌を出して
俺はその場を後にした。
…
…
ガチャ
「!」
「やっぱり、ここにいたか」
「お、お兄さま」
俺の部屋にカレンはいた。
カレンは辛くなると
俺のベッドで寝ることが多いからな。
「…」ブルブル
俺が怒っていると
勘違いしているのか怯えている。
サラサラ
「カレン」
俺は彼女のそばに行くと
彼女の近くに腰かけて頭を撫でる。
「お兄さま。
怒っているのではないのですか?」
「俺がカレンに怒るわけないだろ。」
俺がカレンを本気で怒ることはない。
これからもそうであるだろう。
「でも、私がわがままだから…」
「ごめんな。俺、
カレンの気持ち考えてなかったな。」
「そんな、そんなことないです!!
お兄さまいつも
私のことを第一してくださいます。」
カレンは俺のことを擁護してくれる。
本当に優しい子だ。
「俺はカレンのことを
守れればいいとおもってた。
だけど、カレンは違うんだな。」
フレイに気づかされたことを
直接、カレンに聞いてみる。
「は、はい。
私は私のために
お兄さまが傷つくのは嫌です。
私もお兄さまを守りたいんです!!」
当たっていたようだ。よかった。
フレイに心の中で感謝する。
「ありがとう。
だけど、俺は戦争に行かないといけない。」
「…っ」
カレンは顔を歪ませる。
やはり、納得はできないのだろう。
「だから、カレン。
お前のことを戦線で待っている。」
「私を…待っている?」
「そう。俺はカレンが来るまで
絶対に生き延びてみせる。
だから。
カレン、俺のところまで来てくれ。
俺のことを助けてくれ!!
約束する。
何年かかってもいい。
お前のことを待っている。」
これは約束だ。
俺がそれまで生き残るということの…
いつか、カレンが俺を助けたいがための…
そして、俺たちが生き残るための…
「だから、
今は俺のことを送り出してくれないか?」
俺は笑顔でカレンに聞く?
「絶対、絶対お兄さまを助けます!
早く強くなってお兄さまを守ります!!
だから、お兄さまも生き延びて!!」
カレンは泣きながら抱きつく。
こうやって見るとカレンは子供だ。
だけど、俺を守ろうとしてくれる。
そんな、彼女を見ると
俺も頑張ろうと思える。
準備はできた。
もう逃げることはできない。
…
…
…
「レジスト…絶対帰ってくるんだよ。」
「レジスト。忘れ物はない」
「問題ないよ。父上、母上。
じゃあ、行ってくる」
「お兄さま気をつけて。
私もすぐに追い付きます!」
「ああ、待ってるからな。カレン」
そして、物語は始まる
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おまけ
プロフィール
レジスト・ヴィレッジ
男 20歳
好きなもの
黒
自分
○○
エクレア
メイダー王国の前衛部隊のエース。
元々は戦争に参加するのは先だったのだが
無能な父親の代わりに本人が志願して
15歳のときに王国軍に所属した。
とても傲慢な性格をしており、
他者を見下している。
魔法は妹であるカレンと同じで
火属性の魔法を使え、
腕前は国のなかでもトップクラス
その性格ゆえに人には好かれていないが
実力があるので嫌われてもいない。
妹が入隊したときに
前衛部隊を希望したの聞いて拒否した。
戦争が加熱する中ーーー
データが破損しているので読めません
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ゲーム本編前の話は今回で最後です。
次回から本編開始です。
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