第13話 お泊まり

この世界には聖剣というものがあるらしい

どこにあるのかもわからんし

本当に存在してるかもあやふやだが…


名前はイーナキラー

聖剣のわりには名前がキラーとか

物騒じゃないか?

頭のおかしい製作者が作ったゲームだし

名前なんて適当なんだろう。


書物だとこの聖剣は女性専用らしいので

おそらく、ヒロインである

主人公の妹用の装備であるのだろう。


パタン

本を閉じる。

ゲーム本編に入る前に

少しでもなにか情報が欲しかったが

今日も全て空振りに終わった。


「時間か。そろそろ行かないと」

残念にしながらも俺はその場を後にした。



ーーーーーーーーーーーーーー


「おじゃまします。」

「ようこそ。レジストくん

 よく来てくれたね。」

「レジストくん。13歳になったんでしたね。

 男前になりましたね~かっこいいですよ。」

「あ、ありがとうございます。」

俺は二人の男女に照れながら挨拶をする。


この二人はアリアのご両親だ。

父親の方がウィンさんで

母親の方がマリンさんだ。


そして、お気づきかと思うが

俺はアリアの家に来ている。

前までは基本的に

アリアが俺の家に遊びに来ていたのだが

流石に週4回も来て貰うとなると

申し訳なく思い、俺からも行こうと決めた。


「ウィンさんとマリンさんも

 お元気そうで何よりです。」

「ありがとう。

 そろそろ、

 お義父さんと呼んでもいいんだよ。」

「ふふ、そうね。

 私のことはママでもいいわよ。」

「い、いえ。遠慮しときます。」

この二人にとっては俺のことは

もう息子扱いなのだろう。


「あ!お父様方!!

 私がお兄ちゃんをお迎えしたかったのに~」

お怒り気味でこちらに向かってくるアリア。


本当にキレイになったなぁ


変わらないのは愛らしい髪の毛ぐらい

だいぶ、背も伸びて顔も大人っぽくなった。

さらに最近は胸も大きくなり

以前の子どもっぽさはほとんどなくなった。


「ははは、ごめんよ。アリア

 たまには未来の息子と

 少し話したかったんだ。」

「そうよ~

 いつもアリアちゃんがベッタリだからね。」

「もぉーーー!!二人とも!!」

ぷんぷん怒ってるアリアと笑っている両親。

見た目は大人になっても

中身は変わらないことに少し安堵する。


「お兄ちゃん!行きましょ。」

「おい、アリア。

 今日は泊まりなんだから

 焦らなくてもいいだろ。」

「いいの!」

俺の腕をつかんで引っ張ってくる。

やきもちをしてくるところも変わらない。


「後は若い二人だけに任せようか。」

「ふふ、そうね。」

アリアの両親に見送られながら

俺はアリアと中庭に向かうのだった。




「最近はご飯の食べ過ぎで

 少し太っちゃった…」

「アリアは細いから

 少し太ったぐらいがかわいいよ。」


「もふもふのパジャマを買ったの。

 今日着るから楽しみにしてて」

「愛らしいアリアが

 さらに愛らしくなりそうで楽しみだよ。」



「過去に戻って昔好きだった人と

 お付き合いする小説を買ったんだ。

 付き合うまで見てて

 キュンキュンしちゃった。」

「なんかおもしろそうだな。

 今度見して貰ってもいいか?」

 「もちろんだよ!」


散歩しながら適当な会話をする。

我が妹のことながら

よく毎回話すことがあるなと思うが

アリアと話すのは楽しいので気にしない。


「ジャスミンティー美味しいな」

「ふふ、

 お兄ちゃんのために取り寄せたんだ。」

「俺もお茶菓子を持ってきたんだ。

 一緒に食べるか?」

「ありがとう。お兄ちゃん!」


最近は国同士が一触即発な状態だが、

この空間だけは幸せが広がっている。


「お兄ちゃん。食べさせて///」

「おう、いいぞ。」

「…ん」パク

持ってきたクッキーをアリアに食べさせる。

親鳥から餌をもらう雛に見えて

とてもかわいらしい。


その後、遊びつかれた俺らは

ウィンさん共々夕食を食べ、

現在、一緒にお風呂に入っている。


「お兄ちゃん、ぷかぷか気持ちいい。」

「そうだな。のぼせないようにな…」

風呂に浮かんで楽しそうなアリアを見て

俺は優しく微笑む。





… 





やっぱり俺の妹最高だろぉぉお!!!!!







なんか今日1日クールぶってたけど


俺のキャラじゃねぇわ。

俺、まだ13だし。

大人になるのは早いっての!!



最近めちゃくちゃ成長してきたから

反抗期に怯えてたけどそんなことないし

むしろ、ベッタリだからな

俺のかわいいマイシスターたちは!!


来るなり、

自分の父親に嫉妬して頬っぺたを膨らませたり


最近あったことを一生懸命俺に伝えてきたり


食べさせてだぁ?


極めつけは今のぷかぷかだ!!


ぷかぷかって


ぷかぷかっておい


かわいすぎんだろぅ!!!!!!



一生なでなでしたり

お話ししたり

餌付けしたり

ぷかぷかさせたい!!!!!




妹最高!!


妹大好き!!


俺の妹は大天使!!!!!!!!




「お兄ちゃん?」

「なんだい。俺の大天使ありあ

トリップしてたらアリアに心配されちゃった。


お兄ちゃんうっかりうっかりテヘペロ

かわいい妹のはなー


「お兄ちゃんは戦争に行くの?」


しをきかなくては…


「アリアどうしたんだ?急に」


「お兄ちゃんは強いから

 戦争に呼ばれるかもって思って…」


 いけない…


「きゅ、急に聞かれても困るな~ 

 それに戦争になるかもわからないだろ?」


「じゃあ、もし戦争になったらどうするの?」


俺が今まで避けていた話題を

アリアが聞いてきた。


「俺は行くと思う。」

 俺は正直に話す。

 アリアに嘘をつきたくはない。


「私を置いていくの?お兄ちゃん」

「ごめん…アリア

 アリアと一緒にいたいけど

 俺は行かないといけないんだ…」

 悲しそうな顔で言ってくるアリアに

 俺は謝ることしかできない。


「どうして行かないといけないの?」

「アリアたちを守るためだ」

「私たちのため?」

嘘はついていない。

確かに俺は元々カレンのために

戦争に行く予定だった。

だが、今はそれだけではない。

俺の家族、そして大切なアリア

俺が守りたいものはこの8年で増えたんだ。


「…」

「アリア。

 ごめんだから、残ることはできない。

 もし、このことで俺との許嫁関係が

 嫌になったのなら解消しても構わない。

 アリアの自由にしてくれ。」

 俺はアリアに宣言した。


アリアとの関係がなくなるのは

胸が裂けるほど辛いし嫌だ。

だけど、アリアを縛りつけるのは

もっと嫌だった。

アリアには幸せでいてほしい。



アリアは顔を下にしているから

表彰が読めない。

失望しているのかもしれないな。


「お兄ちゃん…出よ…」

それだけ言うとアリアは風呂から上がる。

それに俺もついていく。


俺は寝間着に着替え終わると

アリアを待つ。


呆れさせてしまっただろう。

自分を置いていく許嫁など



「お兄ちゃん。着いてきて」

アリアも着替え終わったのか

俺の腕を引っ張ってくる。

格好は先ほど言っていた通り

もふもふしたピンク色のパジャマだ。


そのまま、引っ張られて歩いていく。

無言なのがすごく辛い。


「お兄ちゃん。入って」

着いたのはアリアの部屋だ。

寝るときはいつもここだから見慣れている。


「アリア寝るのか?」

「うん。」

そう言ってアリアは電気を消す。

アリアは暗闇だと眠れないから

俺が就寝灯をつけようとすると


バサァ


「駄目…」

アリアに止められる。


どうしたというのだろうか?


「ん?だってアリア暗いとーー」


眠れないんだろ


と言おうとしたが言えなかった。



あまりの衝撃で言えなくなった



「レジスト様///」



だって


そこには






 頬を染めたのアリアがいた






ーーーーーーーーー

おまけ


ライバルキャラの矜持


周りは焼け野原になっており、

たくさんの死体が周りには散らばっていた。


「ぎゃぁーーー!!」

「た、たすけてーーー!!」

俺の部隊の人間が一人また一人と死んでいく

このままでは戦線崩壊するだろう

使えない奴らだ

本当にどうしようもない下等生物どもだ


「このまま、後方部隊も潰すぞ!!」

「「「「「「おーーー!!」」」」」」

金髪の男が周りの兵士に指示を飛ばしている。

一気に我が国の軍を潰すつもりなのだろう。


このまま突破されれば

おそらく、我が国は終わりを迎えるだろう。

もしかしたら、俺もこのまま逃げた方がいいのかもしれないな。


そう思い、俺は逃げる準備をしようとした。

このまま下等生物と

一緒に死ぬのはまっぴらごめんだ。


ザッ

そうして、一歩踏み出そうとしたが


「そういえば、後方部隊にはあの

 赤髪の堕天使がいるそうじゃねえか!!」

品のない男の声が聞こえる。


「いい女らしいじゃねえか。」

「捕らえたらやっちまおうぜ!!!」

「そりゃあいいなぁ。」


俺には関係ないことだ



『お兄さま』



頭の中にあいつの姿が浮かぶ



俺には関係ない



あいつは下等生物だ



兄より優れていないのだ



なのに戦場にくるから悪いのだ



ダッ


「貴様ら!!!

 ここは

 レジスト・ヴィレッジが通さない!!」



俺は奴らの目の前にたった



「なんだ?」

「死に損ないじゃねえか」

「やっちまえ!!」



俺は命を全てかけて自爆する準備をする。


ここら一帯を破壊する魔法の準備を



なんてバカなことをしているのだろう

あんな下等生物のために命をかけるなんて




あいつが戦場にくるのが悪いのに



『お兄様と戦うために軍に入りました』



本当にバカなやつだ



『何故、私はお兄様の

 部隊にいれてもらえないのですか!!』



下等生物である

妹は守られていれば良かったのだ



『おにぃさま!

 プレゼントありがとうごさいます!!』



兄であるこの俺に… 




「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」





男叫び声と共に辺り一面に

      大きな爆発がおこるのであった。













ーーーーーーーーー

おまけはあったかもしれない未来です。



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