第9話 お願い!マイブラザー

「おにいさま!」

背中に抱き着いてくるカレン。

うん。俺の妹は今日もかわいい。


「どうしたんだい?カレン。

今日もかわいいね。」

「えへへ」

お兄ちゃんが撫でながら要件を聞こう。


「かれんをでーとにつれていってください。」

目をキラキラさせながらお願いしてくるマイシスター。

四歳になり可愛さにますます磨きがかかってきた。

赤髪も腰の程まで伸ばしており女性らしさも出てきた。


「…くぅ!」

「おにいさま!?」

ふふふ、心臓がやられただけだ。

大したことじゃない。


俺の心臓を狙い撃つなんて

カレンも成長したな。

お兄ちゃん嬉しいぞ!


なお、今週だけで三桁を超えているがな


「大丈夫だ。確かデートだったな…

 デート?」


でーと?

デート

デートデート


ふ、聞き間違えか?

俺も年かな?


「はい!でーとです。」

「カレン?その言葉誰に聞いたんだ?」

「おかあさまです!」

あんのお花畑余計なことを


「カレンはデートがなにかわかるかい?」

「すきなひととおでかけ」

「…グハッ」

「おにいさま!?」

花が咲いたような笑顔のカレンの言葉を受け

俺は口から吐血した。

やめろ、カレンその言葉は俺に効く。


カレンは大天使

カレンは大天使

カレンは大天使


よし!落ち着いた。


「俺とお出かけしたいんだな。カレン」

「はい。おにいさまとおでかけしたいです。」

大天使カレンが笑顔で返事をする。

よし、これならいける。


「なら、アリアも誘って三人でいかないか?」

我ながら天才かもしれない。

これで、デートであるというの意識せず。

妹たちを可愛がることができる。


「……です。」

カレンが下を向いてぷるぷる震える。

どうしたマイシスター!?


「カレンどうした?」

「いやです。

 おにいさまとふたりがいいです。

 おにいさまのばかぁ!!」

カレンは涙目になりながら言ってくる。

 


おにいさまのばかぁ


おにいさまのばかぁ


おにいちゃんきもい


おまえキモッ



ああああーーーーーーー!!!

カレンに嫌われてしまった。

このまま一緒に洗濯しないでとか

こっち見んなとか言われるのだろうか?


それもこれが反抗期というやつなのだろうか?

駄目だ。俺カレンに嫌われたら生きてけ…


「おにいさま!?」

バタ

ばたりと床に崩れ落ちる。


「カレン。すまない。

駄目なお兄ちゃんで…

嫌われて当然だよな…」

俺は懺悔する。


「ちがう!

 かれんはおにいさまのことがすき。」

「カレン?」


カレンはぺこりと頭を下げる。

「ばかっていってごめんなさい。

かれんはおにいさまのことだいすき。」 

「カレン」ガバ

「きゃっ…おにいさま♪」

俺たちは少しの間、抱き合っているのであった。



「屋敷の廊下でなんで劇やってるの?」




うっせぇ、変態へんたい




ーーーーーーーーーーーーーー

カレンと愛を確かめ合う(?)と

俺たちは二人で出かけることにした。   


「おにいさま、あそこあそこ」

カレンはちょっとした露店を指差す。


「カレンはなにか欲しいのがあったか?」

「おにいさま!これかわいい」

「おう、お兄ちゃんが買ってやるぞ。」

そういって俺を引っ張ってアクセサリーの露店に連れいてく。

カレンはアクセサリーが気になるお年頃になったらしいな。


「むむむ…」

並んでるリボンを見て吟味しているカレン。

真剣な顔もかわいいな。

今から絵を描いて額縁にいれたい。


ビキ


そういえば、ゲームのカレンはポニーテールでリボン着けてたな~


確か黒だっけ?


基本的にもうカレンが酷い目に会うシーンは見たくないのでスチールは見ないようにしているから覚えていない。


「おにいさま~」

「はいはい、お兄ちゃんだよ。

どれにするか決まったのか?」

リボンが決まったのかと思いカレンの方を見る。


「おにいさま。選んで~」

小首をかしげてお願いしてくる。


グフッ

今回は耐えたぞ!

俺の妹は大天使。


「お兄ちゃんが選んでるぜ。」

「やったー」

ピョンピョン跳ねているカレン。


デュワ


やばぁ

俺、今日死ぬかもしれん。

いかんいかん

リボンを選らばなければ!


そして、俺はゲーム通り黒いリボンをー



「カレン。こっちののはどうだ?

 天使なカレンにぴったりだろ?」

「おにいさまがえらんでくれた!!」


取ろうとしてやめた。

カレンは俺が選んでくれたのが嬉しいらしい。



「おにいさま。つけて?」

「おまかせあれ!!」

カレンの髪を一つにまとめる。

よく似合っている。


「ゆらゆら」

髪型を気に入ってくれたようだ。

揺らして遊んでいる姿は猫みたいだ。



カレンの名前をつけるときは

ゲーム通りにしてやった。

だけど別に今後ゲームに従う義理はない。

むしろ、ゲーム通りのことは避けたい。


今回の髪飾りはそんな俺の意志の現れだ。


「おにいさまぁ」

「どうした。カレン?」

カレンが服を腕を引っ張ってくる。


「しゃがんでめをつぶって」

「はいはい。」 

カレンの言う通り目を瞑る。

俺はカレンのためなら世界を敵に回せる

言いなりおにいちゃん


チュッ


「きょうはありがとうございました。」

夕日に照らされたカレンは

髪が燃えているように輝いてるのもあって

とても幻想的に見えた。










って




カレンになに変なこと教えてるんだ!!

頭お花畑共が!!!







ーーーーーーーーーーーーーー

おまけ


いまここにない未来


敵国の独房の中で私は手に持った

黒いリボンを見つめていた。


「お兄さま…」

思い出すのは同じ髪の色をしたあの人。

決して、優しい人ではなかった。

色んな人たちを暴力で支配するような

傲慢な人だった。


「ぅぅ…お兄さま」

でも、そんなあの人は家族には優しかった。

口は悪いし、態度も悪い。

だけど、家族には暴力は一切振るわなかった。


私はリボンを握りしめる。


このリボンもそうあの人が買ってくれたもの

私が遊びにいきたいと言って

だだをこねたら仕方がないと言いつつ

連れていってくれて選んでくれた。


俺は黒が好きだからな。

俺の妹であるおまえも黒でいい。


なんて傲慢な人だろう。


だけど、あの人の色に染められたようで

私は嬉しかった。



それ以来私たちは

一緒に出かけることはなかった。


そして、これからもない。



だって、あの人は…


「っぅ…」


ポタポタ


私は血が出るほどリボンを握りこみ、

そのまま横になる。


薄れ行く意識の中、

あの人と仲良く遊んでいる

小さな頃の私が頭に浮かんだ。


あの人に撫でられて喜ぶ私

あの人に抱っこされて喜ぶ私

そんな私を見て笑うあの人


それはありえない世界の話

私の妄想にすぎない。




だけど

 

私は祈らずにはいられなかった


神がいるなら叶えてほしい


どうか


 この二人の平和が永久に続きますように





そのまま、私の意識は暗闇に落ちていった







ーーーーーーーーー


レジストから見た登場人物


両親 →頭お花畑

カレン→大天使

アリア→マイラブリーエンジェル

変態→変態



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