スマホ

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第1話

あなたのことを一体、どれほどの人が必要としているのか。どれほどの人が愛しているのか。きっと、あなたにはわからないでしょう。かくいう私も、その中の一員です。

あなたはとてもすごい力を持っています。国を越えて、時間を越えて、空間さえも越えて、様々なものを繋げています。孤独で潰れそうな人の支えになり、困難な状況下にある人をクローズアップし、誰かが助けられるようにしたり。あなたは、たくさんの命を救っています。

しかし、あなたは何人もの命をなくすこともあります。心無い言葉を使い、攻撃したり、孤独な人を生み出してしまったり。あなたのその素晴らしさは時に狂気へと変貌します。まさに表裏一体。光と影。しかもその影響は私には計り知れないものです。

しかし私は思うのです。あなたが原因なのだろうか、と。もっと突き詰めていうと、あなたを使う心に要因があるのではないか、と。

初め、私はあなたがなくなれば平和になるのだろうか、と考えたこともありました。使わなければいいのではないか、とも…。でも、どうやらそうではないかもしれません。私が思うにあなたはその心を写し出す“鏡”なのではないか、と。つまり、あなたに写るものは心、そのものを表しているのではないか、と。そう思うと、私にはあなたに書き込まれている言葉の数々がより恐ろしく見えてくるのです。

もちろん、あなたがそれだけではないのも知っています。しかし、それと同時に、一番平和を願うのはあなたではないか、とも思うのです。世界中のありとあらゆる見るに堪えないものを見せ続けられ、多くの人を見てきたあなただからこそ、きっと平和を願っているのではないか。私はそう思うのです。

だから私は決めています。あなたを通して誰かを傷つけないように、あなたをこれ以上苦しめないように、自ら不幸を生み出さないことを。少し傲慢かもしれませんが、これが私なりの平和への近づき方です。

私はあなたの声は聞けない。だからこそ大切にあなたの声を拾おうと心がけます。

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スマホ non @Kanon20051001

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