第2話 物陰の視線

(でも、嫉妬って感じでもないんだよね)

 証拠に、明らかに将へ好意を寄せている相手がいる時でも、刺す視線は常に、その傍にたまたまいただけの御影に向けられていた。

 いっそ、嫉妬であったなら、あるいは、敵意たっぷりに目の前に現れてきてくれたなら、将との関係はただの友だちだと伝えられるのだが。

(見られている以上に何もしてこない相手なんて、どうしたら)

 刺す視線は、たぶん、御影でなければ気づかないような代物だ。

 そんな状態だというのに、自分を見ていたからという理由で相手に接触するのは、正直、気が引けた。場合によっては自意識過剰とも取られかねず、あるいは――。

(……うん。今のところは将の近くにいる時だけで、何かあるわけでもないから、とりあえずは放っておこう)

 一先ずは、そう結論づけて気づかなかったことにする御影。


 しかし、相手は意外に早く、御影の前に現れることになる。

 それも、明らかな害意と、その証である凶器を携えて。

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