第46話心優しかった機界の王

 遺跡に行くまでの間に俺達はブロギロン達の墓参りを済ませた。


 短い期間であったが忘れられない仲間であった。俺達にとっては弟みたいなものであり、皆から好かれていた為にその死を惜しんだ者は数知れずいたのだ。


 「では、行ってくるぞ………息子達よ……」


 アストロは少し未練そうに簡素にできた墓を見て寂しそうに別れを告げた。


 俺達も短い別れを告げ、転移魔法を使い遺跡まで転移する。


 「ここも随分と様変わりしたんだな…」


 周りを見渡しながら俺は昔と変わり果てた、懐かしい場所を見つめる。


 かつてあったであろう、遺跡は破壊され見る影も無いが、かろうじて残っているのはわずかながらの破片が散らばっているだけだ。


 「やはり、跡形も無く破壊されているようだなお前に対する恨みがここまであったとはな」


 オウキが残骸を見ながらアストロの方をみて苦笑いする。


 「まぁ、奴等に対して色々とやらかしていたからな恨まれても仕方ないだろうがここまで徹底的に破壊されていたとは…のぅ」


 頭を掻く仕草をしながらアストロはいつもの明るい口調で答えるが、次第に少しずつ暗い表情に変わっているように見えた。


 「さて、そんなことより……奴等の根城に向かうとしよう」


 いつもの明るさはなりをひそめ、アストロはゆっくりと歩きながら案内してくれる。


 「ベルゼさん……今回は話し合いに来ているんです、これ以上争いにならないようにですから…」


 アストロを見ながら、オウキは俺に告げる。もしかしたら彼が何かしでかすのかを心配しているようなのだ。


 「それは、俺も考えてはいたが…あの聡明なアストロがそんな短絡的事をするのか?」


 「いや、彼はずっと私達より一般的な人と同じ感覚を、もっているのかもしれない。それに今回二人も失っている……彼にとっては息子みたいなものであったはずだからね。それを失った悲しみは今の私達にはわからない」


 「…………わかった、出来るだけ不審な行動を取らないか注意はしておく」


 「すまない、私も…失ったから気持ちはわかるつもりだったのだが家族となると……」


 「カラダは冷たい鉄の塊だが……心は暖かいとはこの事が…ましてその暖かさが怒りの炎に変わり己を溶かしているのかも知らないか………」


 アストロの変化に俺達は不安に思いながら彼の後を追いかける。


 「着いたぞ……ここだ」


 無機質に告げるアストロが見ている方に目を向けるとそこにあったのは召喚陣が地面に描かれていて今なお怪しく光続けている。


 「………」


 「アストロ?」


 召喚陣を見つめ続ける、アストロを心配しオウキは彼の肩に触れようとした。


 瞬間、彼は急に走り始めて召喚陣の中に吸い込まれいく。


「ベルゼさん!」


 慌てた口調で叫ぶオウキに俺は彼の腕を掴む。


 「行くぞ!!」


 「えっ!?あっ、待って心の準備がぁぁぁ!!」


 オウキの言葉を無視し俺達は召喚陣に飛び込み吸い込まれいくのであった。


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