第44話圧倒的な実力差
(「まずは先手必勝!!一気に叩く!!」)
ブロギロンとジンバルは二手に分かれて左右で挟撃する形で攻め込む。
まず先にブロギロンが奴の顔目掛けて、拳打を打ち込む、唯の拳打では無く可能な限りの魔力を流し込んだ致命傷レベルの一撃を打ち込む。
だがそれを奴は素手で受け止めてしまう。
「だが!それは予想通り!」
瞬間、ブロギロンの腕が三つに分かれ花のように開くと同時に内臓されたいのであろう、ブースターが顔を覗かせている。
「ブースターフルスロットル!魔力全開放!」
ブォン!!とブースターに火がともり、そのまま一気に拳ごと奴の腕を破壊する勢いで拳に力を込める。
「なるほど、考えたな。だがその程度の拳打と小細工で私に勝つつもりなら、少し見込み違いだったか?」
「いや、まだだ!!」
今度は足にあるブースターを展開させ奴の腹に蹴りを一撃喰らわせる。
鈍い音と共に奴は一メートルほど後退するだけで余裕の笑みを浮かべる。
「なかなかの蹴りであったな。もっと君の全力を見せてくれ!」
「あぁ!見せるとも!」
短い金属音と共にブロギロンは姿を変える、それは体中にあったブースターを展開させたモード通称高機動型である。
「いくぞ!!」
高機動で得た、スピードを活かしたトップスピードの拳打を撃ち奴を追い詰めることにした。だが少しずつ追い詰められているのはブロギロンの方であった。
今のスピードではなつ一撃を奴は難なくかわしていく。ギリギリのところでかわす姿はもはや遊んでいるようにしか見えなかった。
(「クソ!?これをかわされたら流石に厳しい」)
すでに身体中の部品が悲鳴を上げているのがブザーでわかるがブロギロンは攻めることをやめない。
「大したスピードだ、並の奴等なら簡単に倒されていただろう。啖呵をきるだけのことはあるな」
ブロギロンの渾身の一撃を余裕で捌きながら奴は興味がないように呟く。
「だがやはり、運が悪い」
いきなり、ブロギロンの腕を掴む。
「拳で殴るのはこう言うことを言うのだぞ」
不快な音と共にブロギロンの腹に風穴が空く、致命的な一撃を受けた、彼は何が起こったのか一瞬理解するのが遅れた。
「グッ!、この分厚い装甲をぶち破るとは」
「残念だ。やはり私の遊び相手にもならなかったな」
心底残念そうに奴はブロギロンを見下す。
「そうかい…だ…だ…だが残念だな」
ガシッとブロギロンは奴の腕を掴み肩に内臓されていた。キャノンの照準をこの悪魔に銃口を向ける。
「な……なら、ゼロ距離射撃ならいくらアンタでもダメージは喰らうんではないか?」
すぐさまなエネルギーはたまり一気に放つ。
爆発音と共に奴の上半身は消し飛んだと思ったのだが。
「そこまでのガッツがあるとはな……ますます殺すのが惜しくなる」
まったくの無傷、傷一つなくブロギロンを睨みつける。
満身創痍のブロギロンはそれでも奴の腕を離さない。
「なんの真似だ?もう勝負はついている」
「いや、まだだ!私が例え私がやられてもまだ一人忘れているぞ」
「なに?」
そう、奴はブロギロンとの戦いに集中していた為に気づいてなかった。もう一人彼と同じような奴がいた事に。
大太刀を構え、一気に奴の腰から真っ二つにする為にジンバルは距離を詰める。
すでにブロギロンが活動限界をむかえようとしていたからだ。
「うおぉぉぉぉ!!」
叫びながら、ジンバルは渾身の一閃を振るう。
「グッ!」
奴のとった行動は思い切ったものだった。
まず、ブロギロンの両腕を切り落とし、その回避行動に移るのだが、やはり一手置かれていた。
自らの右腕を犠牲になんとかジンバルの必殺の一撃をかわす。
「この!」
だが、それはすでに織り込み済みであった。すぐにジンバルは肩に付いているランチャーを取り外しすぐに奴に打ち込む。
「速いな………」
自分に向かってくる、死の一撃を体を削りながら奴は進み持っている。愛刀に力を込めながら一瞬にして近づく。
ガギィン!!と鈍い金属同士の音共に火花が散りはじめる。ランチャーと刀がぶつかり合う。
そのままジンバルは大太刀を奴の腹目掛けて突きの一撃わ放つがすんなり交わされてしまい…。
「そうなんども、奇跡は起きないさ」
瞬間、ランチャーが真っ二つになり同時にジンバルの左肩が吹き飛ぶ。
「まだまだ!!」
腕が無くなった事に対して怯む事なく、ジンバルは決死の突撃をする。
「最後は突撃か…ならば私もーー!?」
奴はかジンバルの突撃に合わせてカウンターを決めようとしたが、後ろから優しくトンッと押されたのだ。
一瞬何が起こったかわからずに、彼は自分の体の異変に気づく。だが考える間もなくジンバルの刀が彼の核に突き刺さる。
反射的に彼は刀を振るう、無造作に振られたその一撃は不幸にもジンバルを真っ二つし吹き飛ばす。
最後の言葉を言うことも無く、ジンバルは崩れ落ちる中自分の下半身を見ながらゆっくりと機能を停止した。
「見事だ!、まさか……君ら二人に……」
そこで指揮官の意識は途絶えてしまう………。
あれから何時間経ったのかわからないがゆっくりと目を開ける、そこには知らない機械の生命体が俺の事を見ていた。
「おっ!どうやら起きたようじゃな」
機械のくせに陽気な声で喋りかけてくる、どこか人間臭い奴が俺を抱き起こしている。
「ここは…」
「随分と………ワシの傑作達を可愛がってくれたようじゃ。本当なら…この場ですぐに息の根を止めたいのだが……お前さんすでに死にそうだしな。まぁ名前だけでも教えてくれないか?あと明確な地位とかね、そうじゃないとこいつらも浮かばれないからな」
「そうか……私が負けるとはな、いいだろう。しかと聞いておけ」
ゆっくりと口を開け声をだす。どうやら、体も崩れ始めているらしく俺を倒した奴らがどんな奴らなのか聞きたかったが、仕方ない。潔く死を受け入れる事にする。
(「どうせなら……万全のあの老人に殺してほしかったなぁ」)
やりきれない思いを胸に抱きながら彼は静かに消滅する。皮肉にも彼は知らないのだが自分の命を奪った刀がバリーの愛刀だった事に。
「そうか……二人共おつかれさん」
アストロはただ一人この戦場を眺めてからベルゼの陣に戻っていく。
その後ベルゼはアストロから最後の邪神群の指揮官は打ち取られた事とジンバル、ブロギロン二人の戦死の報告を受ける事になる。
「ホゥ、小細工無しの正面からとは…なかなか好感が持てるな」
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