第33話オストリア平原
オストリア平原、かつてこの国の初代王がこの平原で大きな野戦をして大勝利をおさめ、この王国の建国に繋がったという歴史的な場所であると昔オウキから聞いたことがある。
場所は王国から数十キロ離れた場所にあるのだがここで負けてしまうと王国をさらなる危機に落とされてしまうかもしれない、かなり危険な戦いになるだろう。
「だがどうやってこの戦に勝つというのですか?そもそも我々に勝ち目はあると思われますか?現状の戦力はようやく戦をできる程度の国力にまで王国は衰退しているのです」
確かにここにいる誰よりも戦争を経験しているオウキからしたらこの平原での戦いには反対であるのも納得してしまう。彼ほど軍の状況と国の衰退に嘆いているものはいない筈だ。
「だがな、オウキ。ここで決戦を仕掛けなければ我々はジリ貧になっていつかは滅んでしまうぞ。それに魔王軍の戦力を、合わせたらなんとかやりあえないのか?」
「しかし彼は魔王の部下であります。それにこれ以上彼等を酷使するのは流石に厳しいと思います現に国に帰るものも出始めてある有様でもし負けてしまえばもう助けてはもらえなくなってしまいます」
現に今王国軍の攻撃の要になっているのは魔王軍の舞台だけが邪神群の部隊にダメージを与えているが人間の非力さを補えるほどでは無かったのだ。この状況を打開するには、更なる強さを持った兵士がいるだろうと。
「まったくだからこそ今動くべきであろう。このまま兵士が減り続けて負けるのか?現有戦力でやり合う方がまだ希望がある筈だ。それにベルゼに魔王軍を預けるから大丈夫だ」
異世界ではあるが、現に魔界の王子をやっているから適任として扱われているのだろうがそれでも流石に他所様の世界の魔族を従う事になるとは思いもしなかったのだから。
「で、どこを守ればいいんだ?俺達の部隊は主力見たいなもんなんだろう?どこを潰せばいいのか教えてくれよ」
あくまで反対なオウキを無視して話を進める。
俺はこれから始まる戦へ行く支度を始める。
まだ体は本調子では無いがそれでもなんとかして戦局を有利にするために遅れてきたぶんをとり戻さなければならない。
「ベルゼさん!!」
勝手に話を進める俺に対してオウキは抗議の声を上げる。
「わかってはいるさ、だがこのまま持久戦に持ち込んでも我々には勝ち目はない事はお前も知ってはいる筈だ。だったら決戦をするしかない。この劣勢を、覆すにはこれしか方法はないぞ」
「それは………私も理解しているつもりですがこの明らかに士気が低い中、兵達は快く戦ってくれるか心配なのです」
ここ十年に及ぶ邪神群との戦争によりかなり兵達は疲弊しているだろう。そんな中で決戦をすると宣言したところで士気の低いままでは兵達はあまり動いてくれないかもしれない。もしかしたら自暴自棄になっておりヤケを起こすかもしれないとオウキは心配するのだ。
「つまりオウキはこの決戦に向けた、前哨戦が欲しいってことであってますな。それもとびきりの戦果がある方が良いと……」
「まあ、今まで負けてきていたからには一回でも勝利しなければならいと思います」
オウキの少し諦めかけた表情に気付いたアストロは何も言わずにしばらく視線を合わせしばらく静寂が訪れる。
「なるほど、わかった。ならばブロギロンとベルゼ」
呼ばれた俺とブロギロンは顔を見合わせ、アストロに視線を向ける。
「一つ、ここはワシらが邪神群の指揮官を狙うしかないな」
「……………はぁ?」
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