第29話機界王とはいったい何だったのか?
壁抜けしてからしばらく歩いたところに扉があったそこに書かれていたのは局長室と殴り書きで書いてあるのと小さく「機界王」と小さく記してあるのは多分本人のプライドなのだろう。
「なぁ、オウキあいつまさか自分が王である事忘れているって事はないだろうな?」
「………」
何も答えないオウキを見て俺はため息をがら出てしまう。
「元々、彼の目的であった王として認めてもらう事はできたのと彼が作った魔力壁のお陰でここ十年邪神群を撃退する事は出来ましたですがそれ以来彼はここにこもる様になってしまいました。原因は私にもわかりません。唯、ベルゼが来たら呼んで欲しいと言われたので」
不思議そうにオウキは説明する、何十年いる彼がアストロについて全くお手上げ状態になってしまうほどに彼の行動は全くわからなかったからだ。
そもそも彼の文明は滅んでいた、その為に彼は邪神群に復讐を誓い奴等を倒す為の装備を、整えていたほどの人物。多分俺が知る限りでは一番邪神群を、恨んでいる筈なのだがオウキの説明を、聞く限り俺の知っている彼からは想像も、出来ない程の腑抜けてしまった様なのだ。
「もしかして研究が趣味になってしまい集中し過ぎた、結果がこの十年だったとは考えにくいか?例えば俺達と機械とは寿命が違う。
それに魔族は人間と違って長命であるからあいつ百年かけて新しい武器とか作るとか言い出しそうだと思うが?ほらお前も言っていたが前あいつを起こした場所が邪神群によって破壊されたってそこでの材料なら数年で作れるが、王国なら材料では百年かかるかも知れないだったら話は合う筈だ」
「確かにそうですね。それなら全く顔を出さなくなったのもわかりますでもそうだったら私にちゃんと伝えてほしかったです。なんか仲間はずれみたいで少しショックを受けるのですが!」
「ま、まぁそこは本人と話をしてみないと分からない事だからな」
少し拗ねたオウキに詰め寄らされそうになりながら俺はゆっくりと扉のドアを開く。
「待っていたぞ、ベルゼよ。十年ぶりだ積もる話もあるがまずそれは置いておき、本題に入らせてもらいーー!!」
彼がその続きを話す事は暫くできなかった。その理由はさっきのショックがまだ尾が引いていたらしいオウキにタックルされて吹き飛ばされていたからだ。再会して数秒でぶっ飛ばされる旧友をを見ながら思わず呟いてしまう。
「こんな再会の仕方もあるんだな」
「こんな再会の、仕方があってたまるか!!」
しみじみと思う俺に対して怒号でツッコむアストロそのアストロにタックルを決め馬乗りでしばき始めるオウキ。十年も合わなかった旧友達は随分濃い人物に出来上がってしまっていた様だ。
「で、こんな地下施設にずっとこもっている理由はなんなんだ?しかも俺が来るまでずっと黙っていたなんて、そりゃオウキに不安が溜まっても仕方ないだろうよ」
「いや、しかしタックルしてくるとは思いもしていなかったから……まぁワシが悪いから仕方ないのじゃがな。すまんなオウキ」
何か言いたげなアストロだったが、横にいる不安が爆発し、暴走しかけているオウキを見ると素直に謝る。
「別に私は怒ってはいません。唯たまには研究室から出てたわいもない話をしたかっただけですので それにベルゼさんが来るまでとか水臭いではないですか?私達の仲でそれはあまりにもひどいじゃないのではないでしょうか?」
満面の笑顔でオウキはアストロの手を握りながら告げる。
「あ、あぁそうだなこれからは気をつけるとするよワシも悪かったと思っていたからな」
すっかり王としての威厳を失ったアストロは俺に手招きをしてオウキから少し離れた場所で俺をよんでいる。
「なんですか?そんな近距離で二人だけで会話とかあいつに火に油を注いでしまうだろ?」
「いや、わかっているのだがあいつあんなにおっかなかったから?なんか昔のあいつはもう少し冷静であった筈なんだがね」
「そりゃ、十年もそっけない態度をとっているのが悪いんだろう?いくらあいつでも怒って当然だと思うぞ」
「十年!、あれからそんだけ経っているのか?ワシとしたことがとんだ勘違いを、しておったわ!あまりにも研究に集中し過ぎてすっかり忘れてあったわ!」
すっかり職人気質が身についてしまったのか、語尾がワシにまでなってしまっている。もはや王と呼ぶより親方の部類に入りそう。
「まあ、皆さんそんなに怒らないであげてください。僕も陛下も国の為に頑張っているのですから?」
「えっ?君は誰だ?」
突然話の輪に入ってきた、アストロとは違うロボットが入ってきた。少しばかり背が小さいが右手には鞭のようなものがついており先端には鋭い刃がついた車輪のようなものがついてある。
俺の問いにロボットは頭を下げてからこう言った。
「申し遅れました。私、アストロ様の家臣第一号ブロギロンと申します。アストロ様が十年かけて作った傑作機でありますのでお見知りおきを!」
高らかに宣言するブロギロンを見て驚愕すると同時にオウキが会心の一撃の言葉のナイフを放つ。
「もう王なんかやめてそのまま研究者になればいいんじゃないの?」
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