第19話いざ、魔王城へ!
それから数日間が経ち、俺とオウキはすっかり回復しきっていた。アストロも破壊された場所の修復が終わりもう動ける状態にまでなっている。
俺とオウキは、今後の戦いに備えて自分達の武器をアストロに頼んで強化してもらうことにした。俺の魔剣やオウキの槍と剣にはより魔力が通りやすいように改良してもらい、さらに貴重な鉱石を使い切れ味を、上げることに成功したのである。
このおかげで魔力を流さなくてもある程度邪神群と斬り合いができるようになる。同時に魔力の節約にもなるし戦術の幅が広がっていく。
対してアストロはあまり見た目は変わっていなかった。だが彼曰くもうやることはないらしい。
「ひとつ、アストロに気になるんだが聞いてもいいか?」
「別に大丈夫だが何を知りたいんだ?」
「序列とは?一体なんのことでしょうか?」
序列、ふとアストロが漏らした奴等邪神群の階級とはまた違ったものであり、別物なのかもしれないが、かなり気になってしまう。
「今まで、聞きたかったんだが奴等にはまだ上がいるってことなんだろ?、それもとびきり強い奴らが」
「そうですね、まだお二人には伝えていなかったことでしたね。ではお話いたします、彼等について詳しくとはあまり私もわかっていないのですよ、私もすぐに倒されてしまったので」
アストロは近くにあった紙とペンを使い何かを書き始めた。そこには下級、中級、上級と書き始める。
「まず最初に君達には話したのだが彼等には下級や中級などがいると話したんだけどね、その中に一番上は上級がいてね。この階級が一番邪神群で強い部類だと私は思っていたんだ」
アストラはそこまで言い終わると、さらに図に書き足していく書き足された文字は序列でそれは序列の横に書かれたのだ、そして中級と上級の文字にバツをつける。
「だけどどうやら奴等にはさらに上がいたんだよそれが序列の階級でね、彼等は全く姿を見せないけど強さは別格で魔力の塊みたいな存在なんだ。現在確認されているのは四体だったんだけど、幸運なことに奴らが序列に、なる瞬間を見ることができたんだけどあの感じだともう中級や上級はいないと思った方がいいかもしれない」
「何故、いないと思われるのですか?現にあの場所にいたではありませんか?結局吸収されてしまいましたけど……まさか吸収で」
「オウキさん、そうなんですよ。私も知りませんでしたが彼等は仲間を、生物的に例えると共食いをして強くなっていくようなのですよ、はっきりいって困った奴等ですが、今回の件で分かった事はもしかしたら上級や中級はいないのかもしれない、なぜなら序列の奴等に食われてしまったからだと思うのです」
「なら、これからはその序列を倒していけば奴等が俺達を攻める理由がなくなるわけだろ?なら手取り早く倒すべきだろう」
「ベルゼさんのいう通りかもしれません、ここで一体でも倒してしまえば我々地上界側の戦況が一気に楽になるかもしれません」
血気盛んな、俺達に対してアストロは首を振る。
「おふたりの気持ちはわかりますが、現状探すのは難しいと思います。彼等が今どこにいるのかわからないのです。それに生まれたての序列クラスにやっと勝てたのが現在我々の実力です。次戦うのは上澄みの強い奴等なのですから次は勝てる保証はありません」
はっきりと告げるアストロに対して俺達は何も言えなかった、現状言われてしまえば確かに俺達の実力ではどうにもならない可能性の方が高いからだ。
「ですが、ここまで彼等が活発になってきている為もしかしたら決戦という形でやりあうのかもしれん、その時までに仲間を集める必要がある」
少し、口調が変わり始めたアストロ、多分今のが彼の素の喋り方なのだろう、場合によっては俺達の事をある程度気を許してくれているのだろう。
「さて、ここまでにして私達が本来向かう場所に行かなければならないのだろう?オウキさん」
「そうですね、ではそろそろ出発しましょう」
ここで邪神群についての話は一旦終わる。序列クラスとやりあう事に俺は興奮で震えながら自分の宝剣を見つめる。
(「まだ俺はこの剣の力を全部出せていない気がするな、なら俺が強くなる可能性ガンプラあるとしたら今から俺達が向かう場所だな」)
少し、時間がかかってしまったが本来の目的である魔王城で向かう事になった。
しばらくいた古代遺跡に別れを告げ、俺達三人は魔王城までの道のりを歩き始めた。
オウキの話によると魔王城までいくのにそこまで時間はかからないらしいここからならよくて二日程度着くらしい事だったのだが。
「それなら、私達の残っている遺跡からなら飛ぶことができて、その方がすぐに着くのだが」
すっかり丁寧な口調が無くなったアストロの提案に俺達は耳を疑う。だが彼等の技術力ならあり得るのだろうと思いお願いした。
「よし!ならば見せてやろう機界文明の力を!」
何故か張り切っているアストロに対して少し不安を覚えてしまうが彼なりに仲間として役に立とうと頑張ろうとしているのだと思っていたこの時までは。
確かに俺達は魔王城にたどり着いたそれも一日かからずにだ。だが……
「おい、これは一体どういうことなんだ?」
俺達がまず目にしたのは王国の時に目にした、王の間によく似ていたのだ。そして周りには魔族の兵達であろうか驚いた表情でこちらを警戒していたのだ。
「まさか、こんな近くに着くとは思ってはいなかった……」
アストロは頭を掻く仕草をしながらすまないとばかりに俺達をみた。
「ベルゼさん、この状況はかなりまずいかもしれませんよ」
横にいるオウキも少し青ざめた顔をしている。
「邪神群を相手にするよりも難しいかもしれんなこの状況は」
軽い冗談を言いながら俺は玉座に座っている、魔族を見る。
「まさか、こんな大胆な事を考えていたとはな、まさかその人数で妾を、倒そうとしておるのか?貴様達」
特徴的な翼にツノ、そして漆黒の黒髪ロングで細い尻尾が生えている。俺からみたらよく魔族の中でも上級の種族だとわかる。だが魔王にしては若い印象を感じてしまう。
「オウキ、誤解を解くのは任せるぞ、この世界の代表はお前だ、このとんでもない状況から見事成功させてくれ」
無言でうなづきオウキは前に出る。
最悪過ぎるタイミングであるがやるしかない、これが成功しないと彼等の世界の人類は終わってしまう。ここに最後の正念場が待ち構えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます