第17話機界王の実力
俺が魔力を溜めている間、アストロは火のセラフに対して接近戦を仕掛けた。対する相手も応じるように炎で作ったハルバードを両手に持ち壮絶な戦いを繰り広げている。
アストロは大剣ともうひとつ装備していた、海賊が使うような剣を取り出し二刀流で攻めに掛かっているのだが、どちらも試作品でありビームの出力というのは魔力で代用している為、長期戦になるとかなりきついものがある。
(「流石にこれは厳しいかもしれないな。こいつ自体も接近戦におけるポテンシャルはかなりあるようだな」)
斬り合いながらも冷静に相手を分析し次の一手をどうするか考えていく、自分の体が熱でオーバーヒートしないように強制的に冷却をしていく所々アストロの口が開きもう凄い熱気を吐いているのはその為だ。
(「あっちは永遠に魔力が補給されていくがこちらは動かせば動かすほどに冷却装置と魔力生成回路がやられていく、強さ的にはこちらが上なんだが時給戦になれば俺が不利になるのは当然だな」)
アストロと火のセラフの攻防は数十分にも及んだお互いに相手の嫌なところをついてくるのもあるがアストロが装備しているクロスがある分、セラフには不利であった。
その為、セラフはアストロのクロスを破壊することに専念することにした。ある程度のダメージは覚悟の上でハルバードを叩きつける。
そんな奴の狙いなどアストロは知ってはいたが既に魔力が作れる限界が刻一刻と迫っている彼にはそこまでの余裕は無い。砕け散る自らの生命線であるクロスを無視して奴の懐に飛び込み先程当てた腹にめがけて一撃を入れる。
どんな一撃を受けても全く反応を見せないセラフが後ろにバックステップをするそのまま大量の火球をアストロにめがけて放つ。
奴の猛攻に対してアストロは一気に突っ込む、既にクロスは集中的に攻撃を受けた為に右側は肩を守るぐらいに削られていたのだ。
「くっ!」
なんとか火球を全部弾き終わり、アストロが大剣を振るおうとした時、既に奴は懐に潜り込んでいたのだ。
咄嗟に後ろに下がろうとしたアストロだったが回避が間に合わず奴のハルバードが大剣を持っていた左手を切り裂く。
つけていたクロス事肘から下を失ってしまう。本来なら人間なら痛みで悶えてしまうのだが、そこは機械なのかアストロは意外な動きを見せる。
なんと腰なら内蔵されていたのか、ハサミ型の腕が大剣を掴む。そのままアストロは遠心力を利用して奴の腹に思い切り叩き込む。
亀裂がさらに入り、そのまま地面を抉りながら壁にぶつかる。火のセラフを確認してから右手に持っていた。ビームの剣を相手に投げつけ、大剣を拾い勝負をかける。
むくりと火のセラフは立ち上がらのだが、腹に受けたダメージは致命的でアストロが投げた。剣に対して反応ができなかったのだ。
そのまま剣を受ける形で奴の右腕につき刺さりそのまま壁に体が固定されてしまう。それと同時にアストロが現れ火のセラフの腹にめがけて突進してくる。たが奴もそう簡単にはやられるやつでは無くすぐに右腕を切り落として転がるように回避をする。
「流石に私も辛くなってきましたね」
渾身の一撃をかわされ、流石に焦りを見せ始めるアストロ、既に何回も強制冷却を永続にしているが既に熱を逃す限度は超えており、少し動きが鈍くなり始めてきていたのだ。
(「マズイな、体のあちこちが悲鳴をあげているな、もう少しだけもってくれ!」)
どちらも満身創痍な状態、だが有利なのは永続的に魔力が作られる。火のセラフの方であった。
逆に早くしないと自分が動かなくなってしまう、アストロは相手の出方を伺う余裕などない。
その為に一撃必殺を込めて奴に攻撃をするしか道はなかったのだ。
アストロの渾身の一撃は難なくかわされ、奴の強力な蹴りが大剣にあってしまう。
奴の魔力で威力が上がった蹴りを受けた大剣は簡単に真っ二つに折られてしまう。
「なんの!!」
メイン武器を、折られたのに関わらず戦意が落ちないアストロは足の裏に仕込んでいたナイフを出し奴の膝めがけて踏むように突き刺す。
「それだけではないぞ!」
間髪入れず、ずっと使っていなかった。折りたたみ式のデカいライフルを装備しそのまま奴の腹にめがけて数発撃ち放つ。
バギィン!!、バギィん!と当たってはいるだが銃弾は少し食い込む程度で腹に直接届かない。
「硬いか!、なら」
今度はライフルを二つにおり、魔力を通す、すると馬鹿でかい魔力で作られたビームの刃ができておりそのまま奴の腹めがけて突き刺しにかかる。
火のセラフはアストロの狙いはわかっており、奴は自分の動きを制限にした、アストロの足を残った手に持っているハルバードで取りに行く。
だがここで急にアストロの腕は腹から火のセラフの残った腕に標的を変える。
ほぼ同時であった、アストロの足と火のセラフの腕が簡単に宙を舞う。
足を失ったことによりバランスを失った。アストロはゆっくり倒れながら彼は叫ぶ。そう彼にはとっておきの切り札があった事を。
「ベルゼ今だ!!」
その言葉を俺はどれほど待ち望んでいたことか。
「おう!!いぐぞ!!」
俺は貯めていた魔力を刀に解き放ち奴のボロボロではあるがいまだ守られている核に目掛けて突き刺す。
「うおぉぉぉ!!」
既に何度もダメージを受けている腹は難なく装甲を突き破り奴の核である、魔力回路に突き刺さる。
「………!」
奴は何も言わないが、苦しそうにしばらくもがいていた。その中で俺に向けてビームを放とうとした瞬間、奴の顔に黄金の槍が突き刺さる。誰が投げたかは言わなくてもわかる。
そのまま奴は動かなくなった。
「勝ったのか?俺達は」
「あぁ、勝ちましたとも、我々の勝利です!」
重症のアストロが短く答え、俺達は倒れんでしまう、もう一歩も動けなかった。
ここに地上界で初の邪神群序列第五位相当を撃破した。これは古代文明でさえなさえなかった戦果をこの三人の英雄は果たしたのであったのだ。
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