第16話反撃

 戦闘はすぐに始まった。


 先に仕掛けたのは邪神群だった、目にも止まらない速さの魔力の塊をアストロめがけて放つ。


 いきなりの不意打ちであったがアストロは慌てる事はなかった。


 それは彼が「クロス起動」と呟いた瞬間、彼の両肩の辺りから分厚そうなシールドが装着され邪神群の一撃を耐え抜いたのだ。


 「まさか……、アレを耐え抜くとは」


俺はあまりの光景に唖然としてしまう。防御魔法と翼で身体を守ったとはいえかなりのダメージを負ってしまった一撃を彼は傷ひとつ無く耐えてしまうとはやはり彼らの技術力は化け物だと改めて知ってしまう。


 「やはり、不意打ちに魔力のビームを放ってきたかお前達のその一撃によって何人もの私が守ってきた仲間達が犠牲になった事か」


  肩に付けたデカいクロスには焦げたような跡がついているがそんなことは関係なしにアストロは手にしていた大剣を構える、見ると大剣の刀身の両端に穴が空いており特殊な大剣なんだろうと俺は思う。


 「お前達、相手ならわかってはいる。かつての私は武器を作る暇も無く敗れてしまった、だが今回はそうではない!この日の為に我等は準備してきたのだ!」


 

 かなり重量があるであろうと思われる大剣を片手で掴みアストロは奴にめがけて横薙ぎに振るう。


 力任せに奮った大剣は奴の腕に深く食い込んでいく。どうやら腕何損傷する衝撃が奴に襲いかかっていたのだろう。


 たがそこで終わる筈が無く、手応えを感じたアストロは不敵な笑みを浮かべる。


 「こんなので終わる訳は無いぞ」


 アストロは大剣に意識を集中する、その瞬間大剣のの端から何本かの太い切っ先が出てきてそれが邪神群に突き刺さる。奴の硬い装甲が破壊される音共に奴は壊された腹を抱えて大きく後退する。


 驚くべきところであるが俺はそれ以上に驚かされたのは奴がさっき刀身の端から出した切っ先は魔力で編まれていたものであったのだ。少しの間揺らいでから刀身の端にある穴から消えていくのであったのだ。


  「お前、いつのまに魔力を魔術をを使えるようになったんだ?」


 驚きを口にする俺に対してアストロは短く答える。


 

 「いや、何。これくらいのことはしないと奴には勝てないと思ってな。速攻にお前達の戦いを見ながら解析しつつなんとかすることはできた。」


 さらっととんでもないことを言うアストロに対して俺は頭が上がらなくなる。流石古代機械文明の王だけはあると感心してしまう。


 「だがあまり悠長なことはできない。これは簡単に言えば応急処置みたいなもんでな元々、こいつにはビームが出るようにするべきなのだがそこまでの時間が無かったし、私自身の魔力を作り出す機能も試作段階の上でぶっつけ本番だからいつ壊れてもおかしくない」


 「そうなのか?」


 「あぁ、しかも想定していた奴の強さが違いすぎる。あれは邪神群の中でも序列五位ぐらいの強さかもしれない。今の私で勝てるかどうか怪しいラインだ」


 相手の強さを把握しながらアストロはそう判断したようだがそれは俺にとってもあまり良い知らせではなかった。


 「そこでだ、ベルゼさん。動ける自信ある?」


 「あぁ、一瞬だけなら動ける自信はあるぞ」


 俺の答えにアストロは俺の肩を優しく叩くとこちらに振り向いて。


 「なら、私がなんとかして奴から隙を作るチャンスを作るからそのタイミングで渾身の一撃を奴のヒビが入っている腹に放ってほしい。あとは私がなんとかするからやれるか?」


 「あぁ、やれるとも。誰に聞いてるつもりなんだ?」


 「よし!、それが聞けたなら安心だ。さぁここから逆転していくぞ!!」



 オウキが動けない以上俺がやるしか無いし、奴の分まであの化け物に一泡吹かせてやる。俺は血に塗れた剣を握り直し魔力を剣に溜め始める。


 すると俺の微弱な魔力を感じたのか、邪神群はまるで装甲が溶けてしまうぐらいの炎を周りに作りいくつもの火球をこちらに飛ばし始めた。


 「そうか、やはり「火のセラフ」だったかお前は!!」


 何発かクロスに被弾しながら魔力で作った刃を大剣から出しながらアストロは火球を切り裂かながら前に進み奴の懐に入る。


 奴も炎で作ったハルバードで応戦する。


 「悪いですがここから接近戦で行かせてもらいますよ!」


 そしてここからアストロの真の実力を俺は知ることになる。

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