第14話中級邪神群ではなかった……

 少しばかり進んだ時、ピタリとアストロは動きを止めてしまう。

 その様子に気付いた俺達も一緒に足を止め、アストロの見ている方向に視線を移すとそこには目立つように豪華な装飾がしてある彼等機械の人々が入れる大きな扉があったのだ。


  「アストロさん………」

 

 オウキが少し残念そうなまなざしでアストロを見つめる。その視線に気付いたアストロは少しまともにオウキの顔を見ていない。


 「これは勝手に部下達がやってしまったことなんだよ!、私は嫌だと言ったんだがな彼らの好意を受け取ってこその王の度量というものだよ」


  「ですけど、こんな装飾をしていたらそりゃ重要なものが入っていると誰もが思うはずですよ。もし新しい体が壊されていたら私達は何の為にここにきたかわからなくなりますからね」


 「う、うむすまない」


 言い訳をする古代の王に対してオウキは静かに怒るとアストロは何も言い返さず素直に謝ってしまう。


 (「大丈夫なのか?この王様?」)


少し不安になりつつもこの部屋にある彼の身体をとりにいかなければならない。まずアストロが扉を開けるためにセキュリティというのを解除する。どうやらここのはかなり複雑に設定されているらしく少し時間がかかるらしい。その間俺達は武器の点検をする。


 「気を付けて欲しいが奴等の中級クラスの邪神群はかなりの強さをしている。下手すれば小さい国ならわずか数体で滅ぼしてしまうかもしれないほどに危険な存在だから覚悟してほしい。まぁ貴方達二人なら大丈夫だと思うけどな、多分」


 忙しなく手を動かしながらアストロは俺達二人に中級邪神群の説明をする。だが内容が奴等の強さについてだけだった為に俺達は一層覚悟を決めなければならなかった。


 「おい、前から思っていたが中級がいるなら上級もいることになるだろう?お前は一体どのくらいのやつとやり合って負けたんだ?」


 中級邪神群についての微妙な情報に対しての腹いせに少し意地悪な質問をしてみた。


 「フッ、すまないな。適当な感じに聞こえてしまったようだから訂正しておくと私もあまりわからないんだよ。一応低級と中級は、結構曖昧でな私の匙加減で決まっている感じなんだよ。それに私がやられたのはあまりにも一瞬であったのでなはっきりした事は言えない」



 そんな俺の言葉に対してアストラは少しだけ困ったように謝りながら答えてはくれた。


 「そうかすまん。俺達も死ぬかもしれないと思ってな少し過敏になっていたかもしれねぇだがお前が負けたって事は上級なのか?」


 彼の誠実な態度に対して俺は意地の悪い質問をした事に対して謝罪をし、改めて核心に迫る為に質問をする。


 「多分、上級クラスだと思うが束でこられた為に一体、一体の強さは分からない。唯、私がみた光景は最後にまだ一際大きい奴らがいたことがわかったそれだけなんだよ」


 アストロが言い終わると同時にガチャンと音がしたどうやらセキュリティが解除が出来たようだ。


  「さて、諸君準備はできているかな?」


 アストロは後ろを振り向き、俺達に確認を取るが既に準備はできている俺達は静かにうなづき合う。


 「そうか、なら君達の前哨戦となるだろう、ここでの戦いが君達人類にとって通過点であり運命が決まるかもしれない。とりあえず頑張ってくれ!!」


 扉が勝手に開くと同時にとてつもないプレッシャーをかけるアストロを軽く蹴飛ばしてから俺とオウキは緊張した面持ちで部屋の中に入る、相変わらず部屋の大きさは規格外で周囲を見渡すにも限度がありすぎる。


 その中でどうやら機械だからなのか目がいいらしくアストロは何も言わず蹴飛ばされた状態で指を指す。


 そこにはガラスに封じられた大きな身体が収められていた。どうやらアレがアストロの新しい身体よようだ。だがその近くに奴がいたのだ。


 そいつは今までに出会った邪神群とは少し違っていた。まず大きさが他の奴らよりも一回りほど大きく体を覆う装甲ようなものも分厚くない。一つ目なのは相変わらずだが今回のやつの目は青色で彼らにとっての弱点の筈の核が剥き出しになっているのだ。


 「アレが、中級クラスなのか?アストロ」


 俺は肌に伝わる威圧感からあいつは只者ではないと感じてしまい戸惑いながらアストロに聞いてみたのだがそれがいけなかったようだ。


 「まさか……奴等も進化するのか?」


 「はぁ?」


  会話にならない返しに俺は疑問を投げかけてしまうがすぐにアストロは気を取り直し俺達の肩を激しく叩いた。


 「ベルゼ、オウキ気をつけてほしい。アレは中級ではないかもしれん、そもそももう中級クラスはいないのかもしれない」


 「なんだって!?」


 慌てた様子で言うアストロに対して俺達は彼に説明を求めた。だが彼にとっても不測の事態らしく人間で言うところの冷たい汗でもかいているような状態かもしれない。


 「奴等はお前達人間のように進化している。それにあやつらから複数の核があるのを確認したつまり」


 そこで言葉を区切りアストロが奴に対して指を指す。


 「あいつらは仲間同士で吸収してあの状態になっている。もしかしたら上位レベルかもしれんぞ」


 「上位レベルかぁ、俺達に勝ち目はあるのか?」


 「無い!、だが唯一勝ち目がある方法がある」


 あっさり言うアストロに対して面食らいそうになったが一応突破口はあるらしいまず俺達は彼の案を聞くことにする。


 「少しの間でいい、私が新しい身体に乗り換えらまでの三分間の間やつの攻撃から耐えてほしい。それができればあとは三人でなんとかやれるかもしれない」


 「どうやらその方法しかないですし、時間もないようですよ」


 俺達が話している間に奴は俺達を見つけたらしく臨戦態勢に入る。


 「チィ、わかったよそのかわり早く来いよ!」


 「あぁ!そのつもりだ!」


 瞬間、脱兎の如く走り出す、その動きを見逃さなかった邪神群はすぐにアストロの元に向かうが。


 「いかせませんよ!!」


 奴の土手っ腹をオウキが渾身の一撃を込めて突く邪神群は少しだけよろけた程度であったがすかさず俺が空中から蹴りを入れる。


 ガゴン!?と鋼鉄の塊を蹴ったような感触が足に伝わり、やっとのことで邪神群をふりむかせることに成功する。


 「お前の相手は俺達だ!」


 俺とオウキは戦闘態勢に入る。アストロが新しい身体を手に入れるまでの間の時間稼ぎを俺達はやらなければならない。

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