第12話機械文明滅亡の事実 後編

 「今度は、数名やられてしまった。最初の、犠牲者出てから約三年後ぐらいだったかな、数カ所の場所で仲間達がやられた。しかも奴等は今度はバラバラにはせずに致命傷な部分つまり人間でいうと心臓や頭などを徹底的に破壊しすぐにいなくなっていたんだ」


 そこでアストラは立ち上がり何かのパネルを、さわり始める。


 「あまり見せるべきでは無いがこれが犠牲者達の姿だ」


 突然一つの真っ黒な薄い箱が動き出し何かが映り始める。そこには胴体や頭を必要以上に破壊された無残なアストロの仲間達が映し出されていたのだ。


 「これは、惨いな……」


俺は思わず呟いてしまった。まるでおもちゃでも遊ぶかのように弄ばれていたのだ。もしこれが人間や魔界の、魔族だと考えると吐き気を感じてしまう程にあまりにもひど過ぎるものであった。


 「私達はこの惨状を見てある決心がついてしまったのだ。それは奴等の研究をする事にしたのだ。その理由はあまりにも組織的な行動をする為に我々は彼等の生態に興味を持ってしまった事。もうひとつは奴等の殺し方があまりにも特殊すぎたからだ。まるでどこを壊せばこいつは死ぬのか探っているようなそんな感じがした。あとはなんとなくこの生物は見逃してはダメならものだと本能で感じてしまった為に私達は残る事にした。だがそれが失敗だったと後から気づく事になったのだ」


 アストロはチラッと壁画に描かれいるのを、懐かしくも切ないものを見るかのように見ながらまたパネルの、操作をする。


 そこに映し出されたのが今までの邪神群についてまとめた資料のようだった。書かれている事はさっぱりわからなかったがかなり貴重な情報のようだ。


 「私達は、そこからいらんなことを調べるようになった。だが調べれば調べるほどに奴らが一体何者なのかさえわからないままであった。奴らがどうやって生まれてきたのかさえ当時は分からなかった。だが奴らの目的だけはわかっていたのだ。それは」


 そこで、アストロはさらに資料のページをめくっていく。そこに書かれていた題材つまりここからが俺達にとっても知りたい話になる。「彼等は一体何故我々を襲うのか?」これはアストロを含めた彼等当時の人々の総意であり、滅ぶまでに完成させた貴重な資料なのだろう。


 「奴等についてわかった事は、機械のようで機械ではない。生物のようで生物ではないどこか異質の存在だと言うことがわかったのだ。我々と同じ機械生命体なのかと思ったが、生物のように血も流れている。かといって生物かと言うと意思の疎通ができないが仲間間での連携は取れる。彼等は声を発しはしないが組織的は行動をすることがある。故に混乱した、奴等の目的はなんなのか?私達に危害を加えるのは何故なのか?そのまま数年が過ぎた時、我々はある共通点を見つけた。」



 アストロはまたその場で話を区切り、ある画面を映し出してくれた。俺達が見ている画面に映し出したのは壊れた機械文明の未知なる装置達であった。


 「これらは私達が新しく作ろうとした物であり、決まって試験運用の日に奴等は襲ってくるのだ。まるでこちらの事情を知っているような」


 俺達もアストロが見せた装置に見覚えがある、形はだいぶ風化してしまっているが俺達が見つけた、古代遺跡もこんな形をしていたような気がする。


 「奴等は執拗に施設を破壊した、自分が壊されながらも必死にな。どの新しい施設に対してもだ。疑問に思った私達は奴等の行動パターンと出現場所をもう一度調べてある結論に達した。だがこれはあまりにも理不尽すぎた結果であった」


 一度間を置いてからアストロは静かに語る。


 「彼等は、文明を破壊する為に生まれた生物だったのだよ。そして多分奴らも転移で来たのかもしれない、こんな生物がこんな惑星にいたらこんな惑星は消えていたかもしれない。奴等はある程度まで文明のレベル抑えるのが目的だったのだろう。だが我々の文明レベルが基準を超えてしまったのだろうな。そして悪い事に我々の仲間を襲い、バラバラに調べた結果、我々機械人も対象になってしまったようでな。これで奴等は我々を文明ごとを滅ぼすことが決まってしまったということだ」



 「奴等のあまりにも神のような振る舞いと殺す時の残虐性の意味を込めて私達は「邪神群」と呼ぶ事にした。このことが分かったのは滅ぼされる数年前のことであった。私達も黙って滅ぼされるのはごめんだった、我々は対抗する為に様々武器を、製作して奴等に使った。戦況は一年程は優位にはなったがある日奴等の上位種が現れ戦況は半年で変わり我々はそのまま滅ぼされてしまった。かくいう私も闘ったが数で押されてしまい元々のボディを失うハメになってしまったのだ」


 深く息を吸うように体を逸らしたアストロはその場にゆっくりと座る、その仕草や態度から人間くさく本当に機械か疑ってしまう。


 「そして私は今、記憶とデータとのちの世に伝えるためにあちこちに壁画を作り、奴等の危険性を伝えた。まぁ千年ぐらい掛かったがこうして目的を達成できたのだからよしとする」


 アストロの話を最後まで聞き、俺は最後に質問をする、これはわかりきってはいる事だが聞かずにいられないと思ったからだ。


 「これからは俺達はどうすればいいんだ?」


 「勝たなければならない。負ける事は人類の滅亡になるであろう。はっきり言おう!勝つか滅ぶかだぞ異界の戦士よ」


 その言葉に俺は少し口角が上がってしまう。これぞ俺が待っていた瞬間であるとやっと勇者ぽい展開に内心喜んでしまう。


 「ならやってやるよ、俺達が世界を救ってやるところとお前の仲間達が受けた事をアイツらに返してやる!!」


 俺の宣言にアストロはいきなり目を光らせる、俺とオウキは驚いてその場にへたり込んでしまう。


 「いやぁ、すまない私は興奮すると目を光らせてしまうのでな。そうだなこんなに頼もしい事を言われると嬉しくてな。これからよろしく頼むよ」


 先程までの威厳に満ちた雰囲気は無くなり、まるで長年の友だったみたいに彼は手をだす。


 「あぁ、これからはよろしく頼むよ機界王さんよ」


 

 「アストロで良い、今の身体ではその名はふさわしくないからね」


 互いに手を出し握手する二人ここに最強の味方が加わる事になる

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