第11話機械文明滅亡の真実  前編

 俺達はまだ頭が混乱していた、さっきまで壁画で描かれていた、機械文明の王が目の前に現れしかも俺達と同じ大きさでだ。


 (「一体どういうことなんだ?まったく理解がおいつかないんだが?」)


混乱していた俺は横にいるオウキを見てみる、彼は何やら考えているようであった。


 

 ふと何かわかったのかオウキは手を叩き得意げに指に顎を当てていた。


 「まさか、記憶ごと違う体に移し替えたってことなのですか?」


 アストロは無言でうなづいた。


 「さよう、最後の闘いの時に出る時には万が一があると思い保険に作らせておいたのだ。だが同じボディを、短時間で造る事は困難でなよりあわせで集めた材料で作り上げたのがこの機体だ。まぁとりあえずのバックアップとして作った為に戦闘には全然向いてはいないのだよこの体は」


 アストロの言葉に俺達はうなづくことしかできなかった。確かに戦闘用って感じでは無く、見た限りお世辞にも強そうではなかった。


 「まぁ、そんな事はどうでもいいんだ。多分だが貴君らが私を探していたのは邪神群についてなんだろう?」


 

 その瞬間、俺達は何に緊張が走ると同時に彼が本当の機械の王であるという確信を持ってしまう。


 この威圧感の中で口火を切ったのはオウキであった。

 


 「そうですね、我々はあなたたちについてまったく知りません。なので教えていただけないでしょうか?過去に何があったのか、奴等は一体何者なのかをどうか!!」


 その場で頭を下げるオウキを見てアストロは。


 「はっはっはっは!!、別にそこまでかしこまらなくても良い。既に私は滅ぼされた側、言うなれば過去の遺物だ。そこまでかしこまらなくても良い。それに君達、人類が新しい文明を築いてくれる方が大事なのさ。もう少し自信を持ってくれ、君達が邪神群に対抗できる最後の希望になるかもしれんからな」


 「それは一体どういう意味ですか?」


  オウキは不思議に思い聞き返す、何故彼等の文明の方が優れているのに何故我々人類を希望と言うのか?それが知りたかったのだ。


 「まぁ、そう急ぐな順を追って説明するそうだな、まず我々が何者なのかを知りたい筈だ」


 軽くオウキの疑問を聞き流しアストロは話を始める。


 「そうだな今から数千年前、私達は機界の世界から強制的に転移させられた。異世界の人なのだよ」


 意外すぎた事実に俺達はあまりの事に理解が遅れてしまう。


 (「まさか、俺以外にも異世界人がいたとは思いもしなかったな。でもそれだと一体彼等はどんな目的でこんな場所まで来てしまったんだ?」)


俺が考えている間にオウキが一歩前に出る。どうやら何か言いたいのだろう。彼が何を聞くのか気になる為、俺は見守る事にする。


 「では、一体あなた達は誰に呼ばれたんですか?多分その頃はこの世界では人類は存在していなかった筈です。まさか……」


 そこまで言いながら何かに気付いたのか、チラッと俺の顔を見て小さいため息を吐いた。頼むから俺の顔を見てそんな態度をとるのはやめてもらいたいのだが。


 「案外、君は聡いのだな。多分君が考えているように私はいや、私達は自分達でこの世界にきたのだよ。何ほんのちょっぴり君達のいう旅行みたいなもんだよ、条件としては他の生物がいない開拓されていない星を探していたな。そこでここが見つかってそのまま泊まる事にしたんだよ」


 (「 アストロは軽い気持ちで言ってはいるが、どこの世界に別の世界に来ることを旅行扱いにする奴はいない、あまりにもスケールが違い過ぎる。彼等の技術力はとんでもない事はわかった」)


実際にこの世界の人々の文明では彼等の作った物は分からなかった。あまり人の事は言えないが俺達魔界も対して技術的ない面はここの世界の人々とあまり変わらない気がするのだ。


 「ですが、やはりあなた達ほどの技術力を持った人達があんな奴等に滅ぼされてしまったの何故なんですか?」


 頭に片手を置きながらオウキはアストロに痛言する。彼は悪気があって聞いている訳ではないが少し言葉が足らず毒舌に聴こえてしまう。


 少し短い沈黙の後、アストロはゆっくりとこちらに近づき、手を振り上げポンッとオウキの肩を優しく叩く。


 「若いですな、確かに私達は滅ぼされてしまった。だがこれはあまり想定していなかったイレギュラーであってな。まさかここまで酷い事になるとは思ってはいなかった」


  どうやらさっきの失言は無かった事にしてくれるようだ。最初に言ってた通りに彼は滅ぼされた文明としての立場を崩すつもりが無いのかもしれないが器の大きさは人間界の王とは比べものにならないだろうと俺は個人的に思う。


 「さて、どこから話すべきかな。私達はここをいたく気に入り少しだけ暮らす事にしたのだ。人で言うところの数十年ほどかな?まず住む場所などを作り始め小さな集落が出来始めた頃ぐらいかな?少し小さい生物が現れ出したのだ」


 そこまで聞いていよいよだなと俺とオウキは思い話に集中する。


 「そいつは我々機械にとっては小さいサイズいわば虫と同じぐらいであったが人間でいうと多分同じサイズで君達から見たら魔物と同じくらいになるだろう」


 そこで一旦話を区切る。どうやら俺達を気にしながら話をしてくれているらしい。彼にとっても初めて人間と会話するのだろう、かなり気をつかってくれているようだ。


 「どうぞ、話の続きを我々は大丈夫ですのでお構いなく」


 すぐさま、オウキが話を続けるように促した。どうやらオウキも同じように気をつかっているのだろうすぐにアストロは話の続きを再開させる。


 「初めはどこにでもいるような奴だと思い振り払ってきたのだがある日突然数十体ほどが現れ仲間を襲ったと言う報告が入った。私はすぐに駆除に向かうべく戦闘タイプの仲間と共に現場に向かった。だがそこで私が見たのはあまりもおぞましい光景であったのだ」


 そこでまたアストロはまた言葉を、詰まらせてしまう今度は気をつかってならことでは無く。どうやら襲われた仲間のことを思い出したのだろう、若干声が震えているように聴こえたのだ。彼には表情はないが、彼の声は人間そのものである為に若干だが感情はよめやすい。まるで人間を相手にしているような不思議な感覚がした。


 かなりショックだったのだろう。だがそこは腐っても王なのだらう、ゆっくりと彼は震える声で告げる。


 「奴等は、襲った奴をバラバラにし原型がなくなるほど破壊していたのだ。私達は救出するのは諦め奴等を全て倒す事にしたのだ。結果は我々の圧勝し、できるだけ一人では行動しないようにルールを作りいつもの、生活に戻った。だがそこで終わりはしなかった。むしろ始まりだっのかも知らない、そこから我々機械と邪神群達との争いが始まったのだから」



 


 

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