第6話古代機械文明の遺跡のある街
あのあと、俺達は朝早くから村長に機械の魔物を討伐した事を伝えた。確認の為に奴の遺体を見てもらうと村長は涙ながらに感謝してくるのだった。
その後、村長はお礼をと料理などを盛大にもてなそうとしてくれたが俺達は丁重に断りそのまま村を後にした。
村長は遠ざかっていく俺達が見えなくなるまで手を振り続けていた。彼にも歳相応の笑顔が戻り彼等の村も平和にはなるだろう。
「早くしないといけませんね、今私達が倒したので少しの間は安全かも知れませんがまたしばらくしたら新しいのが送られてくる筈です」
オウキは少し心配そうに村の村長の顔を見ていたのだ。
一応、彼には油断するなとは言ってはあるのだがあの感じでは忘れているかも知れない。あの若さで村の長を任されたのだ、責任ある立場になってまだ日が浅い中での魔物による被害が起きたのだ。無理もないだろう。少しだけ仕事をしている風景を見せてもらったがどうにも余裕がない感じが見ていてわかったのだ。
それに彼自身責任感が強く、今回の件も重く捉えて王国に早馬を飛ばしらしい。村の人達は楽観的主義が多いが今回みたいな事が起こると人に丸投げしてしまう。例えそれが若く経験の彼でも例外では無いのが問題なのだ。
近い将来あの村は争いが起こるかも知れないと俺達二人は考えてしまう。
「まぁ、この村の兵士だけではあの魔物を倒すことは無理だ。今回みたいに遺跡を少し潰していくだけで済むだろうがもし村の奴等に被害もしくはあの遺物に価値があるとわかったら、あの若い村長に助けを求めるだろうな」
「そうですね、今回みたく早く我々みたいなのが駆けつける事ができれば良いのですが、もしそうならなかった場合は村の人々に言われるがまま討伐隊を編成して立ち向かうか、心労で倒れてしまう考えてどちらかでしょうね」
俺達は、最後に一度だけ村に向かってお辞儀をした。彼が一人前なら村をまとめられる人に成長する事を願って。
村を出て少しひらけたところで休憩をする。朝から歩き続け既に時間は昼を回ってからの休憩だ。魔界に比べてこの世界は少し暑過ぎる、もう既に一歩も歩く力がないほどに消耗していたのだ。
「で、次はどこに向かうかはわかっているのか?」
村でもらった干し肉を齧りながら俺はオウキに尋ねる、彼は地図を見ながら少し唸っていたのだ。
「えぇ、一応は決まってはいるのですよ。ですがもう少し歩かないとそこの街までは着くことは難しいのですのでもう少しだけ頑張ってもらいますよ」
「マジか、どのくらいかかりそうなんだ?」
「夜になるまでには、着くとは思いますよ」
オウキも同じ干し肉を齧りながら地図を見せてくる。地図には大まかな人形行くところについては赤色で囲ってある。城みたいな記号を赤く囲っているのはおそらく魔王城ならその道中です赤く囲って線が引いてあったのは多分遺跡だろう。他にはわかりやすいように黄色が使われていて最初にいた村は黄色で囲ってある為どうやら中継地点恐らく俺達が泊まるべき宿屋が確保されているのだろう。
「地図を見る限りもう少しで着くのはわかったが今度の村には何があるんだ?さっきの村と同じであいつ等の相手をするのか?」
「いや、今回のは討伐関係では無いのです。我々が向かう街はですね。あの古代機械文明を研究しているという資料館がありましてそこに向かい彼等の研究成果を聞きにいくだけの事になりますね」
次こそ奴らとやれると思っていた俺は、力なくその場に倒れ込んでしまう。最初に考えていた理由は強いやつと闘いかったからなのだが最近本気でやり合うことが全く無い為少し持て余していた。
「まぁ、そう落ち込まないでくださいよ。確かに調査とは言いましたが、一応は彼等の護衛を兼ねているのですからもしかすると奴等が現れるかも知れませんからその時はある程度はお願いします。
「まあ、確かにそれしか活躍できることはないからな今回は引き下がっておく。でこの街は一体どんな街なんだ?」
大事そうに地図をしまいつつ、オウキは短く答えた。
「街の名は「コーデン」王国の中でもっとも古い歴史を持つ街で一説には機械文明達の生き残りが造った街らしい」
休憩が終わった俺達は、休むことなく歩き続けていた。あまりの暑さに浴びるように水を飲むが一向に喉の渇きは改善しない。
(「一体、いつになったら街につくんだろうな?」)
水筒に残っている水を確認するとあまり残っていないようだ。このままでは暑さで倒れてしまうと思った矢先。
「さぁ、着きましたよここですよ。」
暑い日差しの中をなんとか目を細めてみる風景に俺は思わず息を飲む。
「ここが忘れ去られた街、コーデン。かつてはかなり栄えていたのだけど最近の魔物による被害によって頼みの観光客がいなくなり、すっかり知名度は無くなってしまいましたが。それでも数ある遺跡のある街の中でここまで残っているのは珍しい物なんですよ」
少し、興奮気味にオウキは俺の肩を叩く、この数日の中で彼のテンションが一番高かったのをみたのはこの時は初めてであった。
「ハァー、ハァー、流石にこの暑さの中で喋るのは疲れますね。とりあえずホテルに泊まってから今後の事を考えるとしましょう」
普段より、若干テンションが高いオウキを連れて宿屋に泊まる手続きをする。どうやらこの街でも魔族に対する恐怖はまだあるようで、俺のことは腫れ物でも扱うかのように皆離れていくのだが一部の人間は恐れず、こちらをジーっと見つめてくる。
(「おい!、なんかあの連中だけ俺の事を見てくるんだけど一体なんなんだ?」)
「あぁ、多分魔物が珍しいから観察しているだけだと思いますけど、気をつけてくださいね。この街の学者達はあなた達魔族を研究対象として見ていますから、あまり一人で歩かないでください」
「そ、そうか……それ以上の事は聞かないようにしておく。なんか怖いから」
ベルゼは生まれて初めて人間に対して恐怖を抱いてしまう。彼はオウキの後ろに隠れながら一緒の部屋で寝ることした。もう既に日はくれており、二人とも疲れ切っていたのだ。ここまでくるのに休むこと無く歩き続けてきた為、既に限界でありそのまま何も食べず二人とも眠気には勝てず、そのまま眠りの世界に誘われていくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます