第23話 モイラーヤ‼モイラーヤ‼
「煌ちゃん。ついにお母さんが仕事を辞める日が決まったわ。二人でイタリアに行けるわよ!やっとお父さんと一緒に住めるわ!」
仕事から帰った母が、嬉しそうに煌冷香にそう伝えると、煌冷香は椅子から立ち上がり、淑女のポーズを決めて高らかに言った。
「行きませんっ!!」
「えっ!!!?」
「お願いです。ここで一人暮らしさせて下さい!」
「え、なんで?煌ちゃんだって行きたいって言ってたのに!」
「事情が変わりました。私は日本を離れられません。使命があるのです!」
「だからなんで!?」
「それは恋を、、あっ!ちょっとお待ちください!!」
しまった。「恋をするから」と言って納得するマミーではないのだった!上手い理由を考えるのを忘れていたわっ!!なにか、なにか、納得してもらえる理由があるはず・・・。考えるな、煌冷香。感じるのよ!!
「なんでなの!?理由をおっしゃい!」
「そ、それは、それは・・・その、、あっ!学業がっ!タイミングが良くありません!高校を卒業するまで待ってください!!」
「今考えた風に聞こえたわよ!?」
「違います!私は高校を卒業してからイタリアに行きたいのです!将来を見据えて考えた結果です!!」
「でも、、あなた、一人にしたら好きなだけ食べてもっと太るのじゃなくて?」
「いえ!(恋をするために)痩せます!!この覚悟は揺らぎません!!」
「そんなこと言って、、そう簡単に許せるわけがないじゃない。。」
「ダディーは私が説得して見せます。イタリアの大学に受かるために、猛勉強もします。イタリア語も覚えて見せます!」
煌冷香の目は決意に満ちていて力強かった。母は迷った。高校生の娘を置いて旅立つなど出来やしないと。。
「やっぱり、、ダメよ。お母さんがここに残るのなら良かったけど。すでに全てを手配してしまった。今更行かないとは言えないわ。煌ちゃん。貴方も一緒に行くのよ!」
「そんなっ!自分の人生は自分で切り開けるように、自主性を持って生きなさいと言ったのはマミーです!」
「それはもちろんよ。だけど、貴方はまだ未成年なの。倫理的な問題があるわ!」
なんてことなの・・・。これではイタリアに行くしかなさそうだわ。どうしたら説得できるかしら。わからない!助けて、、モイラ!!
煌冷香は、両手を頭上に上げて、モイラの助けを求めた。シュバッ‼
「え、何しているの?煌ちゃん??」
「モイラっ!!宿りたまえ!!」モイラーヤモイラーヤ‼
「え、貴方もしかして怪しい団体に入ったんじゃ、、」
「くっ、、やっぱり来てくれないのね。」
「ねぇ、お母さんの質問に答えて??めちゃくちゃ心配なんだけど!?」
「この話は明日まで保留です!冷蔵庫におすすめの肉まんが入ってます。食べてください!ではっ!」
「あ、こら。待ちなさい!煌ちゃんっ!!」
煌冷香はこれ以上突っ込まれる前に自室に逃げた。
「逃げることは恥ではないわ。これは戦略的撤退よ。」
しかし、困ったわね。何か良い策はないかしら。。でも、ここでモイラが助けてくれないと言うことは、自分で切り開けるということかもしれない。そうよ。今こそ、英才教育を受けた私の類い稀なる才能を発揮する時よ!
あと、私さっき、自分ででまかせを言っていて気づいたけれど、、恋をしてフラれたら立ち直れないわ。
「痩せないと・・・。と言うことは、イタリアなんかに行ったらとんでもないことになるわ。」*イタリア料理を我慢できる気がしない煌ちゃん。
私、、痩せる!そして、ここで恋をしてみせる!明日までに計画を練ってみせる!!
続く。
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