第16話 大冒険中の煌ちゃん。推しができる。
煌冷香は学校からの帰り道、初めて1人で自宅の最寄りの隣の駅に降りてみた。
「わぁ、初めて降りてみたけど、結構人がいるのね。初めての場所って見ているだけで楽しい!たこ焼き屋さんがある!食べてみたいなぁ!」
家族が揃って夕食を取ることが少ない煌冷香。外食は高級な店にしか連れて行ってもらったことがない。噂に聞くたこ焼きが目の前で焼かれていることに感動して、うっすら涙目になっていた。そして、恐くて駅から離れられない煌冷香は、近くをぐるぐる回っていたが、それでも冒険心を満たされていた。
「他の制服の子たちもたくさんいるわ。あれは高校生かしら。カバンにぬいぐるみがぶら下がってる、、なぜかしら。デザイナーを目指しているとか?」
何もかもが新鮮な煌冷香。しかし、目的の場所を見つけると立ち止まり、してみたいことリストと書かれたミニノートを取り出した。
「ついに、見つけた。ハンバーガー屋さん。。ここで皆、タムロという儀式をしているのだと聞いた。い、行くわよ。」
じりじりと足をゆっくり進めると、ハンバーガーショップの自動ドアが開く。いらっしゃいませ~!と店員の声が聞こえると、軽く一礼して中へと入る淑女、煌ちゃん。
「ちゃんと、仕組みは調べてきたわ。レジに並んで、セットを頼めばいいのね。お金はそこで払って、自分で料理を運ぶんだった。学校の食堂のようなものね。」
数人の列が出来ていた。そこの前にレジがある。きっとここに並べば良いのだろうと煌冷香は見事な推測力を発揮。他にも制服を着た学生がいることが唯一の安心材料だった。
「大丈夫。学生でも受け入れて頂けている。安心しなさい、煌冷香。。あ、順番がそろそろ、、き、緊張するっ!」
「お待たせしました!次の方、どうぞ!」
ついに来た。西園寺煌冷香。西園寺家の名に恥じぬよう、優雅に注文して見せます!
「ご注文お決まりですか?」
「は、はい。ジャンクフードのセットを1つください。」
「え?・・・えっと、どれにしますか?このメニューから選んでください。」
「つ、通じなかった・・・!!ど、どうすれば!!?」
「初めて来たのかな?チーズバーガーがおすすめですよ♪」
「ではそれをお願いします!」
「ドリンクは何にしますか?ここから選んでください。」
「わ、わ、わ、私、、はぅっ!言えない・・・。ダメよ、決めてきたでしょ、煌冷香!!言うのよ!!!大罪を犯すと決めたのよ!!」
「え、すごい言われよう、、で、どれにしますか?」
「炭酸のやつをください!!禁じられた炭酸を!!!!!」
「ああ、お家で禁止されてるんですね。笑 じゃあ、コーラとか飲んじゃう??」
「はいっ!!お願いします!!!!!はぁはぁ、、ついにこの時が来てしまった!」
「あはは。かわいい♡ では、700円です。」
「はい。お願いします。」
「ありがとうございます。では、出来たらこの番号でお呼びしますね。」
「は、はい。」
煌冷香は、最初のミッションをなんとか終えて、ハンバーガーが出来るのを待った。
(はぁ、、あのスタッフの方、可愛らしい笑顔でやさしかったな。あの方にまた会いたいから、ここへはたまに来ることにしよう。)*ついに推しが出来た煌ちゃん。
しばらくして、ハンバーガーが出来上がると、受け取ってソロソロと歩きながら客席へと向かう煌ちゃん。そこに、玄関から入ってきた別の学校の制服を着た女子学生が・・・。
「あれ?・・・もしかして、、あれは、、煌ちゃん??」
続く。
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