第13話 私がそこに降りましょうというスタンスをまず直したい煌ちゃん。
「おかしいわ・・・。ご挨拶の基本は完璧だったはず。父親の職業もちゃんと言ったし。。」
何がいけなかったんだろう。昼休みになるまで、ほとんど誰も話しかけてくれなかった。隣の席のきょんちゃんだけが、ちょっと声をかけてくれたけど。
煌冷香が不思議に思い、頬杖をついて思惟していると、きょんちゃんがスッとやってきて煌冷香の腕を掴んだ。
「煌ちゃん。ちょっときて?」
「はい?どちらへ?」
「いいから。来て。。」
きょんちゃんは、誰にも気づかれないようにこっそりと、煌冷香を人気のない廊下へと連れて行った。気がつくと、手を繋いで引っ張られている煌冷香。
(きょんちゃん、、どうしたのかしら。あ、手を繋がれてる。。な、なんか、恥ずかしいというか、、・・・・・・とくん。あれ?今のは何かしら。。)
「ここなら誰もいないかな。あのさ、煌ちゃん?」
「う、うん。きょんちゃん。」
「なんで皆が煌ちゃんを避けてるか、わかる?」
「ええっ!?私、避けられてるの!!??」
「ああ、やっぱり。まぁ、わかっていたらあんなこと言わないよね。」
「あ、あんなことって、私は一体何を間違えたのかしら。。」
「お金持ちが庶民に庶民って言ったら嫌われるに決まってるでしょ?」
「そ、そうなの!?なんで!?」
「はぁ、、根本的にわかってないのね。。私には苦重すぎるわ。」*苦くて重いらしい6歳児。
きょんちゃんは、自分にはちゃんと説明が出来ないと思った。なので、担任の先生を頼ることにした。またしても煌冷香は手を繋がれて職員室へと連れて行かれる。
「小林先生~!相談がありますー!」
「あら、前園さん、、と西園寺さん。どうしたの?」
「先生あのね、煌ちゃんに庶民に庶民って言ったら嫌われるよって言ったんだけど、なんでかわからないんだって。それに服もなんか浮いてるし。このままだとお友達ができないから教えてあげてください。」
「そう・・・。そうね、いずれはそういう時間が必要かと思っていました。わかったわ。先生が西園寺さんに特別授業をします。」
「せ、先生。。きょんちゃん。。」
煌冷香は思った。
え、私ってそんなにひどいの・・・?
こ、これは、、モイラの言うとおりだったんだ。だって、何が悪いのかすらわからない。。このままではいけない。
「お願いです!先生!私、どんな苦しみも耐えて見せます!!どうか!私の悪いところを全部教えてくださいっ!!」
「西園寺さん・・・。わかったわ。放課後また職員室へいらっしゃい。」
「良かったね、煌ちゃん。じゃあ、私は友達に、煌ちゃんは良い子だよってなんとか説得してみるから!!」
「ありがとう、きょんちゃん。そして先生。私、精一杯頑張ります!!」
この日から、煌冷香は小林先生の特別授業を受けることになった。そして初日に教わったのは、「庶民の劣等感」についてだった。
放課後の特別授業を受け終わると、煌冷香は校門の前で待っていた車に乗り込んだ。
「お疲れ様です、煌冷香さん。」
「ありがとう。待たせてごめんなさい。」
その時だった。校庭で遊んでいたクラスの男子達にその光景を見られていたのだ。
「おい!みろよ!お嬢様が車でお帰りになるぞ!」
「さすが!金持ちは違うね。俺ら一般庶民は話かけられないな!」
「・・・。」
煌冷香は強かった。男子達に揶揄われても黙って車に乗り込み、凜としていたのだ。
「煌冷香さん。。その、宜しければ明日からは、少し離れたところで待ちましょうか。」
運転手はそのほうが良いと思った。煌冷香を守るにはそれが一番良いと。しかし、煌冷香は決意していた。空気の読める子になると、、。
「いいえ。でもありがとう。私、明日から送り迎えはいりません。歩いて学校へ行きます!!!」
「な、なんとっ!!そ、そんなことっ!いけません、煌冷香さん!」
「いいえ。郷に入れば郷に従えです。私は、、私は、、庶民の生活に馴染んでみせる!!!」
だって、モイラの言うとおりなら、私の将来はめちゃくちゃなの。
必ず、回避してみせる!未来を変えてみせる!!
待っててね!!庶民の皆さんっ!!
まだ先がちょっと遠そうな煌冷香であった。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます