第3話 女神に愛された幼児、煌冷香。

 ふぅ。。ずっと寝ていたからすぐ目が覚めてしまうわね・・・。あ、ダディーが電気を消してくれたみたい。あそこだけがランプが、、


「え?ランプ??」


 煌冷香の部屋にはランプはない。それなのに、小さな明かりが3つ見える。あの絵画を立てかけてある方だ。


「あ、目を覚ましたわよ!」

「ホントだ。どうする?誰が話しかける?」

「かわいいわね、こどもって。私が話しかけるわ!」


 良く見ると、小さな明かりは人の形をしていた。*恐い話じゃないよ!


「わぁっ!!しゃ、しゃべってるぅぅーー!!」アワワワ‼


 煌冷香はおったまげた。まだ5才だから体が柔らかい。でんぐり返しをしてベッドから飛び起きると、部屋のドアの方まで逃げた。


「あ、ああっ、、マミーっ!ダ、ダディーっ!」ガチャガチャ‼


 煌冷香が助けを呼んで部屋から逃げようとすると、明かりの正体が必死に引き留める。


「待って!私たちよ!あなたの好きなモイラよ!?」

「いつもあなたが私たちに好きよって言ってくれたんじゃない!」

「お話ししましょう?」


「う、うそ、、絵のモイラなの?え、え、こ、こわい・・・!」


「こわくないわ?」

「あなたとこうして話す時をずっと待っていたのよ?」

「私たち、あなたのことが大好きなの。」


「ほ、ほんとに?こわいことしない?」


「しないわよ♡」

「私たち、女神よ?」

「あなたを助けに来たのよ!」


「助けに??壺は買いませんが、、当家は主に絵画を扱っておりまして、、」


「壺は売らないわ?」

「煌冷香ちゃん。あなたにはこの先、試練が沢山待ち受けているの。」

「私たちはそれを回避するために教えに来たのよ!」


「試練・・・。あ、もしかして、あの夢?」

「そう。あれは私たちが見せた未来よ。」

「あのね、ちょっと待ってて?」


 モイラは円陣を組んで会議を始めた。


「ねぇ、どこまで話す?」

「あなたは女の子を好きになるわって言う?」

「気づいてないのよね、この子。」


「あ、あの、、宜しければお茶をご用意致しますが・・・。」*花嫁修業1級の煌ちゃん。


「優しいっ!かわいいっ!♡」

「大丈夫よ!私が今、4つ、紅茶を出してあげるわ!えい!」


「わぁ!紅茶が現れた!魔法が使えるんですね!」


「そうよ。女神は何でも出来るのよ!」

「さぁ、熱いからフーフーして飲んでね?」

「ではさっそく。本題に入るわよ。」


 西園寺煌冷香。あなたは恵まれた家庭に生まれ、愛されて育ったとても良い子よ。


 だけど、あなたは世間を知らずに育ち、これから人間関係で悩むことになるわ。なにをしても空回り。特に恋愛は一生上手くいかないの。


 でもね、あなたがいつも私たちに会いに来て、沢山好きっていってくれたから、私たちも好きになっちゃったの。これは恋に近いわ。推しを愛でる感じとも言える微妙なところね。あ、そうか。もうこの子は百合ね。私たちと相思相愛だもの。じゃ、いっか。


 あなたはダディーのような素敵な男性と結婚しないわ。大体、あんなに素敵な人はこの世にあまりいないし。私たちも好きよ。だけどね、煌冷香。あなたはこれからずっと、女の子を好きになるわ。


 そして、これから大きな失敗と小さな失敗をたくさんするの。だから私たちはどうしても助けたくてここに来たわ。私たち、3人が、大きな失敗を3つ、回避できるように教えに来るわ。


 あとは、あなたが頑張ってなんとかするのよ?良いわね?


「以上です。ご静聴ありがとうございました。アトロポスでした。」

「これから、アトロポスとラケシス、そして私、クロートーが1度だけまたあなたに未来を見せるわ。」

「幸せになるのよ・・・煌冷香。あなたは恵まれすぎて空気が読めない子なの。昔で言うなら悪役令嬢よ。どうか、回避してね。。」


「な、なんてこと!え、モイラ様っ!!?あれ?消えた・・・。絵は!?元に戻っている!!!お願い!まだ聞きたいことがあるの!!鏡月ってなに!!??」*どうでも良いことを聞きたがる煌ちゃん。



 だがしかし、モイラの絵はそれ以降、煌冷香に語りかけることはなかった。



 煌冷香。5才にして、女神に百合であることを知らされた奇跡の日。



「百合ってなに・・・鏡月って、、なに・・・?」



 続く。

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