　彼女と二人でとあるキャンプ場に行った時の話。

　テンションが上がっていた彼女はスマホで山の景色とか、テントとか流れる川なんかの写真を撮りまくっていた。

　それで、夕食のときにその写真を確認してみると、川岸の向こうから、俺たちに満面の笑みを向けて手を振っている妙な女が映っていたんだ。

　さびれたキャンプ場だったから、俺たち以外のキャンプ客はいないはずだった。

　気のせいかと思ったけど、焚火の写真を撮ってみたら画面いっぱいに笑顔の女の画像が映ったんだ。

　もうパニックになっちゃって、二人で大急ぎでキャンプ場から逃げたんだ。

　帰りの車の中。

　それまで怖くて震えていた彼女がケタケタと笑い始めた。

「また来てね」と彼女は満面の笑みで俺に言った。

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