深夜のブランコ

 深夜徘徊というとあまりイメージはよくないが、残暑厳しいこの季節はなかなか気分が良い。

 昼間より涼しいし、なにより静かな夜は、空気まで澄んでいるような気がする。

 のんびりと雰囲気を味わいながら歩いていると、公園でスーツ姿のおっさんがブランコを立ち漕ぎしていた。

 なんでこんな時間に、とは思ったが、俺も人のことは言えない。

 ゆーらゆーら、とブランコを揺らしている姿はどこか哀愁が漂っている。

 表情は悲壮感が漂っており、スーツもよれよれだ。

 まあ、わかるよ。仕事が大変なんだろうな。

 深夜の神聖な空気に癒されてほしい。

 翌日、あの公園に警察が来ていた。

 だれかが首を吊っていたらしい。

 ちなみにあの公園にはブランコはなかったそうだ。

 

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