たばこ休憩

 深夜まで残業をしていた時の事。

 たばこをふかしていると、窓の外から喫煙室を覗いているヤツがいた。

 頬はこけ、顔色は青白い。


「お互い大変ですね」


 目が合ったのでそう言っておいた。

 そいつが、


「たばこを一本くれませんか?」


 と言ってきたので、俺は一本渡すと、火をつけてやった。

 はあああぁぁぁ、と美味そうにタバコを吸った。


「喫煙室にきて吸ったらどうですか?」


「ありがとう。これで逝けるよ」


 そういうと、そいつは落とし穴に落ちたかのように、ストンと下へと消えていった。

 俺は窓の向こう側を見る。

 ここはビルの10階だ。窓の向こうは外だったな。

 こんな会社だ。過去、飛び降り位はあったのだろう。

 俺はそんな風にはなりたくないな。そう思いながら、タバコをふかした。

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