祖父の迷信

 俺のじいちゃんはやたらと迷信を信じていた。

 その中で、一つ、妙なものがあった。

 梅干しを食べてはいけない。

 家族のだれもがじいちゃんが梅干しを食べたところを見たことがないそうだ。

 そんなある日、兄夫婦が帰郷した

 兄嫁がカレーを作ってくれた。

 隠し味に梅干しが入っているらしい。

 コクが出るそうだ。

 晩飯に出されたカレーをじいちゃんが食べると、ぎろりと兄嫁を睨みつけた。

 次の瞬間、激しく痙攣をしたかと思うと、そのまま机に突っ伏し息を引き取った。

 後日、行政解剖を行うと、腹の中はズタズタに引き裂かれていたようだ。

 そういえばじいちゃんの好物はうなぎだ。

 葬式の後知ったのだが、鰻と梅干は食い合わせが悪いらしい。迷信だそうだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る