まめだいふく

 夏休みに遊びに行った田舎のおばあちゃんの家は現代っこの私にとってはつまらないところだった。

 暇を持て余していると、戸棚に小さな大福が3つほどあるのを見つけた。

 お食べ、とおばあちゃんが言った。

 口に運ぶと、人肌のような皮の触感とほのかな甘い口あたり。

 中にはぷちっとした豆が入っていた。

 もう一つ口に運ぶと、今度はぱさぱさの皮にふにゃりとした豆の感触。

 おいしくはなかった。


「こっちをお食べ。とても若いからねぇ」


 最後の一つをほおばるとコリっとした豆と上品な甘さに自然と口が緩む。


「また作ってあげようかねぇ」


 そういうと、おばあちゃんはなぜか農具が置いてある納屋へと入っていった。

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