第24話 新シーズン開幕・目指すは優勝!

さて、旅行で大暴れしたお話はさておき、メインに戻ります。

オフの練習でレベルアップしたチームの行方をご覧ください!

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 新シーズンは4部リーグ。でも僕たちは昇格初年度で4位に入賞し、入れ替え戦まで進んでいます。ぶっちゃけ成長した自分やチームメイト、上位リーグから獲得した新戦力も上手く馴染み、チームも絶好調でした。自信が漲っているという感じです。


「今シーズンは4部での優勝を獲る! ピッチ上ではKAZUに采配は任せる。優勝して3部に昇格するぞ!」

「「「「「っしゃー!!!」」」」」


 初戦は3部から入れ替え戦で降格して来た相手。まあ優勝候補です。ですが、もう既にこのリーグのスピード感やフィジカルの強度に慣れていた僕らにとっては、危なげない相手でしたね。

 ホームの大声援『KAZUDONAコール』が鳴り響く中、ボルテージは最高潮。オフで体幹を徹底的に鍛えたので、4部の相手程度にはフィジカルで軽くぶっ飛ばせるくらいに仕上がっていました。でもそれでもコントロールタワーの僕にはマークが集中するし、ラフプレーも普通に飛んで来ます。

 前回書いたのですが、ユニフォームを引っ張り回されるのが腹が立つので、掴んできた手を引っぺがすために、握力を暇さえあればプロ仕様のグリップでにぎにぎして鍛えていたんですよね。これは最初のシーズンからずっと続けて来ていました。御陰で握力は100㎏相当。人間鍛えるとどうにでもなるんですねーw リンゴを握り潰せたときは自分で焦りましたけどねw てことで、掴んで来る相手の腕を簡単に引っぺがせるようになっていました。それでもしつこく引っ張って来る相手の手首を捻って骨折させたこともありますね、何回もw 毎回何故か僕がイエロー貰う羽目になるんですけどw 


「引っ張ってくる奴が悪いだろ! 俺は手を払いのけただけだ!」


 と審判に抗議してましたねー。でもジャッジは覆りませんよねー(笑) でも相手が怖がって腕で妨害してこなくなったのはありがたかったですね。

 てことで、ホームの開幕戦は4-0で圧勝の快勝! 僕自身も2得点2アシストで上々の出来でした。アシストはFKにCK(※コーナーキック)。得点は流れの中からミドルシュートに直接FKと、オフの特訓が結果に繋がりましたね。

 相変わらず被ファールの数は多かったですけど。倒したらFKで直接決められるという刷り込みが出来上がっていたので、このシーズンはそこまでのラフプレーを受ける回数は減りました。でもアウェイに行くと、僕に対するブーイングは酷くなってきていましたね。まあ毎回ジャパニーズのチビにやられるのは気分が悪いんでしょうねー。でもそれは僕のプレーが怖いという証拠でもある。ブーイングが快感になっていましたねー。

 ですが、さすがにものを投げつけて来るのは止めて欲しかったです。CKの度にバナナがいっぱい飛んで来るんですよ。ハーフタイムにドレッシングルームに戻るときも、スタンドから飛んで来るんです。ある時は間近くから一房足元に投げつけられてきましたね。剥いてその場で一本食べてやりました。


「美味しいよーありがとー!」


 って声をかけると、相手サポーターから「何なんだこいつは? やべえ奴だ!」みたいな顔をされた記憶があります。因みに持って帰ってホストファミリーのオバハンに丸っと一房あげました。


「これはどうしたんだい?」

「うーん、サポーターからもらったんだよ(敵の)。おやつにでも食べて」

「そう、ありがとうね」


 そんでムシャムシャ食べてました。食べ物は粗末にしない様に! 御陰で毎回アウェイではハーフタイムにユニフォームを着替える羽目になりますから。頭に喰らったら、洗わないといけないし。「バナナはブーメランじゃないぞ」とアウェイ戦の後のインタビューで言ってやりましたけどね。「世界中には飢えている人も沢山いるんだから食べ物を粗末にするんじゃない」とか偉そうにねw


 兎も角、このシーズンを通して僕もチームも好調を維持し、ずっと1位をキープしながら最終節を待たずにぶっちぎりで優勝しました。得点王はエリックに譲ったけど、アシスト王、リーグMVPにベストイレブンはウチのチームからが大半が選出されました。R、もう面倒なんで名前で言いますが、ライアンも最初に会ったときに比べて成長し、左サイドで活躍してくれましたね。

 そして上位リーグから獲得した選手が僕がいない試合でも上手く中盤を回してくれました。ミゲルというドイツ人だったんですが、僕とはまた違った中盤の指揮を執っていましたね。彼とは戦術について色々と話して学ばせて貰いました。僕がシャドーに入っても安心して任せられる。一緒に中盤に入っても、直ぐに僕にボールを預けてくれて、良いポジションに入っていくんですよね、これが。何本もスルーパスを通しましたし、キッチリ決めてくれるんですよ。2部でまでプレーしていたらしいので、学ぶべき点が多かったです。


 優勝、ホームでシャンパンを振りまくって掛け合いして、ピッチに勝手に降りて来たサポーター達とワイワイしましたね。優勝はいつ振りだったんだろう。恐らく高校や中学まで遡らなければならないくらいだったと思います。サークルやフットサルの助っ人で優勝したりしたことはあったけど、ガチの公式戦。久しぶり過ぎて、こんなに嬉しいものだったんだなと思い出しましたね。


 無事3部昇格は果たしましたが、契約延長の問題が残っています。チームは僕の大学とコンタクトを取ってくれて、5年までならギリギリ延長はできるが、其方の大学で取得した単位を全ては認められない。一度帰国して最低二年間は通学する必要があるという結論になりました。此方の大学への転入は認められないという一方的な通達。悩みましたね。あと二年。帰国して大学を卒業したら二年のブランクが空く。僕のレベルでまともにやれるサッカーチームなどJリーグにしかない。これ以上休学を伸ばすと除籍扱い(※現在この大学は休学期間は何年でもいいということに変わっています)。ボロボロの足でいつまでフットボールで飯を食って行けるのかもわからない。もし次に致命的な怪我をしたら……、自分は只の高卒の馬鹿になる。

 この時の葛藤は今でも昨日のことの様に思い出せます。今現在の僕の思考ならプロ一択で燃え尽きるまでやったでしょう。でもこの時はまだ20歳とちょっと。サッカー人生が終わってからの人生の方が遥かに長い。ない頭で超悩みましたね。ですが先ずはこれからの残りの時間を有意義なものにすること。Jからのオファーや、上のリーグでプレイするチャンスに賭けるしかない。


 こうして帰国期限が迫る中、3部リーグでの闘いが始まろうとしていました。 





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マジで融通が利かない日本の大学というかシステム。

首脳陣が頭が固すぎる!と、キレていたのを思い出します。

さて今後のKAZUDONAストーリーはどうなっていくのか?

続きが気になる方はどうぞコメントを御願いします。

応援してくれると頑張れます!

当時のことを思い出すと、心に来るものがあって、今でも涙が出るんです。

皆様の応援が書き続ける気力になります。

よろしくお願いします。


で、そんな僕が連載しているファンタジーです。良ければこちらも眺めてやってください! お願いします!

OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~

https://kakuyomu.jp/works/16817330653523704177


ではまた次回・・・、書きますよ!



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