第20話 シーズン開幕・2年目のジンクス
遂に2年目のシーズンが開幕。
チームの運命や如何に?お陰様でずっと月間1位、2位をキープしてます。
ではどうぞ!
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チームの仕上がりも良く、新戦力も上手く馴染んで来ていました。厳しいシーズン前の練習の疲労などで多少の怪我人はいましたが、これはよくあることなので仕方ない。オフの過ごし方で仕上がりが上手くいかない選手ってやっぱいるものなんだなと、知識では知っていましたけどね。特にチームの状態も悪くない、こうして満員御礼の中ホームでの開幕戦を迎えました。
ですがこのシーズン、『2年目のジンクス』と呼ばれるものに僕自身結構苦しめられます。加入1年目で結果を残した選手、この時点でまあ結構稀なんですが、そういう選手達が苦しめられるのがこの『2年目のジンクス』というものです。これはいきなり活躍したために、相手からかなりの注意人物ということで徹底的にマークされるということで、特に攻撃の選手が苦しめられる。2年目以降も継続して同じ活躍ができる選手は素晴らしいと言われる、そういうものです。そして僕も気をつけていたのですが、やはり相手からは徹底的にマークを受けることとなりました。
兎に角徹底的にファール覚悟で潰しに来る。ボールを受ける前に体ごと潰されたり、キープしていても一気に囲い込んで潰しに来るんですよ。抜き去っても足ごと刈られる。もうこれが当たり前の様に毎試合続きます。取り敢えずフリーにさせない、マーカーがバテても新しくフレッシュなマーカーが交代で入って来る。コントロールタワーの僕がプレイ以前に倒されたり、ボールを足ごと刈って来るのでチームの戦術が機能しないということが起こりました。それでもダイレクトではたいたり、大きく展開してゲームを組み立ててはいましたけどね。
ですが過去に大怪我をした僕にとって、ファウル覚悟のタックルとかはやっぱり怖いものです。ドリブルが封じられ、キープしててもボール関係なくガチガチに体をぶつけてくる。相手はイエローカード覚悟で仕掛けて来るので、背負っていても後ろから押しつぶされたり、ユニフォームを引っ張り回される。常にどこにいても代わる代わるマーカーがプレー自体をさせない様に潰してくるんですよ。参りましたね。
それでもこれまで日本での学生時代に何度もマンスリーマンを経験していたので、それなりのプレーはできました。兎に角動き回ってマークを外し、少ないタッチでゲームを組み立てる。プロのシーズンを経験したことで僕のフィジカルや体幹は相当鍛えられていたので、ただやられっぱなしになっていたわけではありません。囲まれても間をステップで掻い潜り、自分にマークが殺到している間にフリーになった味方を有効的に使ったりと、それなりの対策は講じていました。僕がマーカーにくっつかれている分、他の味方が自由に動ける。
そう、フットボールは個人競技じゃない、自分が満足にプレーできないのであれば、味方に指示を出して、効果的にピッチという盤上を動かせばいい。味方は常に僕と一緒にプレーして来たので、僕の考えや戦術眼は理解している。そしてJ監督はリードしたらなるべく早めに僕をベンチに下げるか、少し引き気味の位置からゲームメイクをする様に上手く采配してくれました。良い監督に巡り合えたなと、今でも思います。メチャクチャ怖かったけどねww
当然僕をファールで倒した相手には味方が抗議しにそいつや審判に詰め寄ったり、ホームなら大ブーイング。J監督もベンチを飛び出し大声で抗議してくれます。エキサイトし過ぎて監督がイエロー貰ったりしてましたけどねw
でもまあ「プレーさせてやらねえ」という様なチャージやタックルには、僕もまだ血の気が多かったのですぐ頭に血が上っていましたね。『ハートはホットに、ブレインはクールに』T先生に教え込まれて来ていましたが、さすがに試合中ずっとそういう攻撃を喰らえば頭にくる。そんなファールで一度選手生命を絶たれていますからね。倒されてもファールの笛が鳴らないときだってある。そういう時は自分を倒した相手を追い回してチャージでぶっ飛ばしていました。ファール取られたら、審判に抗議もガンガンしてたし、やってきた相手には中指を突き立ててましたよ。報復行為でイエロー貰ったりもしましたしね。「ただでやられてたまるかよ!」「やられたら百倍返しじゃー!」、そういうメンタルの人間でしたから(笑)
ホームの初戦は、その『2年目のジンクス』に苦しめられた結果となりましたね。それでも直接FKを叩き込んで1-0で辛勝しました。試合が終わると全身が痛い。削られ過ぎですね。これは早目に対処しなければ、シーズン途中で必ず怪我をする。じゃあどうするか? そういうことをキッチリ考えて対処する、改善策を考える、そこが僕のある意味強みでしたから。考えましたね。
そして至ったのが、潰されたらほぼ間違いなくファールは貰える。そうするとFK、要はプレースキック、邪魔ものがいない状態で好きに蹴れる状況が作れる。そのキックの精度を上げれば、得点率は上がる。アシストも稼げるし、ボックス周辺の30m辺りなら直接ゴールに叩き込める。ということで先ずはFKの精度を上げる為に、チーム練習の後はひたすら直接FK、壁の形の用具や味方に壁になって貰ってひたすら練習しました。後は監督とアシストのFKやコーナーキックのときのサインを決めて、どこに蹴るか、誰に合わせるか、そういう練習を全体練習のメニューに加えて貰いました。これにより、僕のプレースキックの精度と得点力は大幅に改善されます。
次に問題はファーストタッチの時のコントロール。味方にガチガチにマークをしてもらった状態で堪える訓練。背中に背負った状態でプレッシャーをかけて貰い、顔を上げて周囲を見渡しながらのリフティング練習。これで体勢が悪くても体のバランスを崩さずにプレーできる。でも基本的には背を向けた状態で複数マークがいる場合は咄嗟にダイレクトで空いている味方を使う。一人なら振り向き際に躱すか、ボールが収まってから躱せばいい。要はタックルに来る隙を与えなければ良いだけのこと。ファールは怖いですが、倒したらFKでピンチになるという刷り込みを相手にさせればいいということです。
問題はドリブル。前を向いてスピードに乗れば基本ファールじゃなければ止められない。ですが、ピッチ中央で突破して行くのは余程フリーじゃなければ危険。なので、突破のドリブルをする場所を限定しました。両サイドで縦に突破するのは全方位からマークされていないので比較的簡単。更にボックス、要はペナルティエリア内やその周辺。そこで倒されたらPKか、練習して精度が増した直接FKで高確率で得点に繋がる。なので、中央突破はここぞというときまで温存し、両サイドかボックス近辺なら積極的に仕掛けていく。勿論ロングシュートやゴール前ならミドルは積極的に撃っていくというスタイルを構築しました。
中央でパスばかり散らしていれば、「こいつにドリブルはない」と刷り込みができる。そこを突然ドリブルで突破する。または左右のサイドでドリブルを見せつけてからドリブルを警戒させ、「ドリブルが来る、突っ込んだら抜かれる」と刷り込み、スペースが空いたらパスで崩す。そういったプレーで「こいつは何をして来るのかわからん。突っ込んだらドリブルで躱され、スペースを与えたら一本のパスで崩される」と言う様に駆け引きが成立する。この刷り込みが上手くいけばあとは好き放題。このスタイルを確立することで被ファール率は格段に減りましたね。
早々に対策を講じた為、被害は最小限で切り抜けられましたと言えます。
こうして『2年目のジンクス』と苦しみ闘いながら、まあ時には負傷で数試合休養ということもありましたけど、2シーズン目は上位の方をキープしつつ終盤戦を迎えます。
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知ってたけど『2年目のジンクス』はキツかった。
プレースタイルを見直すきっかけになりましたね。
そういう意味では非常に良い経験でした。怪我は嫌だけどねーw
KAZUDONAストーリーはどうなっていくのか?
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で、そんな僕が連載しているファンタジーです。良ければこちらも眺めてやってください! お願いします!
OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~
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ではまた次回・・・、書きますよ!
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