第13話 Get the Winning Professional Ticket!

遂にプロテスト開幕!

どうなるのか?

ではどうぞ!

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 プロテストは選抜とか、ユースのテストと大して違いはありませんでしたね。ただ一緒にテストを受ける相手がそのチームのプロやセミプロだったということです。競わせてチームの人間と比較するためでしょうね。まあ言ってみれば完全にアウェイ。

 でもね、こういうときこそだから燃えてました。「こんなチビのジャパニーズが本当にフットボールできんのかよ?」、そういう視線がチームのR以外の奴ら全員から突き刺さります。全員が敵ですからねー。もうアドレナリンが溢れて沸騰し、爆発寸前でしたよ。震えました、そのピリピリした空気にゾクゾクしますよね。試験官のコーチが声を掛けて来ます。


「KAZU、震えているが大丈夫なのかい?」

「ああ、これは燃え盛るジャパニーズの武者震いだよ。気にしないでくれ」

「そ、そうか……?!」


 上等、全員ぶっ潰してやるぜ! 負ける気など全くしなかったですね。そんな中ウォーミングアップして、いよいよテストに挑みます。


 先ずはチームの連中と競わせて50m、100m、400m、1000mのタイムを計りました。当時、もう何回も書いて来ていますが、僕は学校でのスポーツテストで毎回一位で表彰されてきた人間です、県の記録も陸上の助っ人で獲っています。50m5.7秒、100m11秒フラットかそれ以上、400mや1000mなんてずっとダッシュで走れるくらいの持久力がありましたから。400は覚えてないけど、1000mは2分切れます。

 チームの誰も僕に勝てませんでしたね。


 次にクーパーという12分間走です。持久力を測るものです。200mトラックを12分間走って、何㎞走れるかというものです。僕は日の丸選考会でI・Jには二周差つけられましたけどねw 12分間ずっとダッシュです。

 県選抜の合格基準が大体3200m、日の丸ユースで3600m以上くらい。僕の自己最高は4000mです。試合じゃあもう90分で平均13㎞くらい走れるやつです。ぶっちぎりで一位。みんな目を丸くして、ハアハア言ってバテてました。「何だよ、大したことねーなこいつら。俺はまだまだ余裕で走れるぜ」って思ってました。

 もう完全にゾーンの領域に入ってましたね。見学に来ていた首脳陣やら最初から色々と声を掛けてきていたコーチも、「こいつは一体何者なんだ?!」って顔です。気分が良かったですね。こちとら小学生の時から朝晩欠かさず10~20㎞のジョギングをやってきていますからね。


 はいお次はボール扱いのテスト、リフティングです。色んな箇所、インステップ、インサイド、インフロント、頭、アウトサイド、ヒール、ショルダーなどでしたね。悪いけど負ける気がしねえ。こちとらボール見なくてもリフティングできるんだよ(笑) 誰一人僕に勝てませんでした。ボール見ずに後ろを向いて、コーチに


「もう終わりですか? みんな落としたけどー?」

「あ、ああ……、合格だ。しかし、ボールを見ずにリフトをやる人間を初めて見た」

「練習したら誰でもできますって(笑)」


 嘘です。努力のレベルが違います。


 休憩後、まあ僕は全くバテていなかったんですけどね。チームの連中が僕に負けまいと食い下がるからバテたってだけのオチです。


 最後にチームに混ざって紅白戦。僕は本職の中盤のセンターでした。でもぶっちゃけ、どこのポジションでもある程度はできるんですよ。色んなチームで色んなポジションやってきたし、どこでもこなせないと指導できないですからね(笑)

 さてやってやるぜ、見とけよ母国のやつらよ! ってところで、まあ外国人がよく受けるテンプレの洗礼を喰らいました。ドフリーで呼んでもボールが回って来ねえ。敢えて僕を無視して試合をしやがるんですよ。僕のテストなのにねー。よくある嫌がらせですよねw 大笑いしましたよ、試合中に。


「お前らダセえ上にみみっちいな! そんな嫌がらせなんて腐る程こっちは経験してんだよ!」


 近くで敵相手にジタバタしてる味方をショルダーチャージでぶっ飛ばしました。僕は身長がなかったので、こういう接触はなるべく避けてプレーしてきていました。ですが、数年間の肉体改造で、体幹が凄まじく鍛えられていた僕は相手がデカかろうがぶっ飛ばせる程のフィジカル・インテンシティ(※肉体的強度のこと)を身に付けていました。軽くぶっ飛ばしました。ボールゲットです。

 そして周りを見てもR以外は反応してくれません。


「なーるほどね……。一人で抜いてもいいんだな?」


 中盤のセンターサークルからドリブル開始! 中学の頃から、T先生は僕のドリブルを、


「超高校生レベル相手にも通用する」


 と絶賛してくれていました。味方が味方じゃないなら、一人で相手を全て抜けばいいだけのこと! 一人二人、三人四人、五、六、そして最後のディフェンダーをエラシコで抜き去って、足元に飛び込んで来たゴールキーパーをジャンプして躱しながら空中でヒールリフト。躱して降りてきたボールを無人のゴールにおもっクソ叩き込みました。


 ズドーン!!!


 見に来ていた友人達やRはもう大興奮。チームの連中は敵も味方もポカーンです。空に向けて人差し指を突き立て、ガッツポーズ。一人ででも試合を決めてやるよという挑発ですよ。


「Absolutely brilliant!!!」(※訳:完璧なまでの素晴らしさだ!)


 試合を見に来ていた、そのチームのJ監督が大声で叫びました。そして僕にボールを回さなかった僕のチーム連中、成す術なく抜かれた相手チーム連中に怒り狂いました。


「貴様らは何をやっている!? テストで参加している少年に嫌がらせをして、それでもプロなのか!? 正々堂々と闘えない者は今すぐ去れ!!!」


 それ以降、どんどん僕にボールが集まり始めました。身に付けた空間把握能力にピッチ全体を支配するゲームメイク、全てが完全に機能しました。7-2。僕はハットトリックに4アシスト全てに絡み、90分のテストマッチは終了しました。


「最初は悪かった」

「Congratulation! この試合は君の為のゲームだった」

「ようこそ、我がCC・FCに。君がエースになることに何の異存もない」

「素晴らしい選手がジャパンにはいるのだな」

「それだけのスキルをどうやって身に付けたんだい?」

「今度教えてくれ!」


 掌返しが見事過ぎてマジで笑いました。そして合格の通知もまだだったのに、J監督は、


「君には中盤のダイナモとしてメイクに得点も期待しているよ」


 と言って握手をしてくれました。190㎝以上あるんですよ監督。手がデカいこと! 握り潰されるかと思いましたよ(笑)


「今年こそ上位リーグに昇格する! KAZUを中心にしたチームを作るぞ!」

「「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」」


 みんな凄い興奮っぷり。結局合格なの? 結果を教えてくれよww


 その後コーチと首脳陣に連れられて、クラブハウス内で契約の話になりました。合格です。


「文句のつけようがない、他のクラブに引き抜かれる前にさっさと契約を済ませたい。ビザや学校に関しては此方で全て手配しよう。KAZU、君は何の心配もいらない。先ずは3年契約だ、その後は追々決めていこう。背番号は10が空いているが……、好きなものを選んでくれて構わんよ。契約金は○○○万円(※本来はポンド、イギリスの通貨ですが、ここは円で書いています。当時のレートは1ポンドが大体250円くらいでした)でどうだろうか」

「10番だとあからさまに警戒されるので、次に好きな18番でお願いします」


 1998年のフランスWCでイタリアのロベルト・バッジオが着けていた、そして県選抜の時のお気に入りの番号を希望しました。

 後日受け取った、背中にKAZUとプリントされたダークレッドと紺色のユニフォーム、アウェイは白と青。まだ5部リーグでしたけど。

(※プレミアリーグは当時、一番上のスーパーリーグとしてプレミアリーグ、その傘下にディヴィジョン1~9くらいまでの下部リーグがありました。今はよくわかってませんけどw)


 初めて受け取ったプロのユニフォーム。袖を通した時に、今迄の苦悩と嬉しさの感情が一気にオーバーフローし、涙が止まりませんでした。


 こうして、サッカーで挫折を繰り返して来た当時19歳の少年は、遂に自らの手でプロフェッショナル・フットボーラーの扉を抉じ開けました。ここからCC・FCと僕の上位昇格をかけた闘いの日々が始まったのです。



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遂に掴んだ夢の切符。

これからチームはどうなっていくのか? 今回も書きながら涙が止まらなかった。

KAZUDONAストーリーはどうなっていくのか?

続きが気になる方はどうぞコメントを御願いします。

応援してくれると頑張れます!

当時のことを思い出すと、心に来るものがあって、今でも涙が出るんです。

皆様の応援が書き続ける気力になります。

よろしくお願いします。


で、そんな僕が連載しているファンタジーです。良ければこちらも眺めてやってください! お願いします!

OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~

https://kakuyomu.jp/works/16817330653523704177


ではまた次回・・・、書きますよ


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