第6話 二年生・動き出す運命

高校一年はまあ失意でしたが、得るものも多かったです。

ではターニングポイントの二年生時代、どうぞ!


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 結局高1の頃は大した結果は、自分としては残せないまま終わりました。そして、高校二年生に進学します。英語を中心に、自主的にイタリア語。スペイン語も独学で勉強していたので、まあ無難に文系です。


 春はまだ怪我が後遺症もあって、あまり練習に参加できず、病院でのリハビリが多かった気がします。その帰りに、前回の中学同じだったSちゃんと再会しました。お互いに驚きました。こんなに家が近かったんだね、とか近況を話しました。結構追い詰められていた僕は、情けなくも現状を愚痴ってしまいました。彼女は僕が全国に行ったことも、プロになるって話していたことも覚えていてくれたので、ついつい甘えてしまいました。公園のベンチに座って何時間も話しました。それをじっと聞いてくれました。僕は現状が悔しくて泣きました。聞いてくれる味方がいてくれるって嬉しいなって、単純に思えました。


「これからどうするの? 諦める様な人じゃないもんね、KAZUくんは」

「ああ、一年の時は充分に完治しないまま、直ぐにピッチに立ってたけど、時間が掛かっても今の怪我をしっかり完治させるよ。誰が何を言おうが知ったこっちゃない。チームの為とか関係ない。自分の為にプレーする環境を整えることにするよ。ありがとう」

「いつでも相談して。○○時にこの公園なら会えるから」

「うん、ありがとう」


 彼女はそう言って、同じくらいの成長が止まった身長の僕の頭を撫でてくれました。僕は多分また泣いたと思います。


 それから初夏位まで、僕は彼女に会うのとリハビリも兼ねて、そこの家の近くの公園でボールの感覚を確かめる様にじっくりと怪我を治しました。そしてもう怪我が治り、部活に出てもコンディションは最高近くまで戻りましたね。もうこれは彼女の御陰です。今迄全く興味なかったのに、好きになった子に応援されると燃えるとか、男って単純だなって、心の中で思いました。彼女とは電話などで連絡を取っていましたね。家電ですw 時代ですねw


 そして夏休み、夏のサッカーフェスティバルが開幕しました。僕にとっては、ここが勝負所でした。全国から強豪校、自分が特待を蹴った高校も来る。武者震いが止まりませんでした。コンディションも気力も最高潮でした。周りの雑魚が何か言っていても全く気にもなりませんでした。蹴りは入れましたけどね(笑)

 

 彼女は毎日友人と応援に来てくれました。単純に嬉しかったし、いいとこを見せてあげたかったです。応援してくれて、支えてくれて、御陰で復活できたようなものですからね。


 最初の数試合はBチームで様子を見ようということになりましたが、3試合で確か、強豪校のサブチームに独りでワンサイドゲーム、20点はぶち込んだと思います。悪いですけど、周囲の陰口チームメイトに全くパスなど出しませんでしたね(笑) 信用してないんで。でもこいつらは、ボールを持つとすぐあたふたするので、僕がそいつらから奪って一人で試合してました。もう強豪だろうがサブチームなど相手になりませんでした。


「よくここまで仕上げたな、次の試合から、レギュラー、トップ下でいくぞ」

「任せて下さい」


 掌を返して来て、チームメイトが声を掛けて来ました。


「お前やっぱすげーな」

「俺はこれを待ってたよ」

「KAZUがいたら今年の選手権優勝できるんじゃねーの?」


 調子いいですよね、こういう奴らなんですよ意識が低い長いものに巻かれる奴は。


「集中してんだ、失せろ。ゴマ擦ってくんな。俺の邪魔したら殺すぞ」


 僕はこの大会にJのスカウトや強豪大学のスカウトが来ることを知っていました。ここからが正念場でした。初戦、そして数日に渡って選手権常連校などと試合をしました。漸く取り戻した10番を着て。

 全勝、得点王にアシスト王、最優秀選手賞・MVPを獲得しました。キレキレでした。被ボール奪取率0%。一度も取られませんでした。チームは僕の完全な支配下にあって、好きなように、思った通りに試合をコントロール出来ました。他校のベンチから、アイツ何なんだ? ヤヴァ過ぎる! ボール持たせるな! こんな声が毎試合聞こえました。最高の気分でした、天上天下唯我独尊。そんなくらい全てが上手くいったんですよ。多少調子にも乗りますよね(笑)

 やっとピッチに戻って来た! そんな感覚に震えていました。Sちゃんの御陰でもあります。もう絶対告ろうと思いました。泣いて喜んでくれてましたから。


「君が、全国の特待生を蹴ってまで地元の弱小校でプレーすることを選んだ○○くんだね?」

「え? 俺のことですか?」

「そうだよ、我々は異質な選択をした君に興味を持っていたんだよ。北海道での経験は悔しかっただろう、本当の決勝点を決めた本人には」


 いかにもなチャラいグラサンのスカウトの人がウチのベンチまで来て話しかけてきました。そう、これを僕はずっと狙ってたんですよ。地元の弱小校だろうが、個人で結果を出していれば、必ずこういうのが接触して来るって。

 そして思った通り、地元から近いJリーグ1部の名門からのスカウトでした。

(※個人的に仲良くさせて頂いてる方には教えていますが、ここではチーム名は伏せさせて貰います)


「私達のチームにユース選手(18歳以下のプロ予備軍)として来る気はあるかい? まだ他にも君を狙っているチームはある。接触して来るだろう。是非ウチに来てもらいたいものだがね」


 そう言って彼は名刺を渡して、去って行きました。その後、本当に数チームのスカウトから声を掛けられました。ウチのベンチは大騒ぎです。まあ漸くこの雑魚共と縁が切れると思うと嬉しかったですけどね(笑)


 こうして怪我を乗り越えて僕は漸くプロへの本当の一歩を踏み出すことになりました。スカウトの名刺を4,5枚並べて悩んだ結果、やっぱり自分の実家に近い最初に接触して来たおっちゃんのチームに行くことにしました。


 運命が動き始めて来たことを、肌で感じた高2の夏でした。シンデレラ・ストーリー、これを現実にしてみせる。そう青空に向けて誓いました。




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努力は、諦めなければ実を結ぶんですよ。

そして応援してくれる人が現れるんです。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

KAZUDONAのストーリーを続けて知りたい方はコメントを!

皆様の応援で書き続ける気力になります。

よろしくお願いします。


んで、そんな僕が連載しているファンタジーです。良ければ眺めてやってください!

OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~

https://kakuyomu.jp/works/16817330653523704177


ではまた次回・・・、うん多分書く! 異次元に足を踏み入れます。

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