第4話 【 ウサギ 】
「へえ、娘さん東京にいらっしゃるんですね」
「うん、杉並に住んでる。どこに住んでるの?」
「町田です。町田のマンションでお父さんとお母さんと弟、4人暮らしです」ここら辺ではもうすっかり猫言葉がなくなっていた。
「ウサギも飼ってます」
「ウサギか。ウサギは鳴かないもんね。マンションはペット飼ったらダメなんやろう? でも飼ってるんやね」
「はい、ダメです。可愛いですよ。かまってやらなかったらギーギーと鳴きますよ」
「そうなんだ。餌は、キャットフードみたいなやつ?」
「はい、そんなやつとこんな野菜みたいなやつを毎日こんくらい食べます」つかさは、両手でその量も示した。
「たいへんなんやね。抱っことか出来るの? 昔、小学校で飼ってた頃、抱っこしたら死ぬとか言われて抱っこ出来なかった。ウサギ当番とかなった日はウサギのエサを登校途中でもぎ採りながら行ってたなぁ」
「はい、抱っこ出来ます。ありましたね、ウサギ当番」
私は、今の、しかも都会の子にもウサギ当番の思い出があるんだと少し不思議な気がした。そして、猫と違ってキャットフードみたいな餌だけではダメなんだなと、ウサギを飼うのはたいへんだと思った。
「うち、猫を飼ってるよ。二匹いる。去年、野良猫が仔猫を4匹連れてやってきてね。一匹は、三毛猫を裏の教え子の家で飼う事になって、うちに元々いた猫と仲良しになった茶白の猫を飼うことにした。雄同士なんだけどね。窓越しに仲良くなってね。あと二匹は捕まらなかったから野良猫になってるんやろうね。飼い猫、二匹になって面白いよ。性格全然違うし。新しい猫は、野良猫出身だから人間の食べ物にも手を出すし、すぐ隠れる。最初の頃は羽毛布団にオシッコしちゃって、クリーニングに5回くらい持って行った。羽毛は獣の臭いがするのか、オシッコかけるみたい。ウンコはお兄さん猫がちゃんと教えたみたいで直ぐに猫トイレにするようになったんだけどね」私は、スマホに残った二匹の動画を見せながら言った。もう少し可愛い動画があったが、それはとっさには見つからず、とりあえず見つけたものを見せた。だからか、一応可愛いとは言ってくれたが、そんなにめちゃくちゃ可愛いという反応ではなかった。バーの仔猫ちゃんにうちの仔猫の動画を見せているという滑稽な状況だなと少し面白く思った。可愛い動画をさらに捜していると
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