第45話 毒性学・透明標本を作ろう

 透明標本は、骨を染めた標本です。

 硬骨を赤、軟骨を青で染め、筋肉やらを透明にしたもの。


 使用目的は、骨の観察です。

 解剖するのと違って、生きている時と同じ立体構造で骨を観察できます。しかも、硬骨と軟骨を一目で見分けることができる。

 鮮やかな赤と青。美しい骨の形。

 骨好きにはたまりません。ああ、うっとりしちゃう~!


 この標本。獣医の界隈では、もっぱら生殖発生毒性試験に使われます。

 化学物質や薬によって、胎児の骨に奇形が出るかを見たりする試験ですね。

 ってことで、大学の頃に、サークルで作ってみたことがあります。


 作り方はこんなん。

 ①皮、臓器を取り除く

 ②骨を染める

 ③筋肉を分解して透明にする


 難しいのは③です。

 標本にする生き物の大きさや、筋肉の厚みに合わせて、処理時間を変えないといけないんですね。

 処理時間が長すぎると形を保てなくなる。逆に、短すぎると筋肉が透明にならず染めた骨が見えない。

 私は日和り、すりガラス越しに骨を見るみたいな標本になりました。時間が少し短すぎたんですね。

 私の友人は大胆すぎて、全部溶けちゃいました。処理時間がめちゃ長すぎたんですね。

 熟練者は経験と勘を頼りにやるそうな。職人芸~


 最近は東急ハンズとかの雑貨屋でも、魚の透明標本が売っています。

 プロが作った標本は、そりゃもう美麗! 私もひとつ買いました。

 透明標本が売れるってことは……みんな、骨の美しさに気付いたんだよね?

 骨の時代、ようやく来たか!?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る