第39話 解剖学・骨格標本を作ろう

 骨格標本は、生き物の骨を組み立てたもの。

 解剖を学ぶ人にとっては情報の宝庫です。

 見るのも勉強になりますが、作るのはもっと勉強になる!

 私は学生の頃、獣医学生の作る「骨格標本作製サークル」なるものに入っていました。


 作り方はこんなんです。

 ①生き物の骨から、筋肉や腱を取り除く

 ②骨から脂を抜き、漂白する

 ③骨を乾かす

 ④骨を接着剤やワイヤーで組み立てる


 一番時間がかかるのは①の作業です。

 鳥手羽先の唐揚げを想像してください。普通に食べると、けっこう肉やスジが残りますよね。これらを取り除くのが、なかなか大変。

 肉を煮て柔らかくしてから、ピンセットやハサミ、歯ブラシを駆使して筋肉を除去します。

 専用の機械はありません!

 土に埋めて、筋肉を微生物に分解してもらう方法もありますが、時間がかかりすぎるんですよね~。大学の構内に勝手に埋めるわけにもいかないし。

 大学の敷地からゴロゴロ骨が出てきたら、下手したら警察騒ぎですからねぇ。


 そして①の作業、とても一人ではできません。

 例えば、牛の骨は全身で220個くらい。手分けしてやらないと肉が腐っちゃう。

 なので、狭いサークル部屋の中で、学生が骨つき肉の入った鍋を囲みながら、黙々と作業するという光景が出来上がります。

 鍋からはなぜか、ラーメン屋のようなにおいが……。骨のダシのせい?

 かなりシュールな絵面ですが、みんな真剣です。

 教科書片手に「これは手根骨しゅこんこつ……」とぶつぶつ。骨の構造を理解せずに筋肉を剥がすと、ハサミとかで骨を傷つけちゃうからね。


 ちなみに。

 就職活動のとき、エントリーシートの「サークル活動等」の欄に、堂々と「骨格標本作製サークル」と書きました。

 面接に言ったら、人事担当者から真っ先にこれを聞かれました。

「あの、そういうサークルがあるんですよね……? 個人的な趣味とかじゃないんですよね?」

 黒魔術的なものと思われたようです。不本意……。

 趣味でもあるが、れっきとした勉強の一環です!



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