第34話 解剖学・クジラは昔、二本の足を持っていた
クジラとサメ。どちらも海の中で泳ぐ生き物ですね。
左右にあるヒレ、水をかく一本の尾、滑らかな表面、凹凸の少ないフォルム。
姿は似ていますが、彼らは全く別物。クジラは哺乳類、サメは軟骨魚類です。
色々違いはありますが、例えばヒレ。
クジラのヒレの中には、五本の指が長ーくなって、「気をつけ!」した状態のものが入っています。
サメのヒレはフカヒレ。結合組織でできていて、骨はありません。
進化の起源が全く違うのに、海に入ると同じ様な姿になる。面白いですね~
水の抵抗を抑えながら、自分の望む方向に泳ぐには、あの形が最適なんでしょうね。
ところでクジラ、哺乳類です。
哺乳類の祖先はネズミ的なもの。五本の指と、四本の脚をもっていました。哺乳類の形のベースはネズミです。
でも、クジラの尾は一本。
「あれ、片足はどこに行ったの?」というと、必要ないので退化しました。
その証拠は骨にあり!
クジラの尾には、もう一方の足だった小さい骨が隠されています。ぜひ博物館の骨格標本でご覧あれ!
大学生の頃のこと。
骨のスケッチの授業の大トリで、教授に博物館に連れていってもらいました。
「時間いっぱい、どの骨を書いてもいいよ!」
それまで、基礎的な骨(犬、牛馬豚、鶏)をスケッチしていた学生は大喜び。
え、いいの? キリンもダチョウもクジラもスケッチしていいのー!?
わっしょーい!!
私はクジラを選びました。
片足の遺残物が描けて、大満足。
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