第7話 衛生学・牛は金属がお好き

 牛は、よく金属をなめなめします。なぜか?

 さあ、想像してみましょう!


 あなたは、炎天下で肉体労働をしています。めっちゃくちゃ汗をかきます。与えられるのは水とおにぎりだけ。さあ、何が欲しくなります?

 冷えたビール? 間違いない!

 でも、スポーツドリンクもいいですよね。


 スポーツドリンクに入っているのは、塩と、砂糖と、ミネラルです。

 毎日20~30リットルも牛乳を出す牛は、汗をかきまくってる状態と同じ。なので乳牛は特に、塩やミネラル(鉄、銅、コバルト、マンガン)を欲しがります。

 というわけで、牛はスポーツドリンク的な存在の「鉱塩」という石や、牛舎の鉄柵をよく舐めてます。金属だーい好きなんです。

 それだけならいいんだけど...

 ミネラルを求める牛は、放牧場とかで鉄クギや針金を見つけると、ついつい「パクっ」と食べちゃう習性が。

 胃に刺さるならまだマシ。もっと怖いことに、牛の胃は心臓と数センチしか離れていないのです...!

 そこで牛が伏せたり、ごろんしたら?心臓に

 ...ぎゃーっ!!


 そんな怖いことを防ぐためには...

 牛の胃に、あらかじめ磁石を入れておく。そしてその磁石をちょいちょい交換する!

 磁石にクギやらがくっついて、牛の胃に刺さらないようにするのです。

 磁石の交換も、磁石を使います。

 長ーいやわらかいシリコンチューブの先に磁石がついてるのを、牛の口から胃に入れます。

 牛さん的には「おえっ」てなるかもだけど、命には代えられないのです。






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