流星の章



『銀のドラゴン』



初夏のある日、流星がシャワーのように降り注ぎ、人類は絶滅した。


鱗を持たぬ儚く脆いいきものの、ちっぽけな頭骨を口に含んで、永く見守ってきた彼らの温もりの記憶を慈しむ。


我々ももう、ここを去らねばならない。


銀色の翼を広げて、青空の向こうの凍てつく闇へと飛び立ってゆく。



(お題:初夏、絶滅、シャワー)





『流星の夜』



「だからね、星が珊瑚に影響を与えるの」


夜の海辺で君がつぶやく。


「今日みたいにたくさんの星が降る夜は、海に落ちた星屑が珊瑚に溜まって、珊瑚が光りだすの。それで海が騒ぐのよ」


影になった君の向こうで無数の星が夜空を流れ、黒い波間に光が揺れる。


もう明日が来なくてもいい。



(お題:珊瑚、星屑、影響)

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