第5話 そうでもないのかも
<実凪視点>
「あ、行っちゃったね~」
また止めることができませんでした。あの人はいつも突拍子がなくて身勝手でひどい人です。
しかもこんな変な人と一緒に残されてしまって、どうすればいいのでしょうか。
「そんで、尾張がレベル1になったわけだね。でもこれ、言った方がいいか言わない方がいいか迷うな~」
なんですかこの人、あの人もそうですがこの人も面倒な性格をしていそうです。
「まあ、職業が変わったからということだけは言っておこうかな~」
なるほど。【転職】というスキルを使えばそうなると聞いたことはあるのですが、あの人に限ればその必要はないのにだろうにどうして・・・
「それはそれとして、実凪ちゃんって尾張とどこまでいってるの?」
「ど、ど、どこまでって!どういうことですか!?私とあの人とはなんにもないですよ!!!」
「ふーん、そうなんだ~・・・うんうん、いい反応してくれるね~」
本当になんなんですか!この人は!!初対面なのになんでこうも込み入った話をしてくるんですか!!!
「そういえば、その腰のそれ、懐かしいね~」
「これですか・・・」
私はホルスターに掛けてあった銃、インディゴを手に取る。
「改めてみると・・・・・・結構ひどい出来だね~・・・・・・」
「え、いきなりなんですか」
「ん?あー、これを作ったのは僕だからね。しかもこの力が使えるようになったときに最初に作ったやつだし」
「そうなんですか」
ああ、そういえば、科学者がうんぬんかんぬん言ってましたね。
「ちなみに言うと魔石から電気エネルギーを抽出する方法を見つけたのも私だ」
「えっそうなんですか」
もしかしてこの人って結構すごい人なのかも・・・
「おかげで借金も返せたし、いや~賭け事にはもう懲りたよ」
やっぱり、ダメな人でした。
***
<直視点>
ダンジョンに行く前に大事なことを忘れていた。それは、俺だとバレないように動かないと意味がないということだ。【
こういう時は変装をすればいい。サングラスにマスク、ついでに物置にあった謎のシルクハットをかぶればあら不思議、どこからどう見ても変質者にしか見えない。武器にはピコピコハンマーでも持っていこう。これで完全にただの変質者にしか見えないだろう。間違っても俺と結びつけることはない、完璧な作戦だ。
それはさておき、俺はダンジョンに初めて入る、つまりはかなりうかれている。そもそも、ここを拠点としたのもダンジョンに行くのを目的としていたからだ。ついさっきまで忘れてたし、いろいろあって結局行けなかったわけだけど。
だいたい【
着いた。ここがダンジョンの入り口だ。ぽつんと祠があって、そこにワープゲートのような、というよりそのものがある形だ。早速中に入ろう。
――中に入った俺は、衝撃を受けるのであった。
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